Ⅰ概要
①処分対象事業者
株式会社ディプセル及び株式会社ウィリング
②業界
電話勧誘販売業者
③特定商取引法に違反する行為
(1)氏名等の明示義務に違反する行為(販売業者及び役務提供事業者の名称の不明示)(特定商取引法第16条)
(2)書面の交付義務に違反する行為(不交付)(特定商取引法第19条第1項)
(3)役務提供契約の解除に関する事項につき不実のことを告げる行為(特定商取引法第21条第1項)
Ⅱ業務停止命令及び指示の内容
①対象となる事業概要
株式会社ディプセル(以下「ディプセル」という。)は、株式会社ウィリング(以下「ウィリング」という。)と連携共同して、画像投稿アプリのInstagram(以下「Instagram」という。)で、「お家での簡単なお仕事」などと投稿をして、当該投稿に興味を持ち、投稿内に案内のある、メッセージアプリのLINE(以下「LINE」という。)のIDを登録した相手方に対し、LINEのメッセージ機能で通話リクエストを送信して電話をかけ、その電話において、滞留在庫を詰め合わせたアソートボックスと称する商品(以下「本件商品」という。)の売買契約(以下「本件売買契約」という。)並びに本件商品の販売を行う仕入れサイトと称する会員制ウェブサイトの利用及びフリーマーケットサイトにおける販売サポートに係る役務(以下「本件役務」という。)を有償で提供する契約(以下「本件役務提供契約」という。)の締結について勧誘を行い、情報処理の用に供する機器により本件売買契約及び本件役務提供契約を締結し、本件商品の販売及び本件役務の提供をしていることから、このようなディプセルがウィリングと連携共同して行う本件商品の販売及び本件役務の提供は、特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号。以下「特定商取引法」という。)第2条第3項に規定する電話勧誘販売(以下「電話勧誘販売」という。)に該当する。
株式会社ウィリング(以下「ウィリング」という。)は、株式会社ディプセル(以下「ディプセル」という。)と連携共同して、画像投稿アプリのInstagram(以下「Instagram」という。)で、「お家での簡単なお仕事」などと投稿をして、当該投稿に興味を持ち、投稿内に案内のある、メッセージアプリのLINE(以下「LINE」という。)のIDを登録した相手方に対し、LINEのメッセージ機能で通話リクエストを送信して電話をかけ、その電話において、滞留在庫を詰め合わせたアソートボックスと称する商品(以下「本件商品」という。)の売買契約(以下「本件売買契約」という。)並びに本件商品の販売を行う仕入れサイトと称する会員制ウェブサイトの利用及びフリーマーケットサイトにおける販売サポートに係る役務(以下「本件役務」という。)を有償で提供する契約(以下「本件役務提供契約」という。)の締結について勧誘を行い、情報処理の用に供する機器により本件売買契約及び本件役務提供契約を締結し、本件商品の販売及び本件役務の提供をしていることから、このようなウィリングがディプセルと連携共同して行う本件商品の販売及び本件役務の提供は、特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号。以下「特定商取引法」という。)第2条第3項に規定する電話勧誘販売(以下「電話勧誘販売」という。)に該当する。
②処分の内容
1.業務停止命令
ディプセルは、令和7年1月23日から令和7年4月22日までの間、電話勧誘販売に関する業務のうち、以下のアからウまでの事項を停止すること。
ア ディプセルが行う電話勧誘販売に関する売買契約及び役務提供契約の締結について勧誘すること。
イ ディプセルが行う電話勧誘販売に関する売買契約及び役務提供契約の申込みを受けること。
ウ ディプセルが行う電話勧誘販売に関する売買契約及び役務提供契約を締結すること。
ウィリングは、令和7年1月23日から令和7年4月22日までの間、電話勧誘販売に関する業務のうち、以下のアからウまでの事項を停止すること。
ア ウィリングが行う電話勧誘販売に関する売買契約及び役務提供契約の締結について勧誘すること。
イ ウィリングが行う電話勧誘販売に関する売買契約及び役務提供契約の申込みを受けること。
