更新日:2026年9月16日
CMなどでよく耳にする「機能性表示食品」とは何か?特定保健用食品(トクホ)や栄養機能食品とは何が違うのか?2024年の紅麹問題で制度がどう変わり、2026年9月から何が始まるのか?消費者庁の最新情報をもとにわかりやすくまとめました。「機能性表示食品」の届出を検討している企業担当者様もぜひご覧ください。
機能性表示食品とは?
機能性表示食品とは、「おなかの調子を整えます」など健康維持・増進に役立つ機能性を表示した食品のことです。対象はサプリメントや加工食品、生鮮食品まで幅広く、いずれも事業者が責任を持って科学的根拠とともに消費者庁に届け出たものです。
ただし、すべての食品が対象になるわけではなく、たとえばアルコール飲料や、塩分・糖分・脂質のとりすぎにつながる食品は対象外です。また、医薬品成分を含むものや、乳幼児・妊産婦・未成年など特定の人に向けた食品も、機能性表示は認められていません。
機能性表示食品は、アメリカの制度にならい2015年(平成27年)4月に導入されました。それまで日本では、食品で医薬品のような効果を表示すると薬機法違反とされ、機能性を明示できませんでした。とはいえ「朝からスッキリ」のような曖昧な表現では、消費者が本当に選びたい商品を見分けられません。そこで、一定の要件を満たせば適正な表示を認め、消費者が自分で商品を選べるようにしたのがこの制度です。
参考:機能性表示食品について | 消費者庁
参考:「機能性表示食品」ってなに?知っておきたい大事なポイント | 消費者庁
参考:消費者の皆様へ 機能性表示食品を利用するためのポイントをご存じですか? | 消費者庁
特定保健用食品(トクホ)との違い
トクホも機能性表示食品も、「コレステロールの吸収を抑える」のように健康維持・増進に役立つ効果を表示できる点は同じです。これらの違いは、その効果と安全性を誰が確認しているかにあります。
トクホは、商品ごとに国が個別に審査し、消費者庁長官が許可した食品です。一方、機能性表示食品は、事業者が自らの責任で科学的根拠を消費者庁に届け出た食品で、国の個別審査は受けていません。
ただし、届出なら何でも通るわけではありません。届出の際には安全性の科学的根拠が求められ、書類も厳しく確認されます。受理後でも、問題が見つかれば修正や撤回を求められることがあります。国の個別審査がない分、こうした仕組みで安全性がチェックされているのです。
機能性が表示されているその他の食品
実は、機能性表示食品やトクホ以外にも、「栄養機能食品」という区分があります。
栄養機能食品とは、ビタミンやミネラルなど特定の栄養成分を一定量含む食品で、その栄養素の働きを表示できるものです。国が定めた基準を満たしていれば、個別の審査や届出なしに表示できます。日々の食事で不足しがちな栄養素を補う目的で使われる食品です。
そして、この栄養機能食品・トクホ・機能性表示食品の3つをまとめて「保健機能食品」と呼びます。以下に、それぞれの違いを比較表で整理しました。
(トクホ) | |||
|---|---|---|---|
| 国の審査 | 届出制 | 個別に審査・許可 | |
| 手続き | 消費者庁に届出 | 消費者庁長官の許可 | 不要(基準を満たせば表示可) |
| マーク | 専用マークなし 「機能性表示食品」と表示 | 消費者庁許可のマーク 「特定保健用食品」と表示 | 専用マークなし |
| 表示できる機能 |
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2024年3月の紅麴問題
小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」など、紅麹を含む製品を摂取した人に、腎障害を中心とする健康被害が確認された問題です。同社は製品の使用中止を呼びかけて自主回収を進め、原料の一部に想定していない成分が含まれていた可能性を公表しました。
