化粧水広告のOK/NG表現を薬機法に基づいて解説
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化粧水広告のOK/NG表現を薬機法に基づいて解説

更新日:2026年1月29日

化粧水の広告表現には、薬機法にもとづく明確なルールがあります。
「保湿」「肌を整える」といった化粧品として認められる範囲の表現から、「ニキビを防ぐ」「しみ・そばかすを防ぐ」といった医薬部外品の効能まで、訴求できる内容は商品分類によって大きく変わります。一方で、「浸透」「シワ予防」など一般的に魅力的な言葉でも、制度上はNGとなるケースが多く、表現次第では薬機法違反として行政処分の対象になるおそれがあります。

本記事では、化粧水広告で使用できるOK表現と、避けるべきNG表現をまとめ、判断の根拠や注意すべきポイントを実務目線で解説します。自社広告の見直しや表現チェックの際に、ぜひお役立てください。

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1.化粧水の広告は薬機法の規制対象

化粧水の薬機法上の分類

化粧水をはじめとするスキンケア商品は、「化粧品」または「医薬部外品(薬用化粧水)」のいずれかに分類されるため、薬機法の規制対象です。

たとえば、一般的な化粧品では「保湿」「肌を整える」など、化粧品として認められた範囲内の表現、医薬部外品では「ニキビを防ぐ」「日焼けによるシミ・そばかすを防ぐ」などの表現が認められています。
このように、広告で使える表現は、商品カテゴリと薬機法上の位置づけによって大きく左右されます。

それぞれに定められた効能効果の範囲を超えると薬機法違反とみなされ、行政処分などの罰則を受けるリスクがあるため、とくに、医薬品的な効能を示唆する表現や、過剰な効果訴求には注意が必要です。
まずは、薬機法が広告においてどのような役割を持つのか、その基本的な考え方を確認しておきましょう。

薬機法とは

薬機法は、医薬品だけでなく医薬部外品や化粧品などの品質と安全性を確保することを目的とした法律です。
消費者の健康を守ることを目的としており、製品そのものの規制だけでなく、広告表現についても厳しく制限を設けています。

化粧品や医薬部外品の広告では、それぞれに認められた効能効果の範囲内でのみ訴求することが認められており、その効能効果の範囲は厚生労働省がルールを定めています。
その範囲を超えるような表現は、医薬品的効能の標ぼうとみなされ、薬機法違反に該当する可能性があります。

広告表現は、消費者の印象によって判断されるため、「商品説明のつもりだった」「効果を保証する意図はなかった」といった説明は通用しません。
このように、薬機法では広告表現の微細なニュアンスにも厳密な注意が求められるのです。

薬事法ドットコムでは、新規制や法改正の情報、皆さまから寄せられたご質問、警告情報など薬機法に関する最新の情報をわかりやすくお届けしています。
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2.化粧水広告におけるOK表現

化粧水の広告では、商品が「化粧品」なのか「医薬部外品(薬用化粧水)」なのかによって、訴求できる表現の範囲が明確に定められています。

以下は、化粧品と医薬部外品それぞれの広告で認められる表現の例です。誤認や薬機法違反を避けるための実務的な判断材料としてご活用ください。

【 化粧品 】

OK表現認められる表現の範囲
保湿成分配合で、乾燥小ジワを目立たなくし、ハリを与えます。乾燥による小ジワを目立たなくする
古い角質や皮脂汚れを取り除き、肌をさっぱりと清潔に保ちます。(汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする
乱れた肌のキメを整え、なめらかさをもたらします。肌を整える / 肌のキメを整える
うるおい成分が、乾いた肌の角層のすみずみまで浸透し、みずみずしさを与えます。皮膚にうるおいを与える(浸透を表す場合は角層までの限定が必要)
肌の水分と油分のバランスを保ち、バリア機能をサポートします。皮膚の水分、油分を補い保つ
硬くなった肌を解きほぐし、ふっくらとした柔らかな肌へ。肌を柔らげる

