薬機法のNGワードを分かりやすく解説!すぐに使える言い換え表現も紹介
更新日:2025年10月28日
広告や販促に携わる人にとって、薬機法は必ず理解しておきたい重要な法律です。とくに「治る」「効く」「痩せる」といった表現は、消費者に誤解を与える恐れがあり、意図せず違反となってしまうケースが少なくありません。
しかし、実際の現場では「どこまでなら表現できるのか」「この言葉は大丈夫なのか」と迷うことも多いでしょう。広告表現の自由度を保ちつつ、違反リスクを避けるには、NGワードの正しい理解と適切な言い換え表現の習得が不可欠です。
本記事では、薬機法における代表的なNGワードや理由を整理し、化粧品・健康食品・サプリメントにおける具体例をご紹介。実務に役立つ実践的なガイドをお届けします。
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1.薬機法とは
薬機法とは、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」の略称で、医薬品や医薬部外品、化粧品、健康食品などに関する広告表現にも一定のルールが設けられています。
この法律は、医薬品等の品質や有効性、安全性を確保し、保健衛生の向上(国民の生命や健康を守ること)を目的としており、消費者に誤解を与えるような広告表現は排除しなければなりません。そのため、商品のジャンルによっては細かなルールが存在するのです。
とくに近年は、SNSやECサイトなど、個人でも気軽に情報発信ができる環境が整っていることから、企業だけでなくアフィリエイターやインフルエンサーなども、薬機法への理解が求められるようになっています。
広告表現が制限される理由
薬機法において広告表現が厳しく規制されている最大の理由は、消費者の誤解や過度な期待による健康被害を防ぐためです。
たとえば「治る」「効く」「○○に効果絶大」といった表現は、科学的根拠が不明確なまま使われることが多く、見る人に“医薬品と同じような効能がある”と誤認させてしまう恐れがあります。
とくに、日常的に使われる健康食品や化粧品では、広告表現が消費者の購買行動や使用方法に直接影響するため、より慎重な配慮が求められるのです。
こうした背景から、薬機法では健康食品や化粧品が医薬品的な効能・効果をうたう表現は原則禁止。商品に本来認められていない効能を「あるかのように」伝えてしまうと、たとえ意図がなくても薬機法違反と判断されることがあります。
さらに、広告を制作した企業だけでなく、広告代理店やインフルエンサー、アフィリエイターなども「責任主体」と見なされるため、表現には細心の注意が必要です。
薬事法ドットコムでは、新規制や法改正の情報、皆さまから寄せられたご質問、警告情報など薬機法に関する最新の情報をわかりやすくお届けしています。
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2.薬機法におけるNGワード
薬機法の広告規制においては、医薬品等の販売促進において虚偽・誇大な表現を防ぐため、使用できない広告表現が細かく定められています。
とくに厚生労働省が公表している「医薬品等適正広告基準」では、具体的な禁止事項がカテゴリごとに整理されており、違反すると行政指導や処分の対象となる場合があります。
以下では、代表的な禁止表現のカテゴリとその理由、NG表現の具体例を一覧表にまとめました。 広告制作やチェック体制を見直す際の参考としてご活用ください。
| カテゴリ | NG表現の例 | NGとされる理由 |
|---|---|---|
| 効能効果・安全性の保証 | 「〇〇が治る」「これで老後も安心」「安全性は証明済み」 | 効果や安全性は、患者の年齢や性別などの要因によって異なるため、断定・保証する言い方は禁止 |
| 承認範囲を超える効能効果 | 「ダイエットに効果的」「(化粧品広告で)ニキビが改善」「肌機能を改善する」 | 承認された範囲を超える効能・効果の表現は禁止 ※とくに化粧品は56項目に限定されている |
| 最大級・最上級表現 | 「世界一」「最高の効き目」「最強の配合」「強力な作用」 | 効能効果や安全性についての最大級・最上級表現は「誇大広告」にあたるため禁止 |
| 他社製品の誹謗・比較 | 「他社よりも優れている」「他社製品は効果が薄い」 | 漠然とした比較であっても「効能効果等又は安全性を保証する表現の禁止」に抵触するおそれがあるため、他社の製品を誹謗したり、比較する広告は禁止 |
| 専門家・公的機関の推薦 | 「医師推薦」「学会お墨付き」「〇〇省監修」 | 消費者の認識に与える影響が大きいため、たとえ事実であっても医薬関係者などによる推薦表現は原則として禁止 |
| 体験談・感謝の声 | 「〇〇さんもこれで改善しました」「私も使っています。」 | 個人の感想・体験談は客観的根拠に乏しく、効能効果や安全性について消費者に誤解を与えるおそれがあるため、原則として禁止 |
| 不安・恐怖を煽る表現 | 「このままだと手遅れです」「あなたはすでに〇〇病です」 | 広告に接した者に不快感、迷惑、不安又は恐怖を与えるおそれのある表現は禁止 |
