企業が一般社団法人方式を用いて美容クリニッ
クを実質的に経営するという事例が増えていま
すが、そういう事例に対する締め付けが始まっ
ています。
今回は原則論のお話をします。
1.法律上、医療機関には非営利性が求められ
ています。
しかし、医療法には具体的な基準が示されてい
ないので、厚労省が基準を示す通知を出してい
ます。
「医療機関の開設者の確認及び非営利性の確
認について」がそれです(>ルール集18-H)。
2.まず、「医療法第7条に定める開設者とは、
医療機関の開設・経営の責任主体であり、
原則として営利を目的としない法人又は医師で
ある個人であること」。
つまり、開設者は、非営利法人か医師個人。
一般社団・一般財団は非営利なので開設者に
なれます。
ちなみに、いわゆる院長は法律上は管理者と呼
ばれ、当然医師個人です。
ドクターが開設者と管理者を兼ねることは普通
の個人クリニックでは当たり前のことで何の問
題もありません。
3.次に、「開設者である個人及び当該医療機関
の管理者については、原則として当該医療機関
の開設・経営上利害関係にある営利法人等の
役職員を兼務していないこと」。
たとえば、ドクターがクリニックの開設者で管
理者という場合、このドクターは原則としてそ
のクリニックのMS法人の役職員にはなれま
せんが、非医師の奥様はMS法人の役職員に
はなれますし、世上、そういう事例はたくさん
あります。
4.そして、「開設者である法人の役員について
は、原則として当該医療機関の開設・経営上利
害関係にある営利法人等の役職員を兼務して
いないこと。」
一般社団・一般財団を使う場合はこれになりま
す。
ついこの前までは、この「利害関係」はゆるく
解釈されており、そうなるとこの規定の俎上に
は乗ってこないのですが、現在は逆で、簡単に
利害関係ありと解釈するので99%この規定に
乗ってきます。
そうすると、企業が一般社団作って実質クリニ
ック経営しようと考えた場合、企業の役員はお
ろか職員すら社団の役員に据えることはできま
せん(4は「法人等の役”職員”」と規定してい
ます)。
なので、たとえば、既に退職している元従業員
を社団の役員に据える、といった方策が必要に
なってきます。