【 医薬部外品(薬用化粧水) 】

OK表現認められる表現の範囲
有効成分(成分名)が、肌あれを防ぎ、荒れ性から守ります。肌あれ。あれ性。
ニキビの原因にアプローチし、繰り返すニキビの発生を防ぎます。にきびを防ぐ
美白有効成分がメラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぎます。日やけによるしみ・そばかすを防ぐ
ひげそり後のデリケートな肌をケアし、カミソリ負けを防ぎます。かみそりまけを防ぐ
強い日差しを浴びた後ヒリヒリとしたほてりを鎮めます。日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ
健やかな肌を保つための必須成分を供給し、肌を整えます。皮膚をすこやかに保つ

化粧品広告で使用できる表現

化粧品の広告では、厚生労働省が通知により定めた56項目の効能効果の範囲に限定して、表現が許可されています。この範囲を逸脱した訴求は、薬機法違反とみなされる可能性があるため注意が必要です。

化粧品広告で認められている皮膚や肌に関する効能効果は、以下の通りです。

  1. (汚れをおとすことにより)皮膚を清浄にする。
  2. (洗浄により)ニキビ、アセモを防ぐ(洗顔料)。
  3. 肌を整える。
  4. 肌のキメを整える。
  5. 皮膚をすこやかに保つ。
  6. 肌荒れを防ぐ。
  7. 肌をひきしめる。
  8. 皮膚にうるおいを与える。
  9. 皮膚の水分、油分を補い保つ。
  10. 皮膚の柔軟性を保つ。
  11. 皮膚を保護する。
  1. 皮膚の乾燥を防ぐ。
  2. 肌を柔らげる。
  3. 肌にはりを与える。
  4. 肌にツヤを与える。
  5. 肌を滑らかにする。
  6. ひげを剃りやすくする。
  7. ひげそり後の肌を整える。
  8. あせもを防ぐ(打粉)。
  9. 日やけを防ぐ。
  10. 日やけによるシミ、ソバカスを防ぐ。
  11. 乾燥による小ジワを目立たなくする。

注1) 例えば、「補い保つ」は「補う」あるいは「保つ」との効能でも可とする。
注2) 「皮膚」と「肌」の使い分けは可とする。
注3) ( )内は、効能には含めないが、使用形態から考慮して、限定するものである。

参照元:化粧品の効能の範囲の改正について(平成23年7月21日 薬食発0721第1号)

医薬部外品広告で使用できる表現

医薬部外品(薬用化粧水)は、製品ごとに厚生労働大臣の承認を受けた効能効果の範囲内でのみ、表現が認められます。化粧品よりも強い訴求が可能である反面、「承認された内容の範囲に限定される」という明確なルールがあります。

薬用化粧水で認められている効能効果は、以下の通りです。

  • 肌あれ
  • あれ性
  • あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびを防ぐ
  • 油性肌
  • かみそりまけを防ぐ
  • 日やけによるしみ・そばかすを防ぐ (注1)
  • 日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ
  • 肌をひきしめる
  • 肌を清浄にする
  • 肌を整える
  • 皮膚をすこやかに保つ
  • 皮膚にうるおいを与える

注) 作用機序によっては、「メラニンの生成を抑え、しみ、そばかすを防ぐ。」も認められる。

参照元:日本化粧品工業連合会「化粧品等の適正広告ガイドライン(2020年版)」

3.化粧水広告におけるNG表現

化粧水の広告では、化粧品や医薬部外品に認められた表現の範囲を逸脱する表現は「虚偽・誇大広告」や「医薬品的な効能効果の標ぼう」として違反の対象になります。とくに、シワ・たるみといった悩みに対して「改善」「予防」「解消」などの効果を明言する表現や、肌の構造や細胞に直接作用するような言い回しは、認められた範囲を超えるものとして注意が必要です。