なお、これらはあくまで代表的な禁止表現の一部であり、実際に薬機法違反となるかどうかは、文脈・媒体・商品カテゴリなどによって判断が分かれます。
判断に迷う場合は、薬機法に精通した専門家への確認や監修を受けることをおすすめします。
薬事法ドットコムでは、化粧品・健康食品等の広告表現が、薬機法や景表法等の法令に抵触していないかを添削する「薬事チェックサービス」を提供しています。経験豊富な専門家がご依頼いただいた広告を精査し、問題がある表現については、法令を遵守しつつ効果的な「売れる&通せる」代替表現をご提案しますので、広告表現に不安がある方はぜひご相談ください。
3.具体的なNGワードと言い換え表現例
前章では、薬機法における広告表現の禁止カテゴリとNG表現の考え方を解説しました。
ここからは、とくに化粧品(一般化粧品)や健康食品・サプリメントの広告でよく使われがちなNGワードをピックアップし、実務上使える言い換え表現を紹介します。
【化粧品】NGワードと言い換え例
日本化粧品工業連合会の「化粧品等の適正広告ガイドライン」などに基づいた、一般化粧品の広告でNGとされる表現と言い換え表現は以下の通りです。
| NG表現 | 言い換え表現例 |
|---|---|
| 薬用○○洗顔料 | ○○洗顔料 ※一般化粧品として適切な販売名 |
| ニキビが治る | 肌を清潔に保つ、皮脂を洗い流す |
| これさえあれば完璧な肌 | 肌にはりを与える、肌を整えるなど56の効能効果の範囲内にとどめるめる |
| 「肌が明るくなったのでビックリしました」などの体験談 | 使用感や香りのイメージ等に関する事実に基づいた感想にとどめる |
| 無添加 | 無香料・無着色(キャリーオーバー無)など、添加していない成分等を明示する |
| 肌へ浸透、肌内部へ浸透 | 角質層へ浸透、角質層のすみずみへ |
| シワを解消 | 乾燥による小ジワを目立たなくする※効能評価試験済み |
| 顔痩せ、小顔印象 | 小顔に見せるメーキャップ効果 |
| 肌のデトックス、解毒効果 | スッキリ洗浄、清潔に保つ |
| シミをなくす | メーキャップ効果でシミを目立たなく見せる |
| エイジングケアで若さは再び戻ります | うるおいに満ちた肌を目指す年齢に応じたエイジングケア |
| 「一般の洗顔料では落ちない」といった他社批判表現 | 「※当社従来品」という注釈をつけ、自社製品の範囲内に留めたうえで製品名を明示する |
【健康食品・サプリメント】NGワードと言い換え例
健康食品はあくまで「食品」であり、医薬品のような効能・効果を標ぼうすることはできませんので注意しましょう。
| NG表現 | 言い換え表現例 |
|---|---|
| ○○○の働きで体内の余分な脂肪を分解し、体外に排出する | 健康的な食生活をサポートし、ボディラインを意識する方を応援します |
| 腸の活性化を図り、頑固な宿便をスムーズに排出 | 毎日のスッキリとしたリズムをサポート |
| 痩せやすい体質へ | 健康的な食生活習慣の維持を応援します |
| ○○○は、肥満感の信号を送って食べ過ぎを防止する。空腹に悩まされない楽な減量をお約束 | 食事と食事の間に満足感を与え、無理なく食事を管理したい方に |
| 1カプセルに○○○の減量成分が凝縮 | ○○○は、健康的なダイエットを目指す方の栄養補給におすすめの成分です |
| 1日一粒飲むだけでグーンと脚がのびて背が高くなる | 成長期のお子様の健やかな発育をサポート |
| 老化を防ぎ皮膚や細胞を生き生きさせる | 若々しい毎日を送りたい方を応援 |
| 糖尿病の予防に効果的 | 生活習慣が気になる方の健康維持をサポート |
| 食後に1日3錠服用 | 1日3粒を目安に水などと一緒にお召し上がりください |
| 体脂肪を燃焼させる 脂肪燃焼効果も大きい | 活動的な毎日を応援します 運動時のパフォーマンスをサポート |
| 体内の毒素を排出し、デトックス効果 | 毎日のスッキリ習慣をサポート 体の中からきれいをサポート |
| 〇〇病専門医が推薦するサプリメント | 管理栄養士が開発を監修した健康食品 健康と栄養の専門家がおすすめする素材を使用 |
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4.薬機法違反となった場合のリスクと対処法
薬機法に違反した場合、単なる修正では済まされません。2021年8月からは課徴金制度も導入され、違反の代償はさらに大きくなっています。
| リスク区分 | 内容 | 具体例・影響 |
|---|---|---|
| 行政処分 | 措置命令、業務停止命令など | ・広告の差し止め ・製品の販売中止 ・一時的な広告活動の停止 |
| 刑事罰 | 懲役または罰金(違反内容による) | ・虚偽・誇大広告:2年以下の懲役または200万円以下の罰金 ・無許可販売:3年以下の懲役または300万円以下の罰金※法人にも両罰規定あり |
| 課徴金 | 売上額の4.5% | ・虚偽・誇大広告により得た売上に対して適用 ・大規模事業者ほど経済的打撃が深刻 |
