化粧品広告でうたえる「メーキャップ効果」のOK/NG表現を薬機法に基づいて徹底解説
更新日:2026年2月9日
「自社のファンデーションのカバー力をもっとアピールしたい」 「『シワが消える』と書きたいが、薬機法違反にならないか不安だ」
年々厳しくなる広告規制に、表現の限界を感じている方も多いのではないでしょうか。 しかし、諦めるのはまだ早いです。実は、一般的に知られる化粧品の56の効能効果とは別に、広告表現として認められているメーキャップ効果という概念が存在します。
このロジックを正しく理解し、事実に基づいた構成を行えば、リスクを回避しながら魅力的な訴求を行うことは十分に可能です。
本記事では、化粧品広告におけるメーキャップ効果の定義と、実務ですぐに使えるOK/NG表現について解説します。
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1.メーキャップ効果とは?
メーキャップ効果とは、化粧品を使用することで色彩や物理的効果により、一時的に容貌(見た目)を変える効果のことを指します。あくまで「塗っている間だけの一時的な変化」であり、肌そのものを治療・改善するものではありませんが、見た目の美しさを訴求する上では非常に強力な武器となります。
メーキャップ効果は、大きく以下の2種類に分類されます。
色彩効果(視覚的な変化)
化粧品に含まれる顔料やパウダーの色味によって、肌の欠点を隠したり、彩りを与えたりする効果のことです。一般的にメイクアップ化粧品と呼ばれるカテゴリー(ファンデーション、口紅、アイシャドウ、チークなど)で主に使用されます。
【主な例】
- ファンデーションでシミを隠す
- コンシーラーでクマをカバーする
- コントロールカラーで肌色を補正する
物理的効果(形状的な変化)
成分が乾燥して収縮する作用や、物理的な接着力などを利用して、一時的に肌やパーツの形状を変える効果のことです。メイクアップ化粧品に限らず、美容液やクリームなどの基礎化粧品であっても、物理的な作用機序(メカニズム)の事実があれば標ぼうすることが可能です。
【主な例】
- 皮膜形成成分が乾く際の収縮効果で、小ジワを伸ばす
- 糊状の成分で、二重まぶたを形成する
- まつ毛をカールさせる
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2.メーキャップ効果のOK/NG表現の例
メーキャップ効果を活用すれば、通常はNGとされる強い言葉も、文脈次第でOKに変えられる可能性があります。ただし、その境界線は非常にシビアです。
ここでは、現場で頻出する4つのカテゴリーについて、具体的なNG/OK表現と、それぞれのポイントを解説します。
シミ・毛穴の表現
シミや毛穴に関しては、消費者に治療的な効果(シミが消失する)だと誤認させないことが鉄則です。あくまで見えなくなるという視覚的変化にフォーカスします。
【NG例】
シミが消える
毛穴がなくなる
根本からシミを解決
化粧品でシミそのものを消滅させることはできません。これらは薬機法第66条の虚偽・誇大広告とみなされます。
【OK例】
シミを自然にカバーする
毛穴を目立たなく見せる
ひと塗りで、陶器のような肌へ(※メーキャップ効果)
「隠す」「覆う」「見えにくくする」というニュアンスであれば、強力な訴求が可能です。
シワ・たるみ・リフトアップの表現
エイジングケア商品は特に監視が厳しいジャンルです。「エイジングケア(年齢に応じたケア)」という表現は認められていますが、「若返る」といった身体の機能回復や改善を暗示する表現は、化粧品の定義を逸脱するため明確に禁止されています。
あくまで物理的な変化を事実に基づいて説明する必要があります。
【NG例】
深いシワが改善する
細胞レベルで若返る
たるみが解消してリフトアップ
「シワ改善」は特定の医薬部外品(有効成分配合)でのみ認められる効能です。一般化粧品でこれを謳うと違反になります。
【OK例】
乾燥による小ジワを目立たなくする(※効能評価試験済み)
物理的な皮膜効果で、ピンとしたハリ感
溝を埋めて、肌をフラットに見せる
「治す」のではなく、物理的に「伸ばす」「埋める」というロジックを用います。特に物理的効果を謳う場合は、そのメカニズム(成分の特性など)の説明が求められます。
美白・トーンアップの表現
美白は医薬部外品だけの特権と思われがちですが、メーキャップ効果としての「白さ」であれば表現可能です。
【NG例】
使うたびに肌が白くなる
メラニンを排出して美白肌へ
「肌本来の色が変わる」「持続的な美白効果がある」と誤認させる表現はNGです。
【OK例】
塗った瞬間、ワントーン明るい白肌へ(※メーキャップ効果)
透明感のある仕上がり
くすみを飛ばして明るく見せる
「塗った瞬間」「仕上がり」といった言葉で、一時的な演出であることを明確にします。
小顔・顔痩せの表現
化粧品で痩せることはできません。マッサージ効果やシェーディング(陰影)効果として訴求する必要があります。
【NG例】
塗るだけで小顔になる
顔の脂肪が燃焼してスッキリ
