オンライン診療の今後

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  • 投稿カテゴリー:医療の虎

オンライン診療について官邸と厚労省(さら
には医師会)ではスタンスの違いがあること
は、このメルマガを読んでいる方ならご存知
の通りです。

一言で言うと、官邸はポジティブ、厚労省は
ネガティブなのです。

現状は、官邸が押し切った形で発せられた令
和2年4月10日の厚労省事務連絡で、「オンラ
イン診療は初診からOK。通信手段に制限なし」
というルールで動いています。

これはコロナ禍限定というところが落し所で、
厚労省としては渋々従ったという感じなので、
厚労省は今年1月、元来存在していたオンラ
イン診療の憲法とも言うべき平成30年3月の
ガイドライン「オンライン診療の適切な実施
に関する指針」の改訂版を出しました(>ルール集17-A-15

これはポストコロナ用のルールなのですが、
そこでは、初診からオンラインでなし得る
場合を原則「かかりつけ医」に限定し、例
外的に、「診療前相談」を行った場合も可
としています(これはビデオ通話に限る。
但、「医師が患者の医学的情報を十分に把
握できる場合を除く」とされており、そう
いう場合は「診療前相談」なしに初診から
オンラインOKとなります >ガイドライン)。

他方、官邸は依然としてオンライン診療に
はポジティブな方向で、5月27日には規制
改革推進会議の答申という形で、厚労省に
色々お達しを出しています(>答申)。

たとえば、

1)初診は対面診療が原則であるとの考え方
 を見直せ

2)「かかりつけ医」の解釈は柔軟に行え

3)「診療前相談」の前に、メールやチャッ
 トで情報収集することは可能であること
 を明確にせよ

4)(ポストコロナのオンライン診療とし
 て)チャット機能は原則使用しないと
 しているのを見直せ

5)(ポストコロナのオンライン診療とし
 て)本人確認は対面診療と同じやり方
 で足りる

といった感じです。

厚労省としては「意に反する」という感じ
でしょうが、1月に改訂したばかりの「オ
ンライン診療の適切な実施に関する指針」
は改訂せざるを得ません。