法的な罰則に加え、違反による社会的信用の失墜も重大なリスクです。報道やSNSでの拡散によるブランド毀損、消費者の離反、取引先からの信用喪失や契約停止といった長期的な影響が現実に起こり得ます。
薬機法違反は「知らなかった」では済まされません。近年ではSNSやECサイトでの個人販売も監視対象となっており、事業規模に関わらず法令遵守が求められています。広告表現の段階から法令リスクを意識し、事前の対策を徹底しましょう。
5.違反を防ぐための対策
広告制作・運用において薬機法違反を防ぐためには、チェック体制の整備や社員教育、外部専門家の活用が不可欠です。違反が発覚すれば行政処分やブランド毀損につながる恐れもあるため、予防的な取り組みを徹底しましょう。
チェックツールの活用
近年では、薬機法に抵触するおそれのある表現を自動で検出できるツールが登場しており、現場でのチェックに役立ちます。広告原稿を入力するだけでNGワードや誤認の恐れがある表現をハイライト表示し、言い換え表現を出してくれるので、簡易的なチェックには役立つでしょう。
このようなツールの導入によって制作段階での見落としを防ぎ、効率的かつ一貫性のある表現チェックが可能になります。しかし、ツールだけでは判断できない微妙な表現もあるため、あくまで初期確認として位置付け、最終的な判断は法的な知識を持った人の目で行うことが重要です。
社内の体制整備と教育
薬機法対策を現場任せにすると、担当者によって判断基準がぶれてしまうことがあります。そのため、社内で明確なルールやチェックフローを整備し、全員が共通認識をもって広告制作に臨める体制を構築することが大切です。
具体的には、薬機法の基本知識をまとめた社内マニュアルの作成や、NG表現例集やチェックリストの配布を行うことで定性的な判断資料を用意します。さらに、広告担当者・ライター向けの研修や勉強会の実施を定期的に行い、知識のアップデートも必要でしょう。 そして、リリース前に確認・承認を行う社内レビュー体制の構築も必須です。
このように、継続的な教育とルール整備を通じて「違反を起こさない文化」を醸成することが、社内全体のリスク管理につながります。
専門家への相談や監修の重要性
チェックツールや社内教育だけでは判断が難しいケースも多く、法解釈や業種特有のリスクに関しては専門家の視点が不可欠です。とくに、リリース直前の広告やキャンペーンなどでは、万全を期すために薬機法に詳しい弁護士やコンサルタントの監修を受けることが推奨されます。
また、チェック体制の整備や社内教育に時間を割くよりも、薬機法に精通した専門家に相談・監修を依頼した方が、短時間で的確な判断を得られるケースも少なくありません。グレーゾーン表現への具体的な対応や、不安な表現の代替案も提案してもらえるため、将来的なトラブルの未然防止にもつながります。
なお、薬事法ドットコムでは、薬機法に精通した弁護士と専門家による広告チェックサービスやコンサルティングを提供しています。広告原稿の確認はもちろん、サイト全体の監修や表現ガイドラインの策定支援など、実務に即した多角的なサポートが可能です。チェック体制に不安がある企業様は、外部の力を借りてリスクを最小限に抑える体制づくりを検討しましょう。
薬事法ドットコムでは、化粧品・医薬部外品等の広告表現が、薬機法や景表法等の法令に抵触していないかを添削する「薬事チェックサービス」を提供しています。経験豊富な専門家がご依頼いただいた広告を精査し、問題がある表現については、法令を遵守しつつ効果的な「売れる&通せる」代替表現をご提案しますので、広告表現に不安がある方はぜひご相談ください。
6.まとめ
薬機法は、広告表現においても厳格なルールが設けられており、たとえ意図がなくても「治る」「効く」「痩せる」といった表現を使えば違反と判断されることがあります。とくに、化粧品や健康食品、サプリメントのように医薬品ではない商品では、訴求力を保ちつつも、法律の範囲内で表現する工夫が求められます。
本記事では、化粧品や健康食品・サプリメントにおける代表的なNGワードとその言い換え例について解説しました。表現の工夫ひとつで広告の印象は大きく変わるため、「断定を避ける」「消費者に誤解を与えない」という姿勢を常に意識することが大切です。
実務の中で判断に迷った場合は、チェックツールの活用や社内ルール整備に加えて、専門家による監修を受けることが安心につながります。広告表現を適切に管理しながら、消費者に信頼されるブランドづくりを進めていきましょう。
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この記事の監修を担当した弁護士
薬事法ドットコム
パートナー弁護士 西脇威夫
一橋大学法学部卒。元ナイキ・インハウスロイヤー、エンターテインメント・ローヤーズ・ネットワーク会員、日本スポーツ法学会会員 他。
法人の設立、商業取引(英文及び和文の各種契約の作成・レビュー、ブランド保護、偽物対策、独禁法のアドバイス等)、人事労務、コンプライアンスについて、経験豊富。
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