顔痩せ効果
痩身効果(脂肪燃焼や顔の形が変わる効果)は化粧品の範囲を超えています。
【OK例】
シェーディング効果で小顔に見せる
影を仕込んで、引き締まった印象の肌へ
マッサージにより、すっきりとしたフェイスラインへ
メーキャップ(陰影)による視覚効果か、マッサージを併用した物理的な効果であることを明記しましょう。
3.その表現はNGかも?「メーキャップ効果」の注意点
「メーキャップ効果なら何を言ってもいい」「注釈さえつければ許される」と安易に考えていると、行政指導や課徴金の対象になるリスクがあります。 特に注意すべき運用の落とし穴を4つ挙げます。
1.ただ「注釈」を書けば良いわけではない
「シミが消える※」と大きく書き、離れた場所に極小文字で「※メーキャップ効果による」と記載する手法は非常に危険です。
景品表示法では、消費者が認識できないような打ち消し表示(注釈)は無効とみなされます。注釈は、主張したいコピーの直近に、認識できる大きさで記載する必要があります。
2. 効果の「保証」や「持続時間」の断定は禁止
たとえ事実に基づいていたとしても、薬機法第66条(誇大広告等の禁止)および医薬品等適正広告基準では、効能効果の確実性を保証する表現を厳しく禁じています。 具体的には、以下の3つのパターンが規制対象となります。
①絶対的表現・数値による保証
「誰にでも」「確実に」効果が出ると誤認させる表現は認められません。
【NG例】
絶対に見えなくなる(絶対的表現)
100%隠れる、満足度98%でシミが消える(数値による保証)
② 最大級表現の使用
効能効果に関して、他社製品と比較して最大級であることを示す言葉も禁止されています。
【NG例】
世界一のカバー力
最高の仕上がり
比類なき白さ
③ 持続時間や速効性の断定
「効果が24時間持続する」といった表現は、使用環境や個人差を無視した保証とみなされるためNGです。過去の指導例でも、メーキャップ効果による小ジワ隠しについて具体的な時間(○時間持続)を断定することは認められていません。
具体的な数値や断定を避け、あくまで「状態」や「事実」を伝える表現に留めましょう。
【OK例】
化粧崩れを防ぐ
朝の仕上がりをキープ
ただし、これらも「絶対に崩れない」といった断定的なニュアンスを含むとNGになるため注意が必要です。
3. ビフォーアフター写真の「加工」は厳禁
メーキャップ効果を示すために、使用前・使用後の写真を使用すること自体は可能です。しかし、ここでやってはいけないのが作為的な加工です。
- 照明(ライティング)を変えて、使用後を明るく飛ばす
- 画像編集ソフト(レタッチ)でシミを消す
- 表情を変えてシワを伸ばす
これらは商品の効果ではなく、加工の効果であり、優良誤認表示(景表法違反)や虚偽広告(薬機法違反)として厳しく判断されます。写真は必ず同一条件で撮影し、事実に基づいた変化のみを掲載してください。
4. 基礎化粧品で「メーキャップ効果」をうたう際のエビデンス
美容液やクリームなどの基礎化粧品で「シワを伸ばす(物理的効果)」とうたう場合、「単に塗るだけ」では根拠不十分とされるケースがあります。
「皮膜形成成分(ポリマー等)が配合されており、乾燥時に収縮する」といった、客観的な科学的根拠が必要となります。
単なる保湿成分だけで「物理的にシワが伸びる」と言うのは虚偽となるため注意が必要です。
薬事法ドットコムでは、化粧品・医薬部外品等の広告表現が、薬機法や景表法等の法令に抵触していないかを添削する「薬事チェックサービス」を提供しています。経験豊富な専門家がご依頼いただいた広告を精査し、問題がある表現については、法令を遵守しつつ効果的な「売れる&通せる」代替表現をご提案しますので、広告表現に不安がある方はぜひご相談ください。
4.薬機法違反となった場合のリスクと罰則
薬機法に違反した場合、単なる修正では済まされません。2021年8月からは課徴金制度も導入され、違反の代償はさらに大きくなっています。
| リスク区分 | 内容 | 具体例・影響 |
|---|---|---|
| 行政処分 | 措置命令、業務停止命令など | ・広告の差し止め ・製品の販売中止 ・一時的な広告活動の停止 |
| 刑事罰 | 懲役または罰金(違反内容による) | ・虚偽・誇大広告:2年以下の懲役または200万円以下の罰金 ・無許可販売:3年以下の懲役または300万円以下の罰金※法人にも両罰規定あり |
| 課徴金 | 売上額の4.5% | ・虚偽・誇大広告により得た売上に対して適用 ・大規模事業者ほど経済的打撃が深刻 |
法的な罰則に加え、違反による社会的信用の失墜も重大なリスクです。報道やSNSでの拡散によるブランド毀損、消費者の離反、取引先からの信用喪失や契約停止といった長期的な影響が現実に起こり得ます。
薬機法違反は「知らなかった」では済まされません。近年ではSNSやECサイトでの個人販売も監視対象となっており、事業規模に関わらず法令遵守が求められています。広告表現の段階から法令リスクを意識し、事前の対策を徹底しましょう。
5.違反を防ぐための対策
