機能性表示最新情報 451号 / 試験1つ、論文2つ

こんにちは。YDCのミッシーです。

それでは機能性表示最新情報をご紹介します。

L277 キノサポ ローズマリーa
「本品にはロスマリン酸が含まれます。ロスマ
リン酸には、一時的なイライラ感および日中の
眠気を軽減する機能があることが報告されてい
ます。」

届出者はAL-FOODS社で、SR作成も自社で行わ

れています。ロスマリン酸によるイライラ感など
の気分に関する訴求は、以前からあるものです
が、PRISMA2020に対応しているものについては、
意外にもかなり少ないようです。2025年4月以降、
ロスマリン酸が関係する届出は5件ありますが、
このうちの二件については複合成分なのでロス
マリン酸単体の効果ではないため、ここでは置
いておきます。残りの3件の内1件が今回のL277
で、他の二つはいずれも同一のSRを使用した次
のような事例です。

K1087 しそ活メンタル+(プラス)
「本品にはロスマリン酸が含まれます。ロスマ
リン酸には一時的なイライラ感(不機嫌な気
分)を軽減すること、一過性の気分の落ち込み
を感じている方の一時的な当惑状態(考えがま
とまらない、集中できない)を軽減し、活気・
活力感(生き生きする、積極的な気分)をサ
ポートすること、睡眠の質(日中の眠気)の改
善に役立つ機能があることが報告されていま
す。」

L277は「一時的なイライラ感および日中の眠気
を軽減する機能」を1つのSRで訴求しており、そ
の採用文献は(1)Araki2020、(2)荒木2020という
2報の論文です。それに対してK1087ではイライ
ラ感などの気分と、睡眠の質をそれぞれ別のSR
に分けていますが、その内のイライラ感などの
気分に関するSRでは、(1)Araki2020、(2)荒木
2020、(3)Scholey2014の3報採用となっており、
似たような論文構成となっています。

ここで気になったのは、(1)(2)の論文です。実
は(1)の論文は(2)の論文のデータを層別解析し
たものであるため、実際に行われた試験は1つし
かありません。にも関わらず、L277では独立し
た2研究のように扱っているため、所々、SRの記
載におかしなところが見られます。

例えば、L277ではSRに含まれる研究の対象者の
合計について63名としていますが、それは(1)の
論文の21名、(2)の論文の42名を合計したもので
す。しかし、実際には(1)の21名は、(2)の42名
に含まれているため、重複カウントが発生して
います。あるいは非一貫性について、「有意差
あり」の結果が、75%以上で一致しているため
「低(0)」、とされていますが、実際の試験は
1つしかないので、非一貫性は評価不能であると
思われます(なお、当該SRの基準では、「単報
のみ存在している 」場合は(-2)としている)。

また、(1)の選択的アウトカム報告の評価につい
て、「研究登録がされており、事前登録内容と
論文での報告内容は一致していたため、評価は

低(0)」と記載されています。しかし(1)は

「Post-Hoc Testing of a Randomized Controlled Trial」

(事後解析)と、論文タイトルに自ら入れている

ことから、事前登録された解析ではないと思われ

ます。

さて、もう一方のK1087では対象者の合計につい
ては、(2)の42名+(3)の25名で67名としており
二重カウントは回避しています(ただしSR中で
はL277と同様に(1)(2)の論文は独立して扱われ
ている)。(3)の論文があることで、相対的には
K1087の方がエビデンスとしては硬い、と言いた
いところですが、この(3)の論文も気になるとこ
ろがあります。

というのも、(1)(2)の論文が4週間の継続摂取で
あるのに対し、(3)の論文は単回摂取の論文なの
で、単純に結果を統合して考えることは難しい
というのがあります。しかも、SRの記載を見る
と、前値や後値についてほとんどが「記載な
し」とされており、群間有意差の有無程度しか
わからないため、数値がどう動いたのかわから
ないということも問題です。加えて、(3)の論文
は全体的な結果もあまり芳しいものではありま
せん。それでも(1)(2)が同一試験であることを
踏まえると、多様なエビデンスを確保するため
に(3)の論文を採用する必要があったのかもしれ
ません。

以前から届出事例のあるロスマリン酸ですが、
こうして見るとエビデンス的にはかなり難しい
事例であるという事が分かります。(1)(2)の論
文の問題を整理することは当然ですが、それ以
外のエビデンスの登場が待たれるところ、と
言った感じでしょうか。

また、これはロスマリン酸に限ったことでは
ありませんが、同一試験から派生した論文のSR
中での扱いは慎重に検討することをお勧めしま
す。

それでは、またメールしますね。