【2025年4月最新】薬機法改正で事業者が取るべき対策を解説!過去の改正履歴も紹介
更新日:2025年4月14日
「この薬機法改正、うちの会社には関係あるの?」 2025年の薬機法改正は、製薬企業や調剤業界だけでなく、小売業やスタートアップにも影響を及ぼします。例えば、市販薬の販売規制の緩和により、小売業のビジネスチャンスが拡大する一方、調剤業務の一部外部委託が可能になったことで、薬局業界の業務フローは大きく変わるでしょう。本記事では、最新改正のポイントと業界ごとの具体的な対応策について詳しく解説します。
また、過去の薬機法改正の履歴も掲載しました。2013年の薬機法改正から2025年の最新改正までの流れを振り返ることで、今回の改正がどのような背景で行われたのかを理解できるはずです。これからの変化に備え、適切な対応を進めていきましょう。
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1.2025年(令和7年)2月12日:薬機法改正案が閣議決定
政府は2月12日に薬機法(医薬品医療機器法)改正案を閣議決定しました。この改正には、新たな基金の創設や医薬品の安定供給対策が含まれており、国内の新薬開発を強化するための環境整備を目的としています。
福岡資麿厚生労働大臣は、閣議後の記者会見で「創薬スタートアップに支援を行う事業者などに機器や施設整備、事業化支援への補助を行うことを想定している」と説明し、官民連携で創薬基盤を強化に取り組んでいく考えを示しました。 この改正案は、今後国会審議を経て正式に成立する見込みです。


林田先生のワンポイントアドバイス
今回の改正の目玉は、コンビニで医薬品が買えるようになる点です。 この仕組みの実現に向け、厚生労働省も力を注いだとされています。
一方で、今回は見送られた「虚偽・誇大広告への課徴金制度」も要注目です。 この制度は2021年の薬機法改正で導入されましたが、2025年3月時点では、適用された事例は確認されていません。 今回の議論では、健康食品まで対象を広げる案や、課徴金率を最大10%に引き上げる案も検討されました。結果的に法制局を通らず見送られましたが、今後ふたたび改正案として浮上する可能性があります。 そのため、今のうちに薬機法コンプライアンス体制を整えておくことが重要です。
2.2025年薬機法改正案のポイント
今回の改正案で変更されるのは以下の4つ。
- 市販薬の販売規制の緩和
- 創薬スタートアップ支援
- 調剤業務の外部委託の一部解禁
- 医薬品の安定供給対策
この改正案は、2024年4月から開催されていた厚生科学審議会(医薬品医療機器制度部会)での議論を経て、2025年1月10日に公表された「薬機法等制度改正に関するとりまとめ」の内容を反映したものです。この「とりまとめ」では、医薬品の安定供給や医療の効率化、研究開発の促進などの必要性が示されており、今回の改正はそれを具体的な制度として実現するものとなっています。それぞれ順番に見ていきましょう。
市販薬の販売規制の緩和
これは、一定の条件を満たせば、薬剤師や登録販売者がいないコンビニなどの店舗でも市販薬(一般用医薬品)を購入可能にするものです。
現在の法律では、薬剤師や登録販売者がいない店舗では第1類から第3類の一般用医薬品を販売できません。しかし、今回の法案が可決されると、一定の条件を満たした店舗での販売が認められ、消費者は夜間の発熱時や薬局が少ない地域などでも、より手軽に医薬品を購入できるようになります。
想定される購入の仕組み
- 薬剤師とインターネット上でやり取りをすることで医薬品の購入が可能に
- スマホアプリを活用し、薬剤師の説明を受けた後にQRコードを取得し、コンビニのレジで薬を購入する仕組みを想定
- 薬の保管や販売手順の管理は、同じ都道府県内の薬局の薬剤師が定期的に確認
市販薬を巡る窃盗や乱用の問題が社会的課題となっているため、今後は適切な保管対策の強化や、薬物乱用の疑いがある場合に販売を拒否できる仕組みの導入などが検討される見通しです。
創薬スタートアップ支援
創薬スタートアップ支援のための、新たに「革新的医薬品等実用化支援基金」が設置されます。
近年、創薬・医療機器開発の環境が大きく変化する中で、海外で承認された医薬品の日本での承認が遅れる「ドラッグ・ラグ」や、希少疾病用医薬品・小児用医薬品が国内で開発されない「ドラッグ・ロス」といった創薬力の強化が課題浮上しています。 さらに、世界の医薬品市場における日本発の医薬品の売上高が減少傾向にあることも懸念されています。 こうした状況を踏まえ、政府は創薬力の強化と医薬品の安定供給を支援するため、本基金の設置を決定しました。
基金の概要
- 国庫や製薬企業からの寄付金を活用
- 創薬スタートアップ企業の設立支援が目的
- 研究施設や動物実験施設の整備費用を補助
革新的な新薬の実用化を支援するため、官民連携で創薬基盤の強化に取り組んでいく狙いです。
調剤業務の外部委託の一部解禁
薬局の調剤業務の一部を外部委託できるようになり、業務負担の分散が可能になります。 現在、調剤業務は薬剤師が行うことが義務付けられていますが、薬局やドラッグストアの増加に伴い、薬剤師の需要が高まり、慢性的な人手不足が課題です。
この法案が可決されることによって、薬剤師による調剤などの作業(対物業務)が効率化され、患者への服薬指導や健康相談などの対人業務に、より一層注力できるでしょう。
医薬品の安定供給対策
