株式会社大淀技研 令和4年1月28日

  • 投稿カテゴリー:訪問販売

Ⅰ概要

①処分対象事業者

株式会社大淀技研

 

②業界

屋根瓦及び漆喰の修理

 

③特定商取引法に違反する行為

氏名等の明示義務に違反する行為

役務提供契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘行為

書面の交付義務に違反する行為(記載不備)

役務提供契約の締結を必要とする事情に関する事項につき不実のことを告げる行為

Ⅱ業務停止命令及び指示の内容

①対象となる事業概要

株式会社大淀技研(以下「大淀技研」という。)は、営業所等以外の場所である消費者宅において、屋根瓦及び漆喰等の修理に係る役務(以下「本件役務」という。)を有償で提供する契約(以下「本件役務提供契約」という。)を締結していることから、同社が行う本件役務の提供は、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)第2条第1項に規定する訪問販売(以下「訪問販売」という 。) に該当する。

②処分の内容

1.業務停止命令

大淀技研は、令和4年1月28日から令和4年4月27日までの間、訪問販売に関する業務のうち、次の業務を停止すること。

ア 大淀技研が行う訪問販売に関する役務提供契約の締結について勧誘すること。

イ 大淀技研が行う訪問販売に関する役務提供契約の申込みを受けること。

ウ 大淀技研が行う訪問販売に関する役務提供契約を締結すること。

2. 指示

ア 大淀技研は、特定商取引法第3条に規定する氏名等の明示義務に違反する行為、同法第3条の2第2項の規定により禁止される契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘行為、同法第5条第1項に規定する書面の交付義務に違反する行為(記載不備)及び同法第6条第1項の規定により禁止される顧客が当該役務提供契約の締結を必要とする事情に関する事項につき不実のことを告げる行為をしている。かかる行為は、特定商取引法に違反するものであることから、当該行為の発生原因について、調査分析の上検証し、再発防止策を講ずるとともに、コンプライアンス体制を構築し、これを大淀技研の役員及び従業員に、前記(1)の業務停止命令に係る業務を再開するまでに周知徹底すること。

イ 大淀技研は、訪問販売により、本件役務提供契約を締結しているところ、令和2年10月1日から令和4年1月27日までの間に、同社との間で本件役務提供契約を締結した全ての相手方(以下「契約の相手方」という。)に対し、以下の(ア)から(ウ)までの事項を、九州経済産業局のウェブサイト(https://www.kyushu.meti.go.jp/)に掲載される、同社に対して前記(1)の業務停止命令及び本指示をした旨を公表する公表資料を添付して、令和4年2月28日までに文書により通知し、同日までにその通知結果について九州経済産業局長宛てに文書(通知したことを証明するに足りる証票及び通知文書を添付すること。)により報告すること。 なお、令和4年2月10日までに、契約の相手方に発送する予定の通知文書の記載内容及び同封書類一式をあらかじめ九州経済産業局長宛てに文書により報告し承認を得ること。

③処分の原因となる事実

大淀技研は、以下のとおり、特定商取引法に違反する行為をしており、九州経済産業局は、訪問販売に係る取引の公正及び役務の提供を受ける者の利益が著しく害されるおそれがあると認定した。

(1)氏名等の明示義務に違反する行為(役務提供事業者の名称の不明示)( 特定商取引法第3条) 大淀技研は、遅くとも令和2年3月以降、訪問販売をしようとするとき、その勧誘に先立って、その相手方に対し、「こんにちは。今、〇〇(注:特定の氏)さんの所の屋根の工事をしてるんですけど。」、「上から見ると、お宅の瓦もヒビが入っているようでした。」、「向こうの通りの屋根工事を行ってるんですけど、その屋根から、この家の屋根瓦が割れてるのが見えました。」、「こんにちは、こんにちは。お母さんの家、屋根の漆喰が悪いみたいですよ。」などと告げるのみで、同社の名称を告げていない。

(2)役務提供契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘行為(特定商取引法第3条の2第2項) 大淀技研は、遅くとも令和2年3月以降、「いつもお願いしている瓦屋さんがいるので、結構です。」、「うちはしなくて大丈夫ですから。主任を呼ばれても工事はしませんけど。」、「瓦が浮いていても、瓦の下にはルーフィングがしてあるから、雨漏りはしないんですよ。だいたい30万もする工事なんてそんな高い工事しませんよ。」などと訪問販売に係る本件役務提供契約を締結しない旨の意思を表示した消費者に対し、「今から主任に連絡を取って見積りさせますから。」、「主任を呼んできます。」、「でも、屋根瓦が浮いてるから、瓦はぺらぺらと飛んでいきますよ。そうなったら、補修工事どころか屋根の葺き替え工事をしないといけなくなる。お金がもっとかかりますよ。」などと告げて、引き続き本件役務提供契約の締結について勧誘をしている。

(3)書面の交付義務に違反する行為(記載不備)(特定商取引法第5条第1項) 大淀技研は、遅くとも令和2年3月以降、営業所等以外の場所である消費者宅において、本件役務提供契約を締結した際、消費者に対し本件役務提供契約の内容を明らかにする書面を交付しているが、当該書面に、特定商取引法第5条第1項の規定に基づく特定商取引に関する法律施行規則(昭和51年通商産業省令第89号)第5条第2項が記載を義務付ける書面の内容を十分に読むべき旨を赤枠の中に赤字で記載していない。

(4)役務提供契約の締結を必要とする事情に関する事項につき不実のことを告げる行為(特定商取引法第6条第1項) 大淀技研は、遅くとも令和2年10月以降、訪問販売に係る本件役務提供契約の締結について勧誘をするに際し、実際には、勧誘の相手方である消費者宅の屋根瓦に修理を必要とする不具合が生じていないにもかかわらず、当該消費者に対し、「今、隣の屋根の修理をしていたらお宅の瓦が見えて、軒の瓦がずれていました。上を見てください。ちょっと瓦が出てるとこ。そこがずり落ちかけてます。それが2階から見えました。」、「あそこの瓦が落ちかけています。瓦止めが必要です。このままにしておくと瓦が落ちて、周りに迷惑がかかりますよ。」、「瓦が割れていますよ。このままでは瓦が落ちてきて危ないです。このままにしておくと、雨漏りがします。瓦の割れている部分から水が入り込んで、瓦の内側やその周り一帯がだめになってしまいます。」などと、あたかも当該消費者宅の屋根瓦に修理を必要とする不具合が生じているかのように告げている。