1. ご指摘の裁判とは、適格消費者団体京都消費者契約ネットワークが景表法に基づいてサンクロレラ社に対してクロレラ研究会のクロレラチラシの配布差し止めを求めた訴訟で、京都地裁は差止請求を認める判決を下しました(2015年1月21日)。
2. 判決は、次のように述べて、クロレラ研究会とサンクロレラ社を同一と認定しています。
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(2)被告は,研究会チラシの作成配布費用だけでなく,ク
ロレラ研究会によるクロレラ等の広報活動に要する費用を
全て負担している。
(3)被告のすべての従業員がクロレラ研究会の会員となっ
ており,クロレラ研究会は,その活動のために独自に人件
費というものを支出していないし,団体としての会計管理
や税務申告を行っているわけでもない。
(4)被告は,クロレラ研究会が使用するとされている電話
番号の回線契約者であり,その電話料金を全て負担してい
る。
(5)クロレラ研究会の京都本部は,被告の本社ビル内にあ
るとされているが,クロレラ研究会から被告に対し,事務
所使用料の支払はされていない。
(6)クロレラ研究会富山支部も,被告の事務所内に設置さ
れている。
(7)クロレラ研究会のウェプサイトからクロレラ研究会に
資料請求をすると,クロレラ研究会が作成したとする多数
の資料が送付されてくるほか,被告商品のカタログや注文
書が送付されてくる。
(8)研究会チラシに記載された電話番号に従ってクロレラ
研究会に電話で問い合わせると,被告商品の購入を推奨
される。
(9)クロレラ研究会は,被告商品以外の商品のカタログを
送付することはない。
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つまり、研究会の資金源、研究会の所在地、研究会のスタッフ、チラシにレスポンスした後の商品勧誘などから、クロレラ研究会=サンクロレラ社と認定しています。
3.そして、「チラシに商品名が出て来ないから広告とは言えない」というサンクロレラ社の主張にはこう答えています(本件は景表法違反を追及する訴訟であったため景表法に寄った説明になっています)。
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商品名を表示しない広告であっても多数の消費者が当該広
告で行われた不当な説明に誘導されて特定の商品購入に至
るという仕組みがある場合には,当該広告をも景表法の規
制対象としなければ,景表法の規制目的を達成することが
非常に困難となる。
これを研究会チラシについてみるならば,そこに記載された
様々な効用に開心を抱いた顧客は必然的に被告商品の購入
を勧誘されるという仕組みが取られているのであるから,
研究会チラシの記載を被告商品の品質に関する表示とみな
ければならないのである。
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4.本件はこの後、チラシの内容が優良誤認だとして、サンクロレラ社はこのチラシで景表法を犯している、という結論に至っています。
もし、本件が薬事法違反を追及する訴訟だったとしたら、このチラシの作成主体は実質サンクロレラ社で、このチラシに商品名が出て来ないから広告該当性が否定されるわけではないとして、薬事法違反とされたでしょう。
5.以上からすると、研究会名義にしたからセーフになるわけでもなく、成分名のみで商品名出て来ないからセーフになるわけでもない、と言えます。