薬機法違反のリスクを回避するには、広告制作プロセスにおけるチェック体制の整備が欠かせません。企業によっては「法務部門が最終確認を行っているから大丈夫」と考えがちですが、制作段階でのチェック漏れが原因で修正対応に追われるケースもあります。初期の企画段階から薬機法を意識した運用体制を築くことが重要です。
以下のような対策を実践することで、違反リスクを抑えることができます。
- 制作部門と法務部門の連携強化
商品特性や訴求内容に応じて、事前に表現の方向性をすり合わせておくことで、修正の手間を減らせます。 - 薬機法に関する社内ガイドラインの整備
OK/NG表現例、使用可能な効能効果一覧、チェックフローなどをマニュアル化し、関係者が共通認識を持てるようにします。 - 第三者による表現チェックの導入
広告代理店やデザイナー任せではなく、法律の専門知識を持った担当者または外部コンサルによる確認体制を導入することで、客観的な判断が可能になります。 - 制作フローにチェックリストを組み込む
「医薬品的表現になっていないか」「効果を保証する文言が含まれていないか」など、最低限確認すべきポイントを明文化しておくことで、誰でも初期段階で確認できる仕組みができます。
このように、「誰が」「いつ」「どこで」チェックするかをあらかじめ設計しておくことが、トラブルを未然に防ぐポイントです。
専門家・薬機法コンサルへの依頼
広告表現のチェック体制を社内だけで完結させるのが難しい場合は、薬機法に精通した外部の専門家やコンサルティングサービスの活用も有効です。
薬機法における表現判断は、単に法律を知っていればよいというものではなく、行政の運用実務や過去の指摘事例への理解が不可欠です。また、近年では景表法・ステマ規制・健康増進法など、複数の法令が広告に関わってくるため、総合的な観点でのチェックが求められます。
その点、弁護士が関与する薬機法コンサルティングサービスを活用すれば、表現に関する法令上の適否を含めたチェックを客観的に受けられるほか、社内運用体制やガイドライン整備、社員教育の支援も可能になります。
これは、制作現場の負担軽減とコンプライアンス強化を両立する手段として非常に有効です。
なお、薬事法ドットコムでは、薬機法に特化した広告表現コンサルティングサービスを提供しています。
1998年のサービス開始以来、D2C・EC企業や広告代理店をはじめとする多くのクライアントに対して、薬機法違反を防ぎつつ、広告効果を最大化する表現提案を行ってきました。
提携弁護士による法的観点のチェックと、実務に精通したコンサルタントによる媒体・行政事情を踏まえた代替表現の提案を組み合わせることで、リスクを抑えながらも訴求力のある広告制作を支援しています。
また、広告原稿のチェックにとどまらず、表現ガイドラインの策定や見解書の作成、行政対応の助言まで幅広く対応可能です。
薬機法対応に不安を感じる企業様は、ぜひ私たちにご相談ください。
薬事法ドットコムでは、化粧品・医薬部外品等の広告表現が、薬機法や景表法等の法令に抵触していないかを添削する「薬事チェックサービス」を提供しています。経験豊富な専門家がご依頼いただいた広告を精査し、問題がある表現については、法令を遵守しつつ効果的な「売れる&通せる」代替表現をご提案しますので、広告表現に不安がある方はぜひご相談ください。
6.まとめ
薬機法は、単なる禁止事項の羅列やビジネスの足枷ではありません。消費者を守るためのルールであると同時に、正しく理解して活用すれば、競合他社と差別化し、商品の魅力を最大限に引き出すための強力な指針にもなり得ます。
今回解説したメーキャップ効果は、まさにその最たる例です。
「シミが消える(消失)」と言えば違法になりますが、「シミを目立たなくする(物理的効果)」というロジックを正しく組み立てれば、堂々と効果を訴求できます。
重要なのは、以下の3点を徹底することです。
- 「治療・改善(永続的)」ではなく「演出・カバー(一時的)」に徹する
- 「感覚的な言葉」ではなく「物理的な事実(メカニズム)」に基づいた表現を選ぶ
- 写真加工や極小の注釈などの「小手先のテクニック」に頼らない
ルールを守ることは、リスク回避のためだけではありません。根拠に基づいた誠実な広告表現は、結果として消費者の信頼を獲得し、ブランドの資産となります。
ぜひ本記事を参考に、攻めと守りを両立させたクリエイティブ制作にお役立てください。
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この記事の監修を担当した弁護士
薬事法ドットコム
パートナー弁護士 西脇威夫
一橋大学法学部卒。元ナイキ・インハウスロイヤー、エンターテインメント・ローヤーズ・ネットワーク会員、日本スポーツ法学会会員 他。
法人の設立、商業取引(英文及び和文の各種契約の作成・レビュー、ブランド保護、偽物対策、独禁法のアドバイス等)、人事労務、コンプライアンスについて、経験豊富。
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