【まとめ】医療広告の規制の対象外

第5章 規制が及ばないもの ―規制外事項―

以上は、医療広告であることが前提です。医療広告でなければ以上の規制は及びません。 このような規制外事項には次の二つがあります

A.広告ではあるが医療法6条が規定する医療広告とは言えないもの

1)ガイドラインおよびQAがこの例外を自ら認めています ①ガイドライン ア.背景等となる風景写真やイラスト等 イ.レイアウトに使用する幾何学模様等 ウ.BGMとして放送される音楽、効果音等 エ.広告制作者の名称、広告の作成日、写真の撮影日等 オ.芸能人や著名人の映像写真等 *これはあまり大したアイテムではないですが②はより重要です ②QA 院長のあいさつ文が医療と直接関係のない内容であればOKとしています(Q1-3) 2)そうすると、「駅から近い」「(包茎クリニックで)スタッフは全員男性です」などもOKと思われます 3)解釈としては、医療法6条は「医業若しくは歯科医業又は病院若しくは診療所に関しては」としているが、これらはそれに「関しない」ものとしてOKと読むことになるでしょう

B.そもそも広告とは言えないもの=非広告

1)「XXクリニックが画期的ながん治療を始めた」という新聞記事は医療法6条の規制外です。医療法6条は広告規制ですからこのような記事には規制が及びません。 2)理論的には、ガイドラインが医療広告と言える3要件を定めていますので、これに該当しないものは広告とは言えず、規制外です。 *3要件
  • 1.患者の受診等を誘引する意図があること(誘因性)
  • 2.医業若しくは歯科医業を提供する者の氏名、若しくは名称、又は病院若しくは診療所の名称が特定可能であること(特定性)
  • 3.一般人が認知できる状態にあること(認知性)
①ガイドラインも「求めに応じて与えるもの」―資料請求に応じて送る資料など―は対象外としています(③の要件を欠きます)。 ②2016年12月にDeNA事件が勃発しましたが、その中には医療広告規制の論点も含まれていたのではないかと思われます。 つまり、この手のメディアサイトは、「プロペシアを用いたAGAクリニック5選」などとして、医療広告では言えないような記載をしていますがーそのプロペシアが未承認品ならそもそもそれを使った治療を行っていること自体広告できませんし、既承認品でも医療用医薬品の広告が薬事法上不可とされていることとの均衡上不可とされていますー、果たしてメディアサイトという立ち位置ならそれが可能なのか?という問題です(なお、医療広告の規制はクリニックに限定されているわけではありません)。 この点はすごく奥の深い問題なので2017年1月18日のYDCセミナーをご覧ください> ※以上も踏まえると、医療プロモーションがOKか否かは次のようなフローで考えることになります
考える手順
広告か非広告か