後発医薬品(ジェネリック医薬品)産業の構造的問題を解決し、安定供給体制を確保するため、製薬会社に「供給体制管理責任者」の設置を義務付け、医薬品不足への対応を強化する方針が示されました。
主な内容
- 出荷停止時の届出の義務付けや供給不足時の増産等、必要な協力の要請等を法定化
- 電子処方箋管理サービスのデータを活用し、需給状況のモニタリングを行う
- 品質の確保された後発医薬品(ジェネリック医薬品)の安定供給の確保のための基金を設置
近年、海外での製造トラブルや製造販売業者の品質管理不備による行政処分が相次ぎ、さらに感染症の流行による需要変動も重なり、品質の確保された医薬品の安定供給が難しくなっています。特に、後発医薬品の供給不足が長期化しており、その背景には非効率な生産構造や過当競争といった問題も指摘されているのです。これらの問題を解消し、安定した供給体制を確立するために、今回示された施策が打ち出されました。
医療用医薬品の製造販売業者は、今後定められる安定供給体制管理責任者の設置と安定供給体制確保のための手順書の整備に向けた準備を行わなければなりません。
3.業界ごとのインパクトと必要な対応策
薬機法の改正に伴い、各業界の事業者は新たな規制への対応が求められます。適切な対応を講じることで、業務フローの見直しや効率化を図るだけでなく、新たなビジネスチャンスを創出することも可能です。本章では、業界ごとの具体的な影響と、それに対する対応策を詳しく解説します。
業界 | 具体的な影響 |
---|---|
小売業者 | 市販薬の販売拡大が可能になり、売上向上のチャンスだが、薬剤師との連携や適切な管理が必要。 |
製薬・バイオ関連企業 | 新薬開発の支援制度ができるが、申請手続きや補助金の要件を理解しないと活用できない。 |
薬局・調剤事業者 | 調剤業務の一部外部委託が可能に。適切な委託先の選定や品質管理が必須。 |
製薬企業・卸売業者 | 供給体制管理責任者の設置義務化。管理体制を見直さないと行政指導のリスクあり。 |
小売業者の対応:市販薬の販売規制の緩和
- 薬剤師との遠隔相談システムの導入
- 薬剤師と定期連携など、販売店舗の安全管理体制の整備
- 販売記録の管理など、薬物乱用対策のマニュアル作成
製薬・バイオ関連企業の対応:創薬スタートアップ支援
- 基金の申請条件の確認や、補助金活用の準備を進める
- 大学や研究機関との共同開発プロジェクトの推進
- 臨床試験の早期実施に向けた事業計画の調整
薬局・調剤事業者の対応:調剤業務の外部委託の一部解禁
- 外部調剤委託の対象範囲・ルールを確認し、適切な委託先を選定
- 業務委託契約の策定と品質管理体制の強化
- 薬剤師の業務シフトの見直し(対人業務へのシフト強化)
製薬企業・卸売業者の対応:医薬品の安定供給対策
- 供給体制管理責任者の選定と役割の明確化
- 供給計画の見直しと在庫管理の強化
- 供給不足時の対応フロー策定(増産対応の準備)
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4.これまでの薬機法改正履歴
薬機法の改正は2013年(平成25年)から数えて計4回行われました。2025年(令和7年)の改正案が成立すれば、5回目となります。ここでは、2013年から現在までの薬機法改正の主な内容について、公布日が新しい順にまとめました。
公布日 | 施行日 | 主な内容 |
---|---|---|
2022年5月20日 | 2023年1月26日 | 電子処方箋制度の導入 |
2022年5月20日 | 緊急時の薬事承認制度の整備 | |
2019年12月4日 | 2022年12月1日 | 医薬品包装へのバーコード表示義務化 |
2021年8月1日 | 虚偽・誇大広告に対する課徴金制度の導入 | |
2020年9月1日 | 条件付き早期承認制度の法制化 | |
2020年4月1日 | 薬監証明制度の法制化 | |
2013年11月27日 | 2014年11月25日 | 「薬事法」から「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」へ名称変更 |
2013年12月13日 | 2014年6月12日 | 医薬品の販売規制の見直し |
2014年4月1日 | 指定薬物の所持・使用の禁止 |
※公布日をクリックすると、厚生労働省のページへ移動します
薬機法の改正周期は?
薬機法の改正は「何年ごと」と、明確な周期が決まっているわけではありませんが、概ね「数年ごと」に行われています。 主に、医療技術の進展や社会情勢の変化、安全性の向上、新たな課題への対応 などの理由から、不定期に改正されることが多いです。
5.まとめ
2025年の薬機法改正は、医薬品業界だけでなく、小売業や調剤業務、創薬スタートアップにも影響を及ぼします。市販薬の販売規制緩和による新たな販売モデルの可能性、調剤業務の外部委託による業務効率化など、企業ごとに適切な対応が求められるのです。 また、近年の薬機法改正は、医薬品の安全性確保やデジタル化の推進を目的とするものが多く、今後も業界全体での対応が必要となるでしょう。
事業者は、最新の法改正を理解し、業務フローの見直しや新たなビジネスチャンスの創出に向けた準備を進めることが重要です。 今後も、薬機法の動向に注目しながら適切な対策を講じていきましょう。
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