景品表示法(二重価格表示のルールについて)
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景品表示法(二重価格表示のルールについて)

その価格表示、信用できるかな?

個人商店やスーパーなどは、価格を安くしたりサービスを良くしたりといった競争をしています。しかし、この競争は公正でなくてはなりません。公正な競争をするためのルールの一つとして景品表示法があります。この法律は、事業者による不当な表示や過大な景品を禁止する法律で、正式には「不当景品類及び不当表示防止法」といいます。ここでは、景品表示法による二重価格表示のルールについて説明します。

二重価格表示について

「当店通常価格3,000円の品を1,980円!!」チラシや店頭で、こんな表示を見かけることも多いと思います。このように、その店での販売価格とは別に、参考となる別の価格(これを「比較対照価格」といいます)を同時に表示することを「二重価格表示」といいます。上記の例では、販売価格は1,980円、比較対照価格は3,000円ということになります。

二重価格表示は、それが適正に行われていれば問題はありません。しかし、比較対照価格が根拠のないものや不合理なものだと、販売価格が実際以上に安くなっているとの誤解を消費者に与えることになり景品表示法上問題となります。

では、二重価格表示にはどのようなルールがあるのでしょうか。

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比較対照価格は主に3種類

比較対照価格として主に用いられるのは、(1)過去の販売価格(2)他店の販売価格(3)メーカー希望小売価格の3種類です。

では、順番に二重価格表示のルールを見ていきましょう。

(1)過去の販売価格

よく、「当店通常価格」や「セール前価格」などと表示されているもので、次のようなルールがあります。

(2)他店の販売価格

これは、「市価」や「他店販売価格」などとして表示される価格です

  1. 市価を比較対照価格に用いるときは、地域内の事業者の相当数が実際に販売している価格を用いる必要があります。
  2.  特定の競争事業者の販売価格と比較する場合は、その事業者の実際の販売価格及び事業者の名称を明示する必要があります。

よく、「当店通常価格」や「セール前価格」などと表示されているもので、次のようなルールがあります。

  1. 過去8週間のうち、4週間以上の販売実績があれば、過去の販売価格として表示することができます(例1)。
  2. 販売開始から8週間未満のときは、販売期間の過半かつ2週間以上の販売実績があれば、過去の販売価格として表示することができます(例2)。
  3. 上記(1)や(2)を満たす場合であっても、実際に販売した最後の日から2週間以上経過している場合には、過去の販売価格として表示することは、原則としてできません(例3)。
  4. 販売期間が2週間未満のときは、過去の販売価格として表示することは、原則としてできません(例4)。

メーカー希望価格とオープン価格

ところで、メーカー希望小売価格とはどういうものなのか、また、最近よく目にする「オープン価格」とはどんなものかについて、もう少しくわしく説明します。

販売価格を決めるのは小売店

ある商品をいくらで売るかは各小売店が決めることです。同じ商品でも、A店では○○円、B店では△△円ということは、今や当たり前のことといえるでしょう。各小売店は、仕入れ価格に販売経費や自店の利益などを上乗せし、他店の価格の動きなども参考にしながら自店での販売価格を決めていきます。

メーカー希望小売価格とは

一方、メーカー希望小売価格とは、メーカーが小売店に対し、この価格で売ってほしいという希望・目安を示したものです。この価格のとおりに販売するかどうかは各小売店の自由です。メーカーが希望小売価格で販売することを小売店に守らせることは、書籍など一部の商品を除いて独占禁止法で禁止されています。

オープン価格とは

家電製品売り場で、「メーカー希望小売価格」の欄に「オープン価格」又は「O.P(Open Price の略)」と記載されているのを見かけた方も多いと思います。これは、メーカーが希望小売価格を示すことをやめ、販売価格の決定を完全に小売店に委ねたことを意味しています。オープン価格には、発売当初はメー カー希望小売価格があったが途中でそれをとりやめる場合と発売当初から希望小売価格を設定しないケースがあります。

メーカーがオープン価格制を採用している理由としては、

 

  1. ある商品がメーカー希望小売価格より大幅に安く売られていると消費者に「値崩れを起こしている」というマイナスイメージを与えるので、それを防ぎたい。
  2. メーカー希望小売価格が実際の販売価格と著しくかけ離れたままにしておくと、メーカー希望小売価格の存在が消費者に間違った情報を与える結果となり消費者の判断を狂わせることもある。

といったことが考えられます。

希望価格がないと分かりにくい?

オープン価格制については、価格を比較するときの目安がなくなり不便になったという声も聞かれます。メーカー希望小売価格は、確かに商品を買うときの目安の一つになっています。しかし現在は、技術革新のテンポが速く、また、各小売店が競争のため商品ごと、時期ごとにきめ細かく価格を設定するようになっています。このため、商品によっては希望小売価格で販売しているお店はほとんどないということも起きています。このように販売の実態のない価格は、もはや目安になるとはいえないのではないでしょうか。

信用できるのか確かめる方法は?

二重価格表示が適正なものかどうか確かめるには、次のような方法があります。

 

  1. 過去の販売価格は、お店の人に尋ねたり、以前の売り出しのときのチラシなどで確認できます。
  2. 他店販売価格については、近隣地域の他店の価格をチラシや各販売店のインターネットの公式サイトなどで確認できます。
  3. メーカー希望小売価格については、メーカーの作成したパンフレットやメーカーの公式サイトなどで確認できます。

商品を選ぶときは、価格だけでなく機能や品質も十分にチェックして納得のいく買い物をしたいですね。

もっと詳しく知りたい

公正取引委員会のホームページ(景品表示法)
http://www.jftc.go.jp/keihyo/index.html

※法律の条文を確認したい場合は、電子政府の総合窓口(法令検索)をご覧ください。
http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi 

この記事の監修を担当した弁護士

西脇 威夫

リップル法律事務所
弁護士 西脇威夫

一橋大学法学部卒。元ナイキ・インハウスロイヤー、エンターテインメント・ローヤーズ・ネットワーク会員、日本スポーツ法学会会員 他。
法人の設立、商業取引(英文及び和文の各種契約の作成・レビュー、ブランド保護、偽物対策、独禁法のアドバイス等)、人事労務、コンプライアンスについて、経験豊富。

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