全成分表示のルール
メニュー
03-6274-8781 平日9:00〜18:00(土日祝日を除く) 閉じる

全成分表示のルール

1)表示しなくてよい成分

①企業秘密成分(非表示成分)

企業が秘密にしたいと思う成分は厚労省の許可を受ければ成分表示中、単に「その他」と記載できることになっています。しかし実際のところ、厚労省は承認申請を基本的に認めない方針のようです。
また、全成分表示が導入されて 20 年以上経つ米国でも、米国食品医薬品局(FDA)が認可したのはわずか十数件と言われていることから、欧米の先行事例に期待することも難しいと言えます。

②キャリーオーバー成分

有効成分としてでなく使われている成分、つまり、製品自体の防腐のためとか、脱色防止のために使われる成分はキャリーオーバー成分と呼ばれますが、これは表示の必要はありません。

〈注〉混合物・抽出物・香料

  1. 混合物は、混合されている成分毎に表示記載します。
  2. 抽出物は、抽出された物質と、基になる抽出溶媒や希釈溶媒とを分けて記載します。
  3. 香料については、「香料」という表示が可能です。香料は多成分からできている混合物ではありますが、これを一つの成分とみなして香料配合量を他の成分と同様に表示することができます。
NGチェックから代替表現も提案

2)記載の順序

挙げられる記載法としては、下記の 4 つがあります(表①~③参照)。

  1. 全成分を配合量の多い順で記載する。
  2. 配合量の多い順に記載して、配合成分 1%以下は順不同で記載する。
  3. 着色剤以外の成分を配合量の多い順に記載し、その後に着色剤を順不同に記載する。
  4. 着色剤以外の成分を②に準じて記載した後、着色剤を順不同に記載する。

 

〈注〉May Contain 制度

シリーズ製品においては、May Contain 制度を活用することが可能です。 色や香り、つまり成分の中で、着色剤などの部分のみ相違があり、販売名も同じで性状も同じ口紅、ファンデーションやマニキュア、頬紅、石けん、オーデコロン等によく見られる「シリーズ製品」に限っては、着色剤に該当する成分は、その製品にその成分が配合されているか否かに関らず、[+/-]の記載の後にそのシリーズに配合される全ての着色剤を表示することが認められます。これが May Contain(含まれているかもしれない)制度です。 例えば、表③の場合、01、02、03 全てに同一の表示をすることができます。01、02 には黄色 4 号は入っておらず、03 には黄酸化鉄は含まれていませんが、[+/-]の記号の後に黄酸化鉄・黄色 4 号と書くことができます。

3)記載の対象(商品・サンプル・テスター)

化粧品の表示義務事項は販売・譲渡されるものを対象にしています。
したがって、そもそもテスターは対象外であり、表示の義務がありません。

表①全成分表示の具体例(1)化粧水

[処方]グリセリン(5.0%):プロピレングリコール(4.0%):セージエキス(2.0%):カミツレエキス(2.0%):ポリオキシエチレンラウリルエーテル(20EO)(1.0%):エタノール(10%):香料(0.1%):パラオキシ安息香酸エチル(0.2%):黄色 4 号(微量):精製水(75.4%){ただし、セージエキス=セージエキス分(1%)+1,3-ブチレングルコール(99%):カミツレエキス=カミツレエキス分(1%)+プロピレングリコール(60%)+精製水(39%)}
水,エタノール,PG,グリセリン,BG,ラウレス-20,パラベン,香料,セージエキス,カミツレエキス,黄色4号水,エタノール,PG,グリセリン,BG,ラウレス-20,セージエキス,カミツレエキス,黄色4号,香料,パラベン水,エタノール,PG,グリセリン,BG,ラウレス-20,パラベン,香料,セージエキス,カミツレエキス,黄色4号水,エタノール,PG,グリセリン,BG,ラウレス-20,セージエキス,カミツレエキス,香料,パラベン,黄色4号

表②全成分表示の具体例(2)口紅

[処方]着色剤{ベンガラ(1.2%):酸化チタン(2.2%):赤色 201 号(2.0%):赤色 202 号(1.0%):黄色 4 号アルミニウムレーキ(1.0%):オレイン酸オレイル(1.0%)}カルナバロウ(3.0%):オクチルドデカノール(15%):サラシミツロウ(7.0%):ラノリン(6.0%):流動パラフィン(8.0%):オレイン酸オレイル(4.0%):ヒマシ油(48%):香料(0.1%):パラオキシ安息香酸ブチル(0.2%)
ヒマシ油,オクチルドデカノール,流動パラフィン,サラシミツロウ,ラノリン,オレイン酸オレイル,カルナバロウ,酸化チタン,赤色201号,ベンガラ,赤色202号,黄色4号,パラベン,香料ヒマシ油,オクチルドデカノール,流動パラフィン,サラシミツロウ,ラノリン,オレイン酸オレイル,カルナバロウ,酸化チタン,赤色201号,ベンガラ,香料,パラベン,赤色202号,黄色4号ヒマシ油,オクチルドデカノール,流動パラフィン,サラシミツロウ,ラノリン,オレイン酸オレイル,カルナバロウ,香料,パラベン,酸化チタン,ベンガラ,赤色201号,赤色202号,黄色4号ヒマシ油,オクチルドデカノール,流動パラフィン,サラシミツロウ,ラノリン,オレイン酸オレイル,カルナバロウ,香料,パラベン,ベンガラ,酸化チタン,赤色201号,赤色202号,黄色4号

表③シリーズ製品における着色剤の表示の具体例

配合処方01020304表示
タルク20.0 25.0 25.0 23.3タルク,カオリン,ナイロン末,ステアリン酸亜鉛,香料
[+/-]マイカ,酸化チタン,黄酸化鉄,ベンガラ,黄色4号
カオリン20.0 15.0 20.0 18.3
ナイロン末5.0 5.0 6.0 5.3
ステアリン酸亜鉛1.9 1.9 1.9 1.9
香料0.1 0.1 0.1 0.1
マイカ35.0 31.0 30.0 32.0
酸化チタン12.0 14.0 13.0 13.0
黄酸化鉄4.0 4.5 *
ベンガラ2.0 3.5 3.0 2.8
黄色4号1.0 *

この記事の監修を担当した弁護士

松澤 建司

M&M法律事務所
代表弁護士 松澤建司

早稲田大学法学部卒。30年以上に及ぶ弁護士経験を持つ。薬事法ドットコムとオフィスを共にし、薬事法ドットコム法務委員会委員長。誠実・的確・迅速なリーガルサービスの提供を心がけ、一般民事事件を中心に企業法務も取り扱っている。

薬事法ドットコムのご提供するサービスのご案内はこちら

会員数20,000名突破!業界の誰もが読むメルマガの無料会員になる

プロのコンサルタントに相談したい

トータルでサービスを受けたい

薬事法(薬機法)を学びたい

その他のご相談

その他のお問合せ及び資料請求などはこちらまでお気軽にお申込みください。