株式会社LIT 令和5年6月28日

  • 投稿カテゴリー:通信販売

Ⅰ概要

①処分対象事業者

株式会社LIT

②業界

ヘアケア用品及びサプリメントを販売する通信販売業者

③特定商取引法に違反する行為

(1)特定申込みに係る手続が表示される映像面(最終確認画面)における誤認表示(特定商取引法第12条の6第2項)
(2)解除に関する事項につき不実のことを告げる行為(特定商取引法第13条の2)

Ⅱ業務停止命令及び指示の内容

①対象となる事業概要

株式会社LIT(以下「LIT」という。)は、同社が運営する「emerire」と称するウェブサイト上のショップ(そのURLがhttps://emerire.com/で始まるもの。以下「本件ウェブサイト①」という。)において、パソコン及びスマートフォン等の情報処理の用に供する機器を利用する方法により、「ブラックデュアルトリートメント」と称するヘアケア用品(以下「本件商品①」という。)等の売買契約の申込みを受けてこれを販売するとともに、「百命堂」と称するウェブサイト上のショップ(そのURLがhttps://lit-online-shop.com/で始まるもの。以下「本件ウェブサイト②」という。)において上記と同様の方法により、「精の命」と称するサプリメント(以下「本件商品②」という。)の売買契約の申込みを受けてこれを販売していることから、このようなLITが行う両商品の販売は、特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)第2条第2項に規定する通信販売(以下「通信販売」という。)に該当する。

②処分の内容

1.取引等停止命令

LITは、令和5年6月28日から令和5年12月27日までの間、通 信販売に関する業務のうち、次の業務を停止すること。

ア LITが行う通信販売に関する商品の販売条件について広告をするこ と。

イ LITが行う通信販売に関する商品の売買契約の申込みを受けること。

ウ LITが行う通信販売に関する商品の売買契約を締結すること

2. 指示

ア LITは、特定商取引法第12条の6第2項により禁止されるLIT が電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用す る方法により顧客の使用に係る電子計算機の映像面に表示する手続に 従って顧客が行う通信販売に係る売買契約の申込みを受ける場合の手 続が表示される映像面(以下「最終確認画面」という。)における誤認 表示及び同法第13条の2により禁止される解除に関する事項につき 不実のことを告げる行為をしていた。かかる行為は、特定商取引法に違反するものであることから、当該行為の発生原因について、調査分析の上検証し、再発防止策を講ずるとともに、コンプライアンス体制を構築(法令及び契約に基づく返金及び解約の問合せ等に適切かつ誠実に対応することを含む。)し、これらをLITの役員及び従業員に、前記(1)の業務停止命令に係る業務を再開するまでに周知徹底すること。

イ LITは、通信販売により、LITの商品に係る売買契約(以下「本 件売買契約」という。)を締結しているところ、令和5年3月1日から 令和5年6月27日までの間にLITとの間で本件売買契約を締結し た全ての相手方に対し、以下の(ア)から(ウ)までの事項を、消費者 庁のウェブサイト(https://www.caa.go.jp/) に掲載される、LITに対して前記(1)の業務停止命令及び本指示を した旨を公表する公表資料を添付して、令和5年7月27日までに文書 により通知し、同日までにその通知結果について消費者庁長官宛てに文 書(通知したことを証明するに足りる証票及び通知文書を添付するこ と。)により報告すること。

なお、令和5年7月11日までに、契約の相手方に発送する予定の通 知文書の記載内容及び同封書類一式をあらかじめ消費者庁長官宛てに 文書により報告し承認を得ること。

(ア)前記(1)の業務停止命令の内容

(イ)本指示の内容

(ウ)下記4(1)の違反行為の内容

③処分の原因となる事実

(1)最終確認画面における誤認表示(特定商取引法第12条の6第2項)

LITは、以下のとおり、特定商取引法に違反する行為をしており、消費者庁は、通信販売に係る取引の公正及び役務の提供を受ける者の利益が著しく害されるおそれがあると認定した。(1)最終確認画面における誤認表示(特定商取引法第12条の6第2項)LITは、少なくとも令和5年3月10日から同年4月12日までの間、別添資料1及び2のとおり、本件ウェブサイト①における、購入者に対して本件商品①を定期的に継続して引き渡し、購入者がこれに対する代金の支払をすることとなる契約(以下「本件定期購入契約①」という。)に係る最終確認画面(以下「本件最終確認画面①」という。)及び本件ウェブサイト②における、購入者に対して本件商品②を定期的に継続して引き渡し、購入者がこれに対する代金の支払をすることとなる契約(以下「本件定期購入契約②」という。)に係る最終確認画面(以下「本件最終確認画面②」という。)において、本件定期購入契約①及び本件定期購入契約②に基づいて最初に引き渡す商品の販売価格をいずれも赤字で大きく「990円」などと強調して表示しながら、当該価格の表示に比べて著しく小さな文字で、分量、2回目以降の商品の販売価格、2回目以降の商品代金の支払時期及び2回目以降の商品の引渡時期について、罫線枠上やスクロールバーを表示することもなく罫線枠内のスクロールをしなければ確認することができない位置に表示し、また、いずれも「注文を確定する」ボタンの直上に、「いつでも解約OK」などとピンク地に黒字で大きく表示して両契約の解約がいつでも可能である旨を強調しながら、本件定期購入契約①については次回配送予定日の12日前までに電話又は本件商品①に係るLIT独自の解約専用フォームにより解約する必要があるとの解約条件を、本件定期購入契約②については次回配送予定日の7日前までに電話又は本件商品②に係るLIT独自の解約専用フォーム(以下「本件解約専用フォーム」という。)により解約する必要があるとの解約条件を、それぞれ、前記「いつでも解約OK」の表示に比べて著しく小さな文字で、罫線枠上や罫線枠内のスクロールをしなければ確認することができない位置に表示するのみであるなど、分量、商品の販売価格、商品代金の支払時期、商品の引渡時期及び解約条件につき、人を誤認させるような表示をしていた。

(2)解除に関する事項につき不実のことを告げる行為(特定商取引法第13条の2)

LITは、令和5年4月、通信販売に係る本件定期購入契約②の解除を妨げるため、実際には、当該契約を解除することが可能であるにもかかわらず、本件解約専用フォームにおいて「ご解約の方はこちら」(下線は当該ウェブサイトでの表示)をクリックして解除を試みた消費者に対し、本件解約専用フォームにおいて、「大変恐れ入りますが、商品が既に発送準備中となっているため、キャンセルをお受け出来かねます。」、「次回発送分の商品から解約可能となっております」などと表示して、あたかも、解除することができないかのように告げるなど、当該契約の解除に関する事項について不実のことを告げる行為をした。

Ⅲ実例

LITは、令和5年4月、消費者Aとの間で、本件定期購入契約②を締結した。LITは、本件定期購入契約②を締結した当日、本件解約専用フォームにおいて「ご解約の方はこちら」(下線は当該ウェブサイトでの表示)をクリックして解除を試みたAに対し、本件解約専用フォームにおいて、「大変恐れ入りますが、商品が既に発送準備中となっているため、キャンセルをお受け出来かねます。」、「次回発送分の商品から解約可能となっております」などと表示して、あたかも、解除することができないかのように告げた。