ウ ウィリングが行う電話勧誘販売に関する売買契約及び役務提供契約を締結すること。
2. 指示
ア ディプセルは、ウィリングと連携共同して、特定商取引法第16条に規定する氏名等の明示義務に違反する行為(販売業者及び役務提供事業者の名称の不明示)、特定商取引法第19条第1項に規定する書面の交付義務に違反する行為(不交付)及び特定商取引法第21条第1項の規定により禁止される役務提供契約の解除に関する事項につき不実のことを告げる行為をしていた。かかる行為は、特定商取引法に違反するものであることから、ディプセルは、当該行為の発生原因について、調査分析の上検証し、再発防止策を講ずるとともに、コンプライアンス体制を構築し、これをディプセルの役員及び従業員に、前記(1)の業務停止命令に係る業務を再開するまでに周知徹底すること。
イ ディプセルは、電話勧誘販売により、本件売買契約及び本件役務提供契約を締結しているところ、令和5年3月1日から令和7年1月22日までの間にディプセルとの間で本件役務提供契約を締結した全ての相手方に対し、以下の(ア)から(ウ)までの事項を、消費者庁のウェブサイト(https://www.caa.go.jp/)に掲載される、ディプセルに対して前記(1)の業務停止命令及び本指示をした旨を公表する資料を添付して、令和7年2月25日までに書面により通知し、同日までにその通知結果について消費者庁長官宛てに書面又は電磁的方法(通知したことを証明するに足りる証票及び通知書面を添付すること。)により報告すること。
なお、令和7年2月5日までに、契約の相手方に発送する予定の通知書面の記載内容及び同封書類一式をあらかじめ消費者庁長官宛てに書面又は電磁的方法により報告し承認を得ること。 (ア)前記(1)の業務停止命令の内容 (イ)本指示の内容 (ウ)ディプセルは、少なくとも令和5年3月から同年9月までの間に、ウィリングと連携共同して、電話勧誘販売に係る本件役務提供契約の解除を妨げるため、実際には、本件役務の提供が電話勧誘販売に該当し、本件役務提供契約の内容を明らかにする書面を交付していない消費者から本件役務提供契約を解約したい旨の申出があったとき、本件役務提供契約は特定商取引法第24条第1項の規定に基づく解除(以下「クーリング・オフ」という。)をすることができるものであるにもかかわらず、消費者等に対し、「事業主として見ているので、クーリング・オフなどはない」、「違約金なしでのご解約は電子メールにて秘密保持契約書にご署名頂けましたらご対応いたします」、「既払い金は一切ご返金いたしません」などと、あたかも、本件役務提供契約はクーリング・オフをすることができない、違約金が生じないよう解約するためには別の契約の締結が必要である、また、既に支払った金銭については返還されないかのように告げたこと。
ウィリングは、ディプセルと連携共同して、特定商取引法第16条に規定する氏名等の明示義務に違反する行為(販売業者及び役務提供事業者の名称の不明示)、特定商取引法第19条第1項に規定する書面の交付義務に違反する行為(不交付)及び特定商取引法第21条第1項の規定により禁止される役務提供契約の解除に関する事項につき不実のことを告げる行為をしていた。かかる行為は、特定商取引法に違反するものであることから、ウィリングは、当該行為の発生原因について、調査分析の上検証し、再発防止策を講ずるとともに、コンプライアンス体制を構築し、これをウィリングの役員及び従業員に、前記(1)の業務停止命令に係る業務を再開するまでに周知徹底すること。
③処分の原因となる事実
ディプセルは、以下のとおり、ウィリングと連携共同して、特定商取引法に違反する行為をしており、消費者庁は、電話勧誘販売に係る取引の公正並びに購入者及び役務の提供を受ける者の利益が著しく害されるおそれがあると認定した。
(1)氏名等の明示義務に違反する行為(販売業者及び役務提供事業者の名称の不明示)(特定商取引法第16条)
ディプセルは、少なくとも令和5年3月から同年9月までの間に、ウィリングと連携共同して電話勧誘販売をしようとするとき、その勧誘に先立って、その相手方に対し、「物販を始めて全国のママさんと繋がって楽しみながらお仕事しています」、「ここの物販は子供と家に居ながらできるし、物販を通じてママ友など自分のコミュニティが広がってとにかく楽しい」などと告げるのみで、電話勧誘販売に係る販売業者及び役務提供事業者であるディプセル及びウィリングの名称を明らかにしていなかった。