被害は広い範囲に及び、厚生労働省の資料(令和7年3月16日時点)によると、医療機関を受診した人は延べ2,710人、入院を要した人は558人にのぼります。小林製薬に死亡の申し出があった件数は408人とされていますが、これは製品を摂取していた人の死亡が報告された数であり、摂取との因果関係が確定した人数ではありません。その後、健康被害の詳しい調査は大阪市に引き継がれています。
参考:健康被害の状況等について(令和7年3月17日時点) | 厚生労働省
この問題で問われたのは、成分そのものよりも「つくり方」でした。大阪市の調査では、製造時の衛生管理体制に不備があり、意図しない物質の混入を防げなかったことが要因と指摘されています。あわせて、健康被害を把握してから行政へ報告するまでに時間がかかった、初動の遅れも問題視されました。
この一件は、問題となった商品だけでなく、「機能性表示食品」という制度そのものへの信頼を揺るがしました。事業者の責任で届け出るという仕組みのもとで、安全性をどう担保するのか?それがあらためて問われることになったのです。
参考:紅麹を含む健康食品関係 |厚生労働省
参考:紅麹関連製品による被害の発生状況について | お知らせ | 小林製薬株式会社
紅麹問題以降で変わった機能性表示食品制度
前述した紅麹問題を受け、消費者庁は2024年9月に機能性表示食品制度を大きく見直しました。改正は複数あり、すでに始まっているものもありますが、なかでも大きな変更が2026年9月から本格的に適用されます。
2026年9月から適用される品質・表示のルール強化
出典:機能性表示食品の今後について 消費者庁食品表示課2024(令和6)年9月 | 消費者庁
紅麹問題で問われた「つくり方」への対応です。これらのルールは2024年9月1日にすでに施行されていますが、事業者が対応するための2年間の猶予期間が設けられており、実際に適用されるのは2026年9月1日からです。
ひとつは、GMPという製造・品質管理の基準を、サプリメント形状の機能性表示食品に義務づけること。医薬品に近い水準で製造工程を管理し、意図しない物質の混入を防ぐための仕組みで、消費者庁による立入検査も行われます。
もうひとつは、パッケージ表示の見直しです。トクホとの違いや摂取上の注意事項について、書き方や表示位置のルールが細かく定められます。
たとえば、パッケージには「本品は、特定保健用食品と異なり、機能性及び安全性について国による評価を受けたものではありません。届け出られた科学的根拠等の情報は消費者庁のウェブサイトで確認できます」といった注意書きを表示することが求められます。ほかにも、「機能性表示食品」の文字を主要面の上部に枠で囲んで表示する、届出番号をその近くに記載する、医薬品との飲み合わせや過剰摂取への注意を具体的に書く、といった点がルール化されます。どれも、消費者が誤解なく、自分に合った選び方ができるようにするための変更です。「事業者の責任で届け出る」という制度の土台は変わりませんが、その土台を支える品質管理と情報開示が、紅麹問題を経て一段と厳しくなったと言えます。
改正は2024年9月から始まっている
実は、制度の見直しは紅麹問題の直後から段階的に進んでいます。
まずは、最初に問題となった「報告の遅れ」への対応です。事業者は、医師が診断した健康被害の情報を把握したら、その食品との因果関係がはっきりしなくても、速やかに消費者庁や自治体へ報告することが義務づけられました。報告を怠れば、機能性表示の中止命令や営業停止といった行政処分の対象になります。
集められた情報は国が分析し、定期的に公表されます。以前は「努力義務」にとどまっていた報告が、明確な義務に変わった点が大きな変化です。
変わったのは、被害を把握した後の対応だけではありません。届出そのものの確認も、この2025年4月から慎重になりました。従来は60日だったものが60営業日となり、さらに、新規成分等で消費者庁長官が必要と認めた場合には、専門家の意見も聴いたうえで最大120営業日をかけて確認できるようになっています。また、届出後も、事業者が定期的に自己評価して公表することが求められるようになりました。
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機能性表示食品の表示例
