株式会社一製薬 令和4年9月30日

Ⅰ概要

①処分対象事業者

株式会社一製薬

 

②業界

健康食品

 

③特定商取引法に違反する行為

(1)勧誘目的等の明示義務に違反する行為(勧誘目的不明示)
(特定商取引法第16条)
(2)契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘行為
(特定商取引法第17条)
(3)商品の効能につき不実のことを告げる行為
(特定商取引法第21条第1項)
(4)商品の価格につき不実のことを告げる行為
(特定商取引法第21条第1項)

Ⅱ業務停止命令及び指示の内容

①対象となる事業概要

株式会社一製薬(以下「一製薬」という。)は、消費者に電話をかけ、当該電話において、「縁(お試し品)」と称する健康食品(以下「本件商品」という。)の売買契約(以下「本件売買契約」という。)の締結について勧誘を行い、当該消費者と本件売買契約を電話により締結していることから、このような一製薬が行う本件商品の販売は、消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律(令和3年法律第72号)による改正前の特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号。以下「旧法」という。)第2条第3項に規定する電話勧誘販売(以下「旧法に規定する電話勧誘販売」という。)に該当する。

②処分の内容

1.業務停止命令

一製薬は、令和4年9月30日から令和5年12月29日までの間、特定商取引に関する法 律(昭和51年法律第57号。以下「特定商取引法」という。)第2条第3項に規定する電話勧 誘販売(以下単に「電話勧誘販売」という。)に関する業務のうち、次の業務を停止すること。

ア 一製薬が行う電話勧誘販売に関する売買契約の締結について勧誘すること。

イ 一製薬が行う電話勧誘販売に関する売買契約の申込みを受けること。

ウ 一製薬が行う電話勧誘販売に関する売買契約を締結すること。

2. 指示

ア 一製薬は、旧法に規定する電話勧誘販売をするに当たり、旧法第16条に規定する勧誘目 的等の明示義務に違反する行為(勧誘目的不明示)、同法第17条の規定により禁止される契 約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘行為並びに同法第21条第1項の規定に より禁止される商品の効能及び販売価格につき不実のことを告げる行為をしている。かかる 行為は、旧法に違反するものであることから、当該行為の発生原因について、調査分析の上 検証し、再発防止策を講ずるとともに、コンプライアンス体制を構築し、これを一製薬の役 員及び同社の業務に従事する者に、前記(1)の業務停止命令に係る業務を再開するまでに 周知徹底すること。

イ 一製薬は、旧法に規定する電話勧誘販売及び電話勧誘販売により、本件売買契約を締結し ているところ、令和3年6月1日から令和4年9月29日までの間に、一製薬との間で本件 売買契約を締結した全ての相手方に対し、以下の(ア)から(エ)までの事項を、北海道経 済産業局のウェブサイト(https://www.hkd.meti.go.jp/)に掲載される、一製薬に対して前 記(1)の業務停止命令及び本指示をした旨を公表する公表資料を添付して、令和4年10 月31日までに文書により通知し、同日までにその通知結果について北海道経済産業局長宛 てに文書(通知したことを証明するに足りる証票及び通知文書を添付すること。)により報 告すること。

なお、令和4年10月13日までに、契約の相手方に発送する予定の通知文書の記載内容及び同封書類一式をあらかじめ北海道経済産業局長宛てに文書により報告し承認を得ること。

(ア)前記(1)の業務停止命令の内容
(イ)本指示の内容
(ウ)下記4(3)の違反行為の内容
(エ)下記4(4)の違反行為の内容

③処分の原因となる事実

一製薬は、以下のとおり、旧法に違反する行為をしており、北海道経済産業局は、電話勧誘販売に係る取引の公正及び購入者の利益が著しく害されるおそれがあると認定した.

(1)勧誘目的等の明示義務に違反する行為(勧誘目的不明示)(旧法第16条)

一製薬は、遅くとも令和3年8月以降、旧法に規定する電話勧誘販売をしようとするとき、その勧誘に先立って、その相手方に対し、「お変わりないみたいで、お元気そうですね。」、「お元気かな?と思ってお電話してみました。」、「お元気されてました?」などと告げるのみで、その電話が本件売買契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げていない。

(2)契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘行為(旧法第17条)

