1.適正広告基準とは?
化粧品の広告に関しては医薬品等適正広告基準という厚労省通知もカバーします。広告
することを止めろと言っているような通知で広告担当者の頭を悩ませますが、実際の運用
についてお知りになりたい方は弊社にお問い合わせ下さい。
2.ルールの内容
さて、内容は別表のとおりです。
この中には効能の範囲に関するものもありますが、そうでないものもあります。後者
は本来、広告に関する一般的ルールである景表法のテリトリーに入り公正取引委員会
が扱うべきもので、「おや、越権行為か」と思えるのですが、実は法的根拠がありま
す。つまり、薬事法66条1項が「何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療用具
の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを
問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない」と規定し
ているため、厚労省が景表法的問題にも口出しできることになります。こういう根拠
に基づいて厚労省が通知の形で発したのが適正広告基準です。
3.特に注意を要するもの
3-1.医美容関係の推薦表現の禁止
1)不可なもの
「ドクター××が推薦」とか「○○クリニックでも使われていますという表現は不可
です。
2)可なもの
①「ドクターズコスメ」は医師の推薦とまでは言えないので可です。
②「ドクター△△と共同開発しました」も医師の推薦とまでは言えないので可です。
3-2.Before⇔After
[基準3(6)]に関し、「医薬品化粧品等広告の禁止」では次のように述べており、Before⇔After
の比較は許されません。
「使用前、使用後の表現については医薬品等の効能効果等又は安全性の保証表現となる
ので原則として認められない。但し、使用前及び使用後がないもので、かつ、使用方
法の説明として使用中のものを表現することは差し支えない」。
3-3.体験談
同じく同書は次のように述べ、体験談の使用も禁止しています。
愛用者の感謝状、感謝の言葉等の例示及び「私も使っています」等使用経験又は体験
談的広告は、客観的裏付けとはなりえず、かえって消費者に対し、医薬品等の効能効
果等又は安全性について誤解を与えるおそれがあるので行わないこと」。
但し、医薬品(目薬、外皮用剤等)や化粧品等の広告で使用感を説明する場合や、タ
レントが単に製品の説明や呈示を行う場合は、本項には抵触しない。この場合には、
使用感が過度にならないようにすること」。
cf.ある薬用育毛剤のユーザーが10万人を超えたので、お客様にアンケートを実施して
100名の生の声を集め、新聞広告として出したケースがあった。内容は、お客様が書か
れたフリー記述をそのまま記載し、商品の良さをお客様の声を用いて訴求するというも
のだった。上記2-3.では体験談の使用を禁じているが、このケースは、「体験談」で
はなく、お客様が薬用育毛剤を使用した「使用感の声」というロジックで適性広告基準
を乗り切った。