(2)書面の交付義務に違反する行為(不交付)(特定商取引法第19条第1項)
ディプセルは、少なくとも令和5年3月から同年9月までの間に、ウィリングと連携共同して、特定商取引法第2条第3項に規定する電話勧誘行為により、同項に規定する電話勧誘顧客と本件売買契約及び本件役務提供契約を情報処理の用に供する機器により締結したとき、遅滞なく、その契約の内容を明らかにする書面を購入者及び役務の提供を受ける者に交付していない。
(3)役務提供契約の解除に関する事項につき不実のことを告げる行為(特定商取引法第21条第1項)
ディプセルは、少なくとも令和5年3月から同年9月までの間に、ウィリングと連携共同して、電話勧誘販売に係る本件役務提供契約の解除を妨げるため、実際には、本件役務の提供が電話勧誘販売に該当し、本件役務提供契約の内容を明らかにする書面を交付していない消費者から本件役務提供契約を解約したい旨の申出があったとき、本件役務提供契約はクーリング・オフをすることができるものであるにもかかわらず、消費者等に対し、「事業主として見ているので、クーリング・オフなどはない」、「違約金なしでのご解約は電子メールにて秘密保持契約書にご署名頂けましたらご対応いたします」、「既払い金は一切ご返金いたしません」などと、あたかも、本件役務提供契約はクーリング・オフをすることができない、違約金が生じないよう解約するためには別の契約の締結が必要である、また、既に支払った金銭については返還されないかのように告げた。
ウィリングは、以下のとおり、ディプセルと連携共同して、特定商取引法に違反する行為をしており、消費者庁は、電話勧誘販売に係る取引の公正並びに購入者及び役務の提供を受ける者の利益が著しく害されるおそれがあると認定した。
1)氏名等の明示義務に違反する行為(販売業者及び役務提供事業者の名称の不明示)(特定商取引法第16条)
ウィリングは、少なくとも令和5年3月から同年9月までの間に、ディプセルと連携共同して電話勧誘販売をしようとするとき、その勧誘に先立って、その相手方に対し、「物販を始めて全国のママさんと繋がって楽しみながらお仕事しています」、「ここの物販は子供と家に居ながらできるし、物販を通じてママ友など自分のコミュニティが広がってとにかく楽しい」などと告げるのみで、電話勧誘販売に係る販売業者及び役務提供事業者であるウィリング及びディプセルの名称を明らかにしていなかった。
(2)書面の交付義務に違反する行為(不交付)(特定商取引法第19条第1項)
ウィリングは、少なくとも令和5年3月から同年9月までの間に、ディプセルと連携共同して、特定商取引法第2条第3項に規定する電話勧誘行為により、同項に規定する電話勧誘顧客と本件売買契約及び本件役務提供契約を情報処理の用に供する機器により締結したとき、遅滞なく、その契約の内容を明らかにする書面を購入者及び役務の提供を受ける者に交付していない。
(3)役務提供契約の解除に関する事項につき不実のことを告げる行為(特定商取引法第21条第1項)
ウィリングは、少なくとも令和5年3月から同年9月までの間に、ディプセルと連携共同して、電話勧誘販売に係る本件役務提供契約の解除を妨げるため、実際には、本件役務の提供が電話勧誘販売に該当し、本件役務提供契約の内容を明らかにする書面を交付していない消費者から本件役務提供契約を解約したい旨の申出があったとき、本件役務提供契約はクーリング・オフをすることができるものであるにもかかわらず、消費者等に対し、「事業主として見ているので、クーリング・オフなどはない」、「違約金なしでのご解約は電子メールにて秘密保持契約書にご署名頂けましたらご対応いたします」、「既払い金は一切ご返金いたしません」などと、あたかも、本件役務提供契約はクーリング・オフをすることができない、違約金が生じないよう解約するためには別の契約の締結が必要である、また、既に支払った金銭については返還されないかのように告げた。
メディアの報道
消費者庁によれば、20代や30代の子育て世代の女性を中心に「解約したいが解約できない」など、この2社に対する相談がこれまでにおよそ500件寄せられている、と報じている(関西 NEWS WEB)