Ⅰ概要
①処分対象事業者
株式会社即決営業
②業界
商品の販売及び研修に係る役務の提供
③特定商取引法に違反する行為
(1)契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘(特定商取引法第17条)
(2)書面の交付義務に違反する行為(不交付)(特定商取引法第19条第1項)
(3)売買契約及び役務提供契約の解除に関する事項につき不実のことを告げる行為(特定商取引法第21条第1項)
Ⅱ業務停止命令及び指示の内容
①対象となる事業概要
株式会社即決営業(以下「即決営業」という。)は、消費者に、Web会議ツールを用いたオンラインのコンサルティングに参加するためのURLをメール等により送信して電話をかけ、当該コンサルティングにおいて、営業活動の能力向上を目的とした商品(以下「本件商品」という。)の売買契約(以下「本件売買契約」という。)及び研修に係る役務(以下「本件役務」という。)を有償で提供する契約(以下「本件役務提供契約」という。)の締結について勧誘を行い、当該消費者と当該契約をスマートフォン等の情報処理の用に供する機器により締結していることから、このような即決営業が行う本件商品の販売及び本件役務の提供は、特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号。以下「特定商取引法」という。)第2条第3項に規定する電話勧誘販売(以下「電話勧誘販売」という。)に該当する。
②処分の内容
1.業務停止命令
即決営業は、令和6年9月5日から令和6年12月4日までの間、電話勧誘販売に関する業務のうち、次の業務を停止すること。
ア 即決営業が行う電話勧誘販売に関する売買契約及び役務提供契約の締結について勧誘すること。
イ 即決営業が行う電話勧誘販売に関する売買契約及び役務提供契約の申込みを受けること。
ウ 即決営業が行う電話勧誘販売に関する売買契約及び役務提供契約を締結すること。
2. 指示
ア 即決営業は、特定商取引法第17条の規定により禁止される契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘、特定商取引法第19条第1項に規定する書面の交付義務に違反する行為(不交付)並びに特定商取引法第21条第1項の規定により禁止される売買契約及び役務提供契約の解除に関する事項につき不実のことを告げる行為をしていた。かかる行為は、特定商取引法に違反するものであることから、即決営業は、当該行為の発生原因について、調査分析の上検証し、再発防止策を講ずるとともに、コンプライアンス体制を構築し、これを即決営業の役員及び従業員に、前記(1)の業務停止命令に係る業務を再開するまでに周知徹底すること。
イ 即決営業は、電話勧誘販売により、本件売買契約及び本件役務提供契約を締結しているところ、令和4年12月1日から令和6年9月4日までの間に即決営業との間で本件売買契約及び本件役務提供契約を締結した全ての相手方に対し、以下の(ア)から(ウ)までの事項を、消費者庁のウェブサイト(https://www.caa.go.jp/)に掲載される、即決営業に対して前記(1)の業務停止命令及び本指示をした旨を公表する公表資料を添付して、令和6年10月4日までに書面により通知し、同日までにその通知結果について消費者庁長官宛てに書面又は電磁的方法(通知したことを証明するに足りる証票及び通知書面を添付すること。)により報告すること。 なお、令和6年9月18日までに、契約の相手方に発送する予定の通知書面の記載内容及び同封書類一式をあらかじめ消費者庁長官宛てに書面又は電磁的方法により報告し承認を得ること。
(ア)前記(1)の業務停止命令の内容
(イ)本指示の内容
(ウ)即決営業は、少なくとも令和4年12月から令和5年8月までの間に、電話勧誘販売に係る本件売買契約及び本件役務提供契約の解除を妨げるため、実際には、本件商品の販売及び本件役務の提供が電話勧誘販売に該当し、本件売買契約及び本件役務提供契約は特定商取引法第24条第1項の規定に基づく解除(以下「クーリング・オフ」という。)をすることができるものであるにもかかわらず、消費者に対し、「契約後のクーリング・オフできませんよ」、「クーオフや解約はできないんですよ」などと、あたかも本件売買契約及び本件役務提供契約はクーリング・オフをすることができないものであるかのように告げたこと。
③処分の原因となる事実
即決営業は、以下のとおり、特定商取引法に違反する行為をしており、消費者庁は、電話勧誘販売に係る取引の公正並びに購入者及び役務の提供を受ける者の利益が著しく害されるおそれがあると認定した。
(1)契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘(特定商取引法第17条)
即決営業は、少なくとも令和4年12月から令和5年8月までの間に、「こんな高い教材、買えないですよ」、「買うのは無理です」などと、電話勧誘販売に係る本件売買契約及び本件役務提供契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し、「うちの教材は、みんな安かったって言ってますよ」、「できないって言うのは駄目だって」などと、当該契約の締結について勧誘をした。
(2)書面の交付義務に違反する行為(不交付)(特定商取引法第19条第1項)
即決営業は、少なくとも令和4年12月から令和5年8月までの間に、特定商取引法第2条第3項に規定する電話勧誘行為により、同項に規定する電話勧誘顧客と本件売買契約及び本件役務提供契約をスマートフォン等の情報処理の用に供する機器により締結したとき、遅滞なく、その契約の内容を明らかにする書面を購入者及び役務の提供を受ける者に交付していない。
(3)売買契約及び役務提供契約の解除に関する事項につき不実のことを告げる行為(特定商取引法第21条第1項)
即決営業は、少なくとも令和4年12月から令和5年8月までの間に、電話勧誘販売に係る本件売買契約及び本件役務提供契約の解除を妨げるため、実際には、本件商品の販売及び本件役務の提供が電話勧誘販売に該当し、本件売買契約及び本件役務提供契約はクーリング・オフをすることができるものであるにもかかわらず、消費者に対し、「契約後のクーリング・オフできませんよ」、「クーオフや解約はできないんですよ」などと、あたかも本件売買契約及び本件役務提供契約はクーリング・オフをすることができないものであるかのように告げた。