株式会社エコプラス 令和6年12月24日

  • 投稿カテゴリー:訪問販売

Ⅰ概要

①処分対象事業者

株式会社エコプラス

②業界

訪問購入業者

③特定商取引法に違反する行為

(1)勧誘の要請をしていない者に対する勧誘(特定商取引法第58条の6第1項)

(2)勧誘を受ける意思があることを確認することをしないで行う勧誘(特定商取引法第58 条の6第2項)

(3)契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘(特定商取引法第58条の6第3項)

(4)書面の交付義務に違反する行為(記載不備)(特定商取引法第58条の8第2項)

(5)物品の引渡しの拒絶に関する告知義務に違反する行為(特定商取引法第58 条の9)

Ⅱ業務停止命令及び指示の内容

①対象となる事業概要

株式会社エコプラス(以下「エコプラス」という。)は、消費者に電話をかけ、消費者に対し、古着、食器等の不要品(以下「不要品」という。)の売買契約の締結について勧誘し、さらに、消費者宅において引き続き当該売買契約の締結について勧誘することの承諾を取り付けた上で(以下エコプラスが消費者に当該承諾を取り付けた不要品を「本件物品①」、本件物品①の売買契約を「本件売買契約①」という。)、消費者宅を訪問し、同所において、本件売買契約①並びに宝石、貴金属、時計及びこれらに類する物品(本件物品①に該当するものを除く。以下「本件物品②」という。)の売買契約(以下「本件売買契約②」という。)の一方又は双方の締結について勧誘を行い、当該消費者との間で本件売買契約①及び本件売買契約②の一方又は双方を締結して本件物品①及び本件物品②の一方又は双方の購入を行っていることから、エコプラスが行う本件物品①及び本件物品②の購入は、特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号。以下「特定商取引法」という。)第58条の4に規定する訪問購入(以下「訪問購入」という。)に該当する。

②処分の内容

1.業務停止命令

エコプラスは、令和6年12月24日から令和7年6月23日までの間、訪問購入に関する業務のうち、以下のアからウまでの事項を停止すること。

ア エコプラスが行う訪問購入に関する売買契約の締結について勧誘すること。

イ エコプラスが行う訪問購入に関する売買契約の申込みを受けること。

ウ エコプラスが行う訪問購入に関する売買契約を締結すること。

2. 指示

エコプラスは、特定商取引法第58条の6第1項の規定により禁止される勧誘の要請をしていない者に対する勧誘、同条第2項の規定により禁止される勧誘を受ける意思があることを確認することをしないで行う勧誘、同条第3項の規定により禁止される契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘、特定商取引法第58条の8第2項に規定する書面の交付義務に違反する行為(記載不備)及び特定商取引法第58条の9に規定する物品の引渡しの拒絶に関する告知義務に違反する行為をしていた。かかる行為は、特定商取引法に違反するものであることから、エコプラスは、当該行為の発生原因について、調査分析の上検証し、再発防止策を講ずるとともに、コンプライアンス体制を構築し、これをエコプラスの役員及び従業員に、前記(1)の業務停止命令に係る業務を再開するまでに周知徹底すること。

③処分の原因となる事実

エコプラスは、以下のとおり、特定商取引法に違反する行為をしており、九州経済産業局は、訪問購入に係る取引の公正及び売買契約の相手方の利益が著しく害されるおそれがあると認定した。

(1)勧誘の要請をしていない者に対する勧誘(特定商取引法第58条の6第1項) エコプラスは、少なくとも令和4年6月から令和5年11月までの間、訪問購入に係る本件売買契約①の締結について勧誘をする承諾のみを取り付けた上で消費者宅を訪問したにもかかわらず、同所において、訪問購入に係る本件売買契約②の締結についての勧誘の要請をしていない者に対し、本件売買契約②の締結について勧誘をしていた。

(2)勧誘を受ける意思があることを確認することをしないで行う勧誘(特定商取引法第58条の6第2項) エコプラスは、少なくとも令和4年6月から令和5年11月までの間、訪問購入をしようとするとき、その勧誘に先立って、その相手方に対し、「訪問買取りをやっているエコプラスといいます。」、「今度、○○(注:特定の地域)にリサイクルショップを出すことになりました。」などと告げるのみで、訪問購入に係る本件売買契約①の締結について勧誘を受ける意思があることを確認していなかった。 また、エコプラスは、少なくとも令和4年6月から令和5年11月までの間、訪問購入をしようとするとき、訪問購入に係る本件売買契約①の締結について勧誘をするために消費者宅を訪問することについての承諾のみを取り付けた上で消費者宅を訪問したにもかかわらず、同所において、訪問購入に係る本件売買契約②の締結について勧誘し、その勧誘に先立って、消費者に対し、訪問購入に係る本件売買契約②の締結について勧誘を受ける意思があることを確認していなかった。

(3)契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘(特定商取引法第58条の6第3項) エコプラスは、少なくとも令和4年6月から令和4年10月までの間、「うちには使っていない食器なんてありませんよ。売るようなものはありません。来てもらっても困ります。」などと、訪問購入に係る本件売買契約①又は本件売買契約②を締結しない旨の意思を表示した消費者に対し、「陶器をリサイクルしたい。あなたが不要に思っているものを、欲しいと言っている人がいるんですよ。買い取らせてください。」などと告げて、引き続き本件売買契約①又は本件売買契約②の締結について勧誘をしていた。

(4)書面の交付義務に違反する行為(記載不備)(特定商取引法第58条の8第2項) エコプラスは、少なくとも令和4年6月から令和5年11月までの間、消費者宅において、訪問購入に係る売買契約(本件売買契約①及び本件売買契約②の一方又は双方をいう。以下同じ。)を締結した際に、代金を支払い、かつ、物品の引渡しを受けたとき、その売買契約の相手方に交付することが義務付けられている契約の内容を明らかにする書面を交付していたが、当該書面には、特定商取引法第58条の8第2項に規定する売買契約の内容を明らかにする書面を受領した日から起算して8日以内(以下「クーリング・オフ期間」という。)を経過するまでは、訪問購入に係る売買契約の相手方は、電磁的記録により訪問購入に係る売買契約の解除を行うことができ、かつ、訪問購入に係る売買契約の解除は、当該相手方が、当該解除に係る電磁的記録による通知を発した時に、その効力を生ずることを記載していなかった。

(5)物品の引渡しの拒絶に関する告知義務に違反する行為(特定商取引法第58条の9) エコプラスは、少なくとも令和4年6月から令和5年11月までの間、訪問購入に係る売買契約の相手方から直接物品の引渡しを受ける時、当該相手方に対し、クーリング・オフ期間は当該物品の引渡しを拒むことができる旨を告げていなかった。

事例>>