「エイジングケア」は使える!「アンチエイジング」との違いと薬機法上のNG・OK表現を解説
更新日:2025年9月18日
化粧品や医薬部外品の広告でよく見かける「エイジングケア」と「アンチエイジング」。似ているようで薬機法上の取り扱いは大きく異なる、注意が必要な表現です。
実際の広告制作では「この表現は使えるのか?」「どんな注意点があるのか?」と迷うケースが頻発します。適切に使えば高い訴求力を発揮する一方、誤った使い方をすると薬機法違反となり、行政処分や課徴金、さらには企業の信頼失墜といった深刻なリスクを招く可能性も。
本記事では、エイジングケア表現の薬機法上のルールから、実際の広告で使えるNG・OK表現例、そして違反を防ぐための体制づくりまで、広告・広報担当者が知っておくべきポイントを詳しく解説しますのでぜひお役立てください。
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1.薬機法におけるエイジングケア表現
化粧品や医薬部外品の広告において、「エイジングケア」や「アンチエイジング」という表現は消費者への訴求力が高い一方で、薬機法上の取り扱いには明確な違いがあります。「アンチエイジング」は原則として使用不可、「エイジングケア」は適切な条件下であれば使用可能というのが基本的なルールです。
この判断の分かれ目となるのは、その表現が「医薬品的な効能効果を暗示するかどうか」という点。広告担当者が特に注意すべきポイントは、表現の定義を明確にすること、文脈での印象も考慮することです。
「アンチエイジング」は基本的にNG
「アンチエイジング」という表現は、化粧品や医薬部外品の広告では原則として使用できません。この理由は、「アンチ(抗)エイジング(加齢)」という言葉が持つ意味にあります。
アンチエイジングは「老化に抗う」「加齢を防ぐ」「若返る」といった効果を直接的に連想させる表現です。これらの効果は医薬品レベルの効能に該当するため、化粧品や医薬部外品で標ぼうすることは薬機法第66条(誇大広告等の禁止)に違反します。
薬機法では、化粧品で表現できる効能効果を56項目に限定しており、医薬部外品についても承認された効能効果の範囲内でのみ表現が認められています。「老化防止」や「若返り」といった効果は、これらの認められた範囲を明らかに超えているため、アンチエイジングという表現そのものが使用不可となるのです。
「エイジングケア」は条件付きでOK
一方、「エイジングケア」という表現は、適切な条件を満たせば使用可能です。日本化粧品工業連合会では、エイジングケアを「加齢によって変化している現在の肌状態に応じて、化粧品等に認められた効能・効果の範囲内で行う、年齢に応じた化粧品等によるお手入れ(ケア)のこと」と定義しています。
重要なのは、エイジングケアが「お手入れ」を意味する言葉であり、効果そのものではないという点です。つまり、エイジングケアは「何かを改善する」のではなく、「年齢に応じたケアを行う」という行為を表現しているに過ぎません。
ただし、エイジングケアという表現を使用する際は、薬機法違反を避けるためにいくつかの配慮が必要になります。
使用時に特に注意すべきは、注釈の添付です。 実際の広告では「エイジングケア ※年齢に応じたケア」のような注釈を付け、「若返り効果がある」といった消費者の誤解を防ぐ必要があります。
また、文脈への配慮も欠かせません。 エイジングケアという言葉単体では問題なくても、「10年前の肌に戻る」といった文章や若返りを連想させる画像と組み合わせると、アンチエイジング的な効果を暗示してしまいますので、広告全体で一貫した表現レベルを保ちましょう。
さらに、効果との混同を避けることも大切です。「エイジングケア成分配合」のように、エイジングケアを成分や効果であるかのように表現することは避けるべきで、あくまで「お手入れの方法」として使用することが基本となります。
薬事法ドットコムでは、化粧品・医薬部外品等の広告表現が、薬機法や景表法等の法令に抵触していないかを添削する「薬事チェックサービス」を提供しています。経験豊富な専門家がご依頼いただいた広告を精査し、問題がある表現については、法令を遵守しつつ効果的な「売れる&通せる」代替表現をご提案しますので、広告表現に不安がある方はぜひご相談ください。
2.「エイジングケア」のNG/OK表現一覧
実際の広告でエイジングケア表現を使用する際、「この表現は使えるのか?」という判断に迷うケースが頻繁に発生します。判断の基準となるのは、その表現が「効能効果の標ぼうに該当するかどうか」という薬機法上の観点です。