機能性表示食品は、パッケージの決められた位置に、決められた情報を表示することが定められています。下記のパッケージ例をもとに、表と裏それぞれで何をどう表示するかを紹介していきます。
-
「機能性表示食品」の表示
容器包装の主要面の上部に、「機能性表示食品」の文字を枠で囲んで表示します。 -
届出番号
「機能性表示食品」である旨の表示に近接した箇所に、アルファベットと数字からなる届出番号を表示します。 -
機能性の表示
「機能性関与成分◯◯には、△△する機能があることが報告されています」といった形で、機能性関与成分の名称と、その成分に報告されている機能性を科学的根拠に基づいて表示します。裏面に記載される場合もあります。 -
国の評価を受けていない旨
「本品は、特定保健用食品と異なり、機能性及び安全性について国による評価を受けたものではありません。届け出られた科学的根拠等の情報は消費者庁のウェブサイトで確認できます」と表示します。
-
原材料名・栄養成分表示
原材料名、栄養成分表示、機能性関与成分の含有量などを表示します。 -
一日当たりの摂取目安量・摂取方法
一日当たりの摂取目安量と、摂取の方法を表示します。 -
摂取上の注意事項
医薬品や他の機能性関与成分との相互作用、過剰摂取などに関する注意喚起を、その成分の安全性に関する科学的根拠を踏まえて具体的に表示します。
(画像の例では、GABAと降圧薬の飲み合わせに関する注意がこれにあたります) -
疾病の治療等を目的としたものではない旨
医薬品とは異なり、疾病の診断・治療・予防を目的としたものではない旨を表示します。 -
相談を促す旨
疾病に罹患している人は医師に、医薬品を服用している人は医師・薬剤師に、摂取について相談すべき旨を表示します。 -
事業者の連絡先
事業者の連絡先を表示します。
参考:消費者の皆様へ 機能性表示食品を利用するためのポイントをご存じですか? | 消費者庁
参考:機能性表示食品の今後について 消費者庁食品表示課2024(令和6)年9月 | 消費者庁
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機能性表示食品の届出の流れ
パッケージに表示する機能性を決め、エビデンス等の必要資料とともに消費者庁へ届出
消費者庁が届出資料を確認し、不備がなければ受付。届出番号が付与され、届出情報を消費者庁HPで公表
原則、販売開始日の60営業日前までに届出。
※新規成分等は120営業日前までの届出が必要となる場合あり
パッケージ記載事項としてどのような機能性を表示するのかを決め、エビデンス(機能性エビデンス、成分エビデンス)とともに、販売開始日の60営業日前までに消費者庁へ届け出ます。
消費者庁が資料を確認し、不備がなければ受け付けられ、届出番号が付与されたうえで届出情報が公表されます。
なお、新規成分等で確認に特に時間を要すると消費者庁長官が認める場合は、専門家の意見を聴取したうえで、販売開始日の120営業日前までの届出が必要となることがあります。
エビデンスづくりで時間を要する工程の一つが、前述したヒトの臨床試験です。試験期間に加えて届出の確認にも時間を要するため、販売開始時期から逆算し、余裕を持って準備を進める必要があります。
機能性表示食品で困ったら、薬事法ドットコムへ
ここまで見てきたように、紅麹問題を経て、機能性表示食品の制度は安全性・信頼性の面で大きく見直されました。GMPによる製造管理や表示の厳格化など、届出に求められる水準は着実に上がっています。こうした変化に対応しながら適切に届出を行うには、制度と実務の両面に通じた専門的なサポートが有効です。
薬事法ドットコムは、機能性表示食品の届出支援を専門に手がけています。エビデンス構築のための臨床試験機関である日本臨床試験協会(JACTA)と連携し、届出書類の作成、エビデンス作成(PRISMA2020準拠SR・RCT)、届出代行までを一貫してサポート。数多くの届出に関与してきた実績があります。
制度改正への対応や届出でお困りの際は、ぜひ一度ご相談ください。
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