2018年医療広告ガイドラインと限定解除とは

医療広告ガイドラインとは

人の健康や生命に関わる医療行為は、その「広告(看板・チラシ等)」のあり方が“医療法”によって厳しく定められているのに対して、インターネット上のホームページは「広告」とはみなされていないので明確な決まりがありませんでした。 2018年5月、新しい『医療広告ガイドライン』では、これまで対象ではなかった医療機関のHPに関する規制が盛り込まれ、違反した場合の罰則も規定されています。

医療広告ガイドラインの改正のきっかけは

医療広告ガイドラインが改定されたのは、美容クリニック関連のサイトで特にひどいHPが多数あったためその規制強化がきっかけでした。

医療広告ガイドラインの対象

医業もしくは歯科医師業に関わる全ての病院またはクリニックが対象です。

医療広告を規制する法律は

医療法のほか、薬機法、景表法の規制を受けます。
薬機法(旧薬事法)”では、承認前の医薬品・医療機器の名称、効能・効果、性能などについて広告することが禁止されています。
医療機関の方は、医療法、薬機法。景表法を遵守したwebサイト運用が求められます。


具体的なNG事例一覧

ここでは具体的に、医療法・薬機法・景表法を含め、どのような表現が2018年10月7日現在、どのような表現がNGなのかを一覧化してご案内します.


体験談の掲載の禁止

患者さんの体験談の掲載はNGです。

最高級表現

「日本一」「No.1」「最高」といったワードがNGであるのみならず、「肝臓がんの治療では日本有数の実績を有する病院です」もNGとされています(P36)。つまり、最高級表現がダメのみならず最高級類似表現もダメと考えられています。よって、「トップクラス」「代表的な」なども不可となるでしょう。

他よりベター表現NG

NG例)他の豊胸術とは違い・・・

安さの強調NG

今なら○○円は不可
NG例)無料キャンペーン実施中!しかも今なら⇒20万円OFF。
「絶対安全」、「比較的安全」は不可

○○で紹介されました

雑誌や新聞で紹介された旨の記載は不可(ガイドラインP4)

専門家の説話、芸能人・著名人の来院

a)専門家の説話の引用は不可(ガイドラインP5)
b)芸能人、著名人の来院は事実であっても不可

治療結果の保証はNG

NG例1)セレブ女優のようなグラマーなバストに!EDは治療で改善できる!
NG例2)治せる!改善できる!虫歯をやっつける!
NG例3)永久脱毛

審美的表現NG

NG例)セクシーな胸元を演出→内部に脂肪を注入しボリュームを出します。
NG例)アンチエイジング、審美歯科

比較表現NG

NG例)人気の、川崎で一番の

安全、無痛、NG

「数」表現の規制

例)来院数=P29(エ)暦月単位で併記
例)医師の手術数はNG → 院の手術数

無料診断(キャッチフレーズに使うなどの強調は不可)

専門医 NG

→担当医

◯日で治療が終了する!

全ての工程が完了して初めて治療完了と言えるので、通院や経過観察が必要な場合はその旨を明記しなければ虚偽。

医師の略歴

例)研修医時代はNG、学会は役員クラスでないとNG。


新しい医療広告ガイドラインの規制内容の特徴は?

広告規制限定解除される場合があります

院内で患者が自由に手に取ることができるパンフレットや、患者が自ら見つけ出すホームページのような「患者が自らから求めて入手しにいく情報」は広告規制が限定解除されます。

医療機関のウェブサイト等について、他の広告媒体と同様に広告可能事項を限定するこ ととした場合、詳細な診療内容など患者等が求める情報の円滑な提供が妨げられるおそれがあること から、一定の条件の下に広告可能事項の限定を解除する。

広告規制限定解除されるサイトの条件は?

①連絡先をわかりやすく書く、②治療内容、③費用、④リスク・副作用を、きっちり記載する必要があります。
広告を使った集客をした場合、患者が自ら求めて情報を入手する広告ではなくなるため、限定解除の対象から外れてしまいます。

最終版ガイドラインで求応サイトに関して追加された文章

2 広告可能事項の限定解除の具体的な要件 広告可能事項の限定解除が認められる場合は、以下の①~④のいずれも満たした場合とする。 ただし、③及び④については自由診療について情報を提供する場合に限る。 ① 医療に関する適切な選択に資する情報であって患者等が自ら求めて入手する情報を表示するウェブサイトその他これに準じる広告であること ② 表示される情報の内容について、患者等が容易に照会ができるよう、問い合わせ先を記載することその他の方法により明示すること ③ 自由診療に係る通常必要とされる治療等の内容、費用等に関する事項について情報を提供すること ④ 自由診療に係る治療等に係る主なリスク、副作用等に関する事項について情報を提供すること ①は、ウェブサイトのように、患者等が自ら求めた情報を表示するものであって、これまで認知性(一般人が認知できる状態にあること)がないために医療広告の規制の対象とされていなかったウェブサイトの他、メルマガ、患者の求めに応じて送付するパンフレット等が該当しうるものであること。 なお、インターネット上のバナー広告、あるいは検索サイト上で、例えば「癌治療」を検索文字として検索した際に、スポンサーとして表示されるものや検索サイトの運営会社に対して費用を支払うことによって意図的に検索結果として上位に表示される状態にしたものなどは、①を満たさないものであること。

広告規制限定解除されると表現できる内容は?


ビフォーアフターの表現がOKになります。また, 未承認医療機器を用いる診療メニューの掲載もOKになります。
※体験談の掲載はNGです

広告規制限定解除されると表現できる文言一覧

1.○○外来との表記(専門外来)
2.未承認医薬品・医療機器を用いた治療
➡以下の明示が必要
(イ)未承認であること
(ロ)入手経路(個人輸入かそれ以外か)
(ハ)国内の承認医薬品の有無
(二)安全性に関し諸外国の情報
3.医薬品・医療機器の販売名
4.治療効果
5.学会が認定する研修施設であること
6.「総合診療科」
7.「認定医」「指定医」「専門医」
8.「産業医」
9.手術件数
10.「審美治療」
11.適応外使用 ex.プラセンタを用いた美容治療
12.再生医療
★以上、「医療広告ガイドラインに関する Q&A」より