以下の表では、NG/OK例を整理して判断のポイントを記載しました。広告制作やチェック作業でご活用ください。
| NG表現 | NG理由 | OK表現 |
|---|---|---|
| 若々しい素肌がよみがえるエイジングケア | エイジングケアが若返り効果を持つと読めるため | 年齢に応じた肌にうるおいを与えるエイジングケア |
| シワ専用美容液、シワを直す、シワを取り去るエイジングケア | エイジングケアが加齢によるシワ・たるみの防止、改善するものという意味合いで使用されているため | 乾燥しがちな肌をしっとり保つ年齢肌のためのエイジングケア |
| エイジングケアで若さは再び戻ります | エイジングケアが若返り効果を持つと読めるため | うるおいに満ちた肌を目指す年齢に応じたエイジングケア |
| エイジングケアで加齢に待った | エイジングケアが加齢による老化防止に効果を持つと読めるため | 年を重ねた肌をやさしく保湿するエイジングケア |
| アンチエイジングケア | エイジングケアが加齢による老化防止に効果を持つと読めるため | 年齢に応じたお手入れで肌を整えるエイジングケア |
| 肌の老化と戦う抗酸化成分○○を配合、○○エイジングケア | 配合成分やそれによるエイジングケア効果として老化防止を標ぼうしているため | 年齢を重ねた肌にうるおいを与える成分○○を配合したエイジングケア |
| シワの原因は真皮の劣化です。真皮の劣化はエイジングケアで改善できます | エイジングケアが加齢によるシワ・たるみの防止、改善するものという意味合いで使用されているため | うるおいによるハリ感をサポートするエイジングケア |
| エイジングケアで目覚めればシワ、タルミすっきり! | エイジングケアが加齢によるシワ・たるみの防止、改善するものという意味合いで使用されているため | 年齢とともに変化する肌をすこやかに保つエイジングケア |
| エイジングケアでシワを消すと同時に、シワのでき難い肌にする相乗効果 | エイジングケアを肌質を改善し、老化防止するものとして標ぼうしているため | 保湿によって乾燥による小ジワを目立たなくする年齢肌向けのエイジングケア |
| エイジングケアで衰えに負けない肌をつくる | エイジングケアを肌質を改善し、老化防止するものとして標ぼうしているため | 年齢肌に合わせた保湿のエイジングケアで肌のキメを整える |
| エイジングケア成分を配合 | エイジングケアが個別の具体的な効能・効果、または作用であるかの様に標ぼうしているため | ハリ不足が気になる年齢肌のために整肌成分○○を配合した△△でエイジングケア |
※OK表現を使用する際は、「※年齢に応じたケア」などの注釈を明記することが推奨されます。
※特に「エイジングケア」という文言を単独で使用する場合、注釈がないとアンチエイジング効果と誤認され、薬機法違反リスクが高まるため注意が必要です。
薬事法ドットコムでは、新規制や法改正の情報、皆さまから寄せられたご質問、警告情報など薬機法に関する最新の情報をわかりやすくお届けしています。
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3.薬機法違反となった場合のリスクと対処法
薬機法に違反した場合、単なる修正では済まされません。2021年8月からは課徴金制度も導入され、違反の代償はさらに大きくなっています。
| リスク区分 | 内容 | 具体例・影響 |
|---|---|---|
| 行政処分 | 措置命令、業務停止命令など | ・広告の差し止め ・製品の販売中止 ・一時的な広告活動の停止 |
| 刑事罰 | 懲役または罰金(違反内容による) | ・虚偽・誇大広告:2年以下の懲役または200万円以下の罰金 ・無許可販売:3年以下の懲役または300万円以下の罰金※法人にも両罰規定あり |
| 課徴金 | 売上額の4.5% | ・虚偽・誇大広告により得た売上に対して適用 ・大規模事業者ほど経済的打撃が深刻 |
法的な罰則に加え、違反による社会的信用の失墜も重大なリスクです。報道やSNSでの拡散によるブランド毀損、消費者の離反、取引先からの信用喪失や契約停止といった長期的な影響が現実に起こり得ます。
薬機法違反は「知らなかった」では済まされません。近年ではSNSやECサイトでの個人販売も監視対象となっており、事業規模に関わらず法令遵守が求められています。広告表現の段階から法令リスクを意識し、事前の対策を徹底しましょう。