一製薬は、遅くとも令和3年6月以降、「あのサプリメントいただいてましてね、あの、あんまり効果がみられないので、ごめんなさい、もういいです。」、「お薬飲んだり、病院に通ったりしてたら、疲れて。本当、結構ですから。」などと、旧法に規定する電話勧誘販売に係る本件売買契約を締結しない旨の意思を表示した消費者に対し、「●●(注:芸能人の名前)さんの番組とか●●(注:テレビ局の名称)の番組とかでもですね、臨床結果もでてるんですよ。」、「これは1本だけしか送れない。42カプセルをまず使い切ってみて下さいだったんです。」などと告げて、引き続き当該売買契約の締結について勧誘をしている。

(3)商品の効能につき不実のことを告げる行為(旧法第21条第1項)

一製薬は、遅くとも令和3年6月以降、旧法に規定する電話勧誘販売に係る本件売買契約の締結について勧誘をするに際し、勧誘の相手方に対し、「血管の中のサビとか汚れをとって傷んだ血管を修復してくれるから、血管の大掃除をしてくれるのと脳に海馬という所があるから、その記憶を司る海馬が萎縮しないように脳にたまっている汚れを取ってくれるから認知症にならないようにしてくれるんですよ。」、「頭もすっきり、もう認知症にならないように40代から溜まっている。あのー、ゴミ、アミロイドべータってタンパク質は、もう必ず誰でも溜まってますから、その大掃除はしっかりできます。」、「この42カプセルを飲まれることによってですね、もうその2年先、3年先にのびたりする症状が、例えば脳梗塞の原因の血栓というのは、常にもう血管の中にあるわけですよね、塊とか悪玉コレステロールがね、それがもう血管の中で、ぎゅんと血栓の中で溶かしてしまったりとか、あの悪玉コレステロールを溶かしてしまうということは、悪化しないので、ということは、今から先に来るであろう大きな病気の予防になるんですよ。」、「脳の、あのーたまっている汚れを取ってくれるからあのー、血管ってやっぱり歳を取ってくると細く硬く、脆くなって来るからねー。あのー途中で破れたりしないように脳梗塞とか心筋梗塞の予防にもなるからね。」、「足腰とか、膝の痛みとかもよくなる。」、「軟骨、骨も丈夫になって足腰の痛みも本当にね楽になるので、1回限定なんですよ。」、「緑内障、白内障の予防も、手術をしなくてもいいっていうことの状態にまず持って行けることが、ご自分を守ることなんです。だから、それを全般的に、この一つがなしあげていくっていうことはとってもうれしいことなんですよ。」、「目の疲れがとれてきます。それから、夜もぐっすり眠れて、あのう、夜中にあんまりお手洗いに起きなくなるんですね。」、「他の健康食品と一緒に飲んでいただくことによって、相乗効果で、当社の商品の中に、高麗人参とかルテインとか入っておりますので、しっかりと体の中に取り込んでくれる役割を果たす」、「42粒ありますから、一度しっかり飲まれて、病院の薬飲んでる方、一緒に飲まれるとね、お薬の吸収高めてくれますから、一緒に飲まれてくださいって、健康維持に参考になさってくださいってことですね。」などと、あたかも、本件商品に認知症、脳梗塞、心筋梗塞、眼病の予防の効能、足、腰、膝などの痛み、目の疲れ、睡眠を改善させる効能又は医薬品や健康食品との飲み合わせによる相乗効果をもたらす効能があるかのように告げている。当該告げた事項について、旧法第21条の2の規定に基づき、一製薬に対し、期間を定めて、その裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社は、これらを一切提出しなかった。このため、旧法に規定する電話勧誘販売に係る本件売買契約の締結について勧誘をするに際し、当該告げた行為は、いずれも、旧法第21条の2の規定により、同法第21条第1項第1号の規定に基づく特定商取引に関する法律施行規則の一部を改正する命令(令和4年内閣府・経済産業省令第1号)による改正前の特定商取引に関する法律施行規則(昭和51年通商産業省令第89号)第22条の2第1号に掲げる商品の効能につき不実のことを告げる行為をしたものとみなされる。

(4)商品の価格につき不実のことを告げる行為(旧法第21条第1項)

一製薬は、遅くとも令和3年9月以降、旧法に規定する電話勧誘販売に係る本件売買契約の 締結について勧誘をするに際し、実際には、本件商品を常時3,980円(税込・送料込)で販 売していたにもかかわらず、「元々、これ8,000円するんですよ。 今だけキャンペーンで、 あの、3,980円だけで」、「通常はね、あのー、え、8,000円ですけど、今回は、半額以 下で、しっかり身体で実感していただきたいので、3,980円だけです。」、「本当は8,000 円するものが、3,980円だけなんですよ。」などと、あたかも本件商品の定価は8,000円 であり、キャンペーン期間中など一定期間に限り3,980円(税込・送料込)で販売している かのように告げている。