前回は、一般社団法人を開設者とするクリニッ
クについて―
A.厚労省通知「医療機関の開設者の確認及び
非営利性の確認について」が、非営利法人は医
療機関の開設者になれる、としていることか
ら、一般社団法人が開設者になること自体はな
んの問題もない。
B.ただ、「開設者である法人の役員について
は、原則として当該医療機関の開設・経営上利
害関係にある営利法人等の役職員を兼務して
いないこと。」
という規定があるので、企業の役員はおろか職
員すら社団の役員にはなれず、ここをクリアー
するには何らかの方策が必要。
ということをお伝えしました。
ところが最近Bは拡大解釈され、運用が厳し
くなっています。
1.まず、「利害関係」がない法人ならそもそも
問題にならないし、従来は、光通信の役員が一
般社団の代表理事となりクリニックを開設しつ
つ、その社団が光通信と一定の取引をするとい
うようなことも、取引内容によっては認めてい
たのですが、最近は、取引ある限り「利害関係
あり」と解釈するようになっています。
2.次に、社団と取引のある会社(予定も含
む)を一つ一つチェックするようになってきま
した。たとえば、社団がa~e5社とそれなり
の額の取引がある(予定も含む)という場合、
社団の役員がa~eの役職員になっていない
かをチェックしています。
3.2のチェックは、社団の「社員」にも及んで
います。つまり、社団には、株式会社の株主
のような存在として「社員」がいます(最低2名
必要。株主総会に匹敵する社員総会もありま
す)。構成員とも呼ばれます。
株主が会社の役員でないのと同様に、「社員」
は役員ではありません。
上記Bは、「開設者である法人の役員は」と規
定しているので、「社員」は本来社団による開
設審査の俎上に乗ってこないのですが、「念の
ため確認させていただく」と称して、「社員」が
どういう法人の役職員になっているかもチェック
されます。
なので、社団設立の際、「社員」を決める必要
がありますが、その「社員」は、実質的にクリ
ニックを運営しようとしている企業と関係のな
い人間にしておく必要があります。