ここでは、化粧水広告でよく見られるNG表現の代表例を、その理由とともにまとめました。

NG表現NG理由
化粧水が肌へ浸透。細胞の奥まで届いて、潤いを満たします。化粧品の浸透は原則として角層までに限定され、角層を超えた「細胞の奥まで」届くといった表現は、医薬品的な効果を暗示するおそれがあるため認められません。
この一本でシワ予防!未来のたるみや小ジワをしっかりブロックします。化粧品として認められるシワに関する効能は「乾燥による小ジワを目立たなくする」に限定されており、「シワを予防する」という表現は、シワの解消や防止といった医薬品的な効果を標ぼうするものであり認められません。
乾燥による小ジワを防いで、お肌の老化防止「小ジワを防いで」:シワの「予防」を謳っており、効能効果の範囲を逸脱しているため認められません。
「お肌の老化防止」:エイジングケアを標ぼうしながら、老化防止という効能効果の範囲を逸脱した表現を用いているため認められません。
ホワイトニング効果でシミ、ソバカス残さない「シミ、ソバカスを残さない」という表現は効果の確実性を保証するものであり、虚偽又は誇大な広告に該当します。
医薬部外品で認められるのは「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」という防止効果であり、シミが完全に消滅することを保証する表現は認められません。
シミ・ソバカスの出来にくい肌に薬用化粧品で認められるのは「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」という特定効果であり、「出来にくい肌に変わる/改善する」といった肌質改善・治療的効果を暗示する表現は不可。
シワやたるみを防ぐエイジングケア化粧品に認められる「年齢に応じたお手入れ(ケア)」というエイジングケアの範囲を逸脱しているため認められません。
シワ専用美容液「○○専用」は化粧品広告では原則禁止です。「シワ」を対象とすることで、シワの解消・防止の効能効果を暗示し、範囲を逸脱するおそれがあります。
小ジワを防いで、美しい素肌作りに「小ジワを防いで」が「しわの予防」を標ぼうし、認められる効能効果の範囲を逸脱。認められない効能効果の例として明示されている。
2,3分後には、小ジワがつっぱって見事に隠されてしまいます。メーキャップ効果を謳う場合でも、「確実であるような保証」や「事実に反する誇大表現」は不可。この表現は効果の持続や確実性を保証しており、認められません。

4.薬機法違反となった場合のリスクと罰則

薬機法違反した場合のリスク 行政処分・刑事罰・課徴金・信頼失墜

薬機法に違反した場合、単なる修正では済まされません。2021年8月からは課徴金制度も導入され、違反の代償はさらに大きくなっています。

リスク区分内容具体例・影響
行政処分措置命令、業務停止命令など・広告の差し止め
・製品の販売中止
・一時的な広告活動の停止
刑事罰懲役または罰金(違反内容による)・虚偽・誇大広告:2年以下の懲役または200万円以下の罰金
・無許可販売:3年以下の懲役または300万円以下の罰金※法人にも両罰規定あり
課徴金売上額の4.5%・虚偽・誇大広告により得た売上に対して適用
・大規模事業者ほど経済的打撃が深刻

法的な罰則に加え、違反による社会的信用の失墜も重大なリスクです。報道やSNSでの拡散によるブランド毀損、消費者の離反、取引先からの信用喪失や契約停止といった長期的な影響が現実に起こり得ます

薬機法違反は「知らなかった」では済まされません。近年ではSNSやECサイトでの個人販売も監視対象となっており、事業規模に関わらず法令遵守が求められています。広告表現の段階から法令リスクを意識し、事前の対策を徹底しましょう

5.違反を防ぐための対策

薬機法違反のリスクを回避するには、広告制作プロセスにおけるチェック体制の整備が欠かせません。企業によっては「法務部門が最終確認を行っているから大丈夫」と考えがちですが、制作段階でのチェック漏れが原因で修正対応に追われるケースもあります。初期の企画段階から薬機法を意識した運用体制を築くことが重要です。

以下のような対策を実践することで、違反リスクを抑えることができます。

  • 制作部門と法務部門の連携強化
    商品特性や訴求内容に応じて、事前に表現の方向性をすり合わせておくことで、修正の手間を減らせます。
  • 薬機法に関する社内ガイドラインの整備
    OK/NG表現例、使用可能な効能効果一覧、チェックフローなどをマニュアル化し、関係者が共通認識を持てるようにします。
  • 第三者による表現チェックの導入
    広告代理店やデザイナー任せではなく、法律の専門知識を持った担当者または外部コンサルによる確認体制を導入することで、客観的な判断が可能になります。
  • 制作フローにチェックリストを組み込む
    「医薬品的表現になっていないか」「効果を保証する文言が含まれていないか」など、最低限確認すべきポイントを明文化しておくことで、誰でも初期段階で確認できる仕組みができます。