4.違反を防ぐための対策
薬機法違反をしないためにも、まずは社内のチェック体制を整えることが大切です。広告制作者による一次チェック、上司や同僚による二次チェック、法務担当者による最終チェックといった複数段階でのチェック体制を設けましょう。
一人だけの判断に依存せず、複数の視点で表現上の問題を洗い出すことがポイントです。
エイジングケア表現については、「エイジングケア」に「※年齢に応じたケア」の注釈が付いているか、「アンチエイジング」等の禁止表現が含まれていないか、前後の文脈や画像でアンチエイジング効果を暗示していないか、「エイジングケア成分」など効果と誤認される表現がないかといった項目を重点的に確認しましょう。
薬機法に詳しい社内担当者または外部専門家による監修体制を整備することで、表現の適法性を客観的に判断できます。特に、新商品や新しい訴求軸の広告では、事前監修を必須にすると効果的です。
また、マーケティング部門の「売りたい」想い、広報部門の「伝えたい」想い、法務部門の「守りたい」想いを調整し、適法かつ魅力的な表現を見つけ出すための連携も欠かせません。定期的な部門間ミーティングや表現方針の共有により、チーム全体での薬機法意識を醸成しましょう。
専門家・薬機法コンサルへの依頼
前述したような社内リソースだけでは適切な判断が困難な場合や、グレーゾーンの表現について迷いが生じる場合は、薬機法の専門家やコンサルティング会社への依頼が有効な選択肢となる場合もあります。
薬機法に特化したコンサル会社や弁護士は、過去の違反事例や行政指導の傾向を熟知しており、微妙な表現の可否について的確なアドバイスを得られるのでおすすめです。
近年では、広告表現のチェックに特化したサービスも多数提供されており、薬機法だけでなく景品表示法や健康増進法なども含めた総合的な法令審査を受けることも可能です。社内では「問題ない」と思える表現でも、第三者の視点から見ると薬機法違反のリスクが潜んでいる場合があり、客観的な審査により見落としがちな問題を発見できます。
特に新商品の発売時や、これまでにない新しい訴求を行う際は、表現の適法性判断が困難になりがちです。また、競合他社が使用している表現であっても、必ずしも適法とは限りません。このような場合こそ、専門家の知見を活用することで、安全かつ効果的な表現を見つけ出せるでしょう。
なお、薬事法ドットコムでは「薬事チェックサービス」を提供しており、エイジングケア表現を含む化粧品や医薬部外品広告の薬機法チェックが可能です。1998年からのサービス開始以来培ったノウハウをもとに、熟練の専門家が文脈に沿いながら媒体・行政の傾向も踏まえた最適な表現を提案いたします。薬機法違反を防ぎながらも訴求力を落とさない代替表現の提案や、必要に応じた見解書作成などの媒体・行政対応も支援しております。
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5.まとめ
本記事では、エイジングケア表現の薬機法上の取り扱いについて詳しく解説してきました。
「アンチエイジング」は基本的にNG、「エイジングケア」は条件付きでOKという使い分けを理解し、注釈の添付や文脈への配慮といった使用時の注意点を押さえることが一番のポイント。
今回ご紹介したOK/NG表現一覧は、実際の広告制作やチェック作業でぜひ参考にしてください。また、複数段階でのチェック体制や部門間連携、専門家の活用といった対処法も、薬機法違反のリスクを最小限に抑えるために有効です。
エイジングケア表現は正しく使用すれば、消費者への強い訴求力を持ちながら薬機法にも適合する優れた広告表現となります。本記事でお伝えしたポイントを実務に活かし、安全で魅力的な広告作りにお役立てください。
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この記事の監修を担当した弁護士
薬事法ドットコム
パートナー弁護士 西脇威夫
一橋大学法学部卒。元ナイキ・インハウスロイヤー、エンターテインメント・ローヤーズ・ネットワーク会員、日本スポーツ法学会会員 他。
法人の設立、商業取引(英文及び和文の各種契約の作成・レビュー、ブランド保護、偽物対策、独禁法のアドバイス等)、人事労務、コンプライアンスについて、経験豊富。
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