(あ)インスタグラマーの投稿には「この化粧品でシミが消え
た」など、それが広告なら明らかに薬事法違反の投稿
が沢山あります。ステマ規制違反にならぬよう「#PR」
などと注記を付けると、薬事法違反で追及されること
にならないでしょうか?
(い)エステ経営者が「顔トレでシワが消える」といった本
を出し、その本で顔トレを実施する自分のエステや
そこで使う化粧品を「シワが消える」用のアイテムと
して紹介している、という場合、ステマ規制と薬事法
はどうなりますか?
掲載日:2023/3/9
企業名:(非公開)
1.(あ)について
1)薬事法は「何人も」規制であり、販売者だけでなく誰
でもターゲットとなりえます。それゆえ、ステラ漢方
事件では広告代理店社員が薬事法違反で逮捕されると
いうことになりました。
また、21年3月の茅ヶ崎事件では、アフィリエイター
が健食の効果訴求の薬事法違反で書類送検されていま
す。
2)これまでインスタグラマーの投稿などは、個人の意見
なのか広告なのかよくわからないということで放置
されて来ましたが、ステマ規制との兼ね合いで広告で
あることを付記するようになると、たしかに理論上は
インスタグラマーの投稿を薬事法違反で追及すること
も可能になります。
3)但、ステマ規制の話は景表法の領域内で進んでいる話
なので、運用の問題として、まずは景表法優先で、
景表法を所管しない役所が薬事法違反を追及する可能
性は低いでしょう。
2.(い)について
1)ステマの定義は「事業者が自己の供給する商品又は
役務の取引について行う表示であって、一般消費者
が当該表示であることを判別することが困難である
と認められるもの」なので、お金払って私が自己PR
のために記事としてメディアに登場しても、物販や
役務提供と関係ないので、ステマ規制の対象外です。
2)しかし、水面下タイアップの記事や本の内容が物販
や役務提供に関わるものであるならば、対象となり
うるので「広告」とか「依頼に基づいて書かれたもの
です」といった注記がないとステマ規制違反になり
ます。
なお、この場合、違反の責任を負うのメディアでは
なく、そこに登場している企業です。
「このタイアップはメディアから持ち掛けて来たもの
だ」という言い訳は通用しません。
3)役務提供は薬事法には絡みませんが、化粧品販売の
ような物販だと薬事法も絡んで来ます。
しかし、(あ)と同様、運用の問題として薬事法違反が
追及される可能性は低いでしょう。