このように、「誰が」「いつ」「どこで」チェックするかをあらかじめ設計しておくことが、トラブルを未然に防ぐポイントです。

専門家・薬機法コンサルへの依頼

広告表現のチェック体制を社内だけで完結させるのが難しい場合は、薬機法に精通した外部の専門家やコンサルティングサービスの活用も有効です。

薬機法における表現判断は、単に法律を知っていればよいというものではなく、行政の運用実務や過去の指摘事例への理解が不可欠です。また、近年では景表法・ステマ規制・健康増進法など、複数の法令が広告に関わってくるため、総合的な観点でのチェックが求められます。

その点、弁護士が関与する薬機法コンサルティングサービスを活用すれば、表現に関する法令上の適否を含めたチェックを客観的に受けられるほか、社内運用体制やガイドライン整備、社員教育の支援も可能になります。
これは、制作現場の負担軽減とコンプライアンス強化を両立する手段として非常に有効です。

なお、薬事法ドットコムでは、薬機法に特化した広告表現コンサルティングサービスを提供しています。
1998年のサービス開始以来、D2C・EC企業や広告代理店をはじめとする多くのクライアントに対して、薬機法違反を防ぎつつ、広告効果を最大化する表現提案を行ってきました。

提携弁護士による法的観点のチェックと、実務に精通したコンサルタントによる媒体・行政事情を踏まえた代替表現の提案を組み合わせることで、リスクを抑えながらも訴求力のある広告制作を支援しています。

また、広告原稿のチェックにとどまらず、表現ガイドラインの策定や見解書の作成、行政対応の助言まで幅広く対応可能です。
薬機法対応に不安を感じる企業様は、ぜひ私たちにご相談ください。

薬事法ドットコムでは、化粧品・医薬部外品等の広告表現が、薬機法や景表法等の法令に抵触していないかを添削する「薬事チェックサービス」を提供しています。経験豊富な専門家がご依頼いただいた広告を精査し、問題がある表現については、法令を遵守しつつ効果的な「売れる&通せる」代替表現をご提案しますので、広告表現に不安がある方はぜひご相談ください。

6.まとめ

化粧水の広告表現は、薬機法により厳格なルールが設けられており、化粧品・医薬部外品それぞれの分類に応じて、訴求できる効能効果の範囲が明確に定められています。
とくに、「浸透」「シワ予防」「ホワイトニング」など、日常的には魅力的に聞こえる表現であっても、制度上は誤解を招く医薬品的な表現や、効果の保証と受け取られる表現として違反となるケースが少なくありません。

本記事では、OK表現・NG表現の具体例を交えて、広告制作時に意識すべき判断ポイントを解説しました。「角層まで」「乾燥による」など、文言を工夫することで適正な広告に言い換えることも可能ですが、そのためには制度の基本的な理解と表現チェックの習慣が欠かせません。

適切な広告表現は、単なる法令遵守にとどまらず、企業の信頼性やブランド価値を守ることにもつながります。
薬機法のガイドラインや通知は随時改正・更新されるため、定期的な情報収集や社内教育に加え、必要に応じて薬機法に詳しい専門家のチェックを受ける体制を整えることが重要です。

日々の実務においても「これくらいなら大丈夫だろう」と判断せず、根拠に基づいた慎重な運用を心がけることが、安心・安全な広告づくりの第一歩となります。

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この記事の監修を担当した弁護士

西脇 威夫

薬事法ドットコム
パートナー弁護士 西脇威夫

一橋大学法学部卒。元ナイキ・インハウスロイヤー、エンターテインメント・ローヤーズ・ネットワーク会員、日本スポーツ法学会会員 他。
法人の設立、商業取引(英文及び和文の各種契約の作成・レビュー、ブランド保護、偽物対策、独禁法のアドバイス等)、人事労務、コンプライアンスについて、経験豊富。

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