Ⅰ概要
①処分対象事業者
KUROFUNE&Co株式会社
②業界
訪問購入業者
③特定商取引法に違反する行為
(1)勧誘の要請をしていない者に対する勧誘(特定商取引法第58条の6第1項)
(2)契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘(特定商取引法第58条の6第3項)
(3)書面の交付義務に違反する行為(記載不備)(特定商取引法第58条の8第2項)
(4)物品の引渡しの拒絶に関する告知義務に違反する行為(特定商取引法第58条の9)
Ⅱ業務停止命令及び指示の内容
①対象となる事業概要
KUROFUNE&Co株式会社(以下「KUROFUNE&Co」という。)は、消費者宅に電話をかけ、消費者に対し、衣類、家庭用電気機械器具等の不要品(以下「不要品」という。)の売買契約の締結について勧誘することの承諾を取り付けた上で(以下KUROFUNE&Coが消費者に当該承諾を取り付けた不要品の売買契約を「不要品売買契約」という。)、消費者宅を訪問し、同所において、不要品売買契約並びに宝石、貴金属及びこれらに類する物品(以下「貴金属等」という。)の売買契約(以下「本件売買契約」という。)の一方又は双方の締結について勧誘をし、当該消費者との間で不要品売買契約及び本件売買契約の一方又は双方を締結して不要品及び貴金属等の一方又は双方の購入を行っていることから、KUROFUNE&Coが行う不要品及び貴金属等の購入は、特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号。以下「特定商取引法」という。)第58条の4に規定する訪問購入(以下「訪問購入」という。)に該当する。
②処分の内容
1.業務停止命令
(1)業務停止命令
KUROFUNE&Coは、令和7年11月27日から令和8年8月26日までの間、訪問購入に関する業務のうち、以下のアからウまでの事項を停止すること。
ア KUROFUNE&Coが行う訪問購入に関する売買契約の締結について勧誘すること。
イ KUROFUNE&Coが行う訪問購入に関する売買契約の申込みを受けること。
ウ KUROFUNE&Coが行う訪問購入に関する売買契約を締結すること。
2. 指示
KUROFUNE&Coは、特定商取引法第58条の6第1項の規定により禁止される勧誘の要請をしていない者に対する勧誘、同条第3項の規定により禁止される契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘、特定商取引法第58条の8第2項に規定する書面の交付義務に違反する行為(記載不備)及び特定商取引法第58条の9に規定する物品の引渡しの拒絶に関する告知義務に違反する行為をしていた。かかる行為は、特定商取引法に違反するものであることから、KUROFUNE&Coは、当該行為の発生原因について、調査分析の上検証し、法令遵守体制の整備その他の再発防止策を講じ、これをKUROFUNE&Coの役員及び従業員に、前記(1)の業務停止命令に係る業務を再開するまでに周知徹底すること。
③処分の原因となる事実
KUROFUNE&Coは、以下のとおり、特定商取引法に違反する行為をしており、消費者庁は、訪問購入に係る取引の公正及び売買契約の相手方の利益が著しく害されるおそれがあると認定した。
(1)勧誘の要請をしていない者に対する勧誘(特定商取引法第58条の6第1項)
KUROFUNE&Coは、少なくとも令和5年11月から令和6年2月までの間に、訪問購入に係る不要品売買契約の締結について勧誘をする承諾のみを取り付けた上で消費者宅を訪問したにもかかわらず、同所において、訪問購入に係る本件売買契約の締結についての勧誘の要請をしていない者に対し、本件売買契約の締結について勧誘をしていた。
(2)契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘(特定商取引法第58条の6第3項)
KUROFUNE&Coは、少なくとも令和5年11月から令和6年2月までの間に、「イミテーションのアクセサリーとかでも買ってます。アクセサリーだったら何でも大丈夫です。」などと、訪問購入に係る本件売買契約の締結について勧誘をした際、「でも今、売るつもりは全然ないんだけど。」などと、本件売買契約を締結しない旨の意思を表示した消費者に対し、「使わないのは絶対整理した方が良いとは思います。」などと告げて、引き続き本件売買契約の締結について勧誘をしていた。
(3)書面の交付義務に違反する行為(記載不備)(特定商取引法第58条の8第2項)
KUROFUNE&Coは、少なくとも令和5年11月から令和6年2月までの間に、消費者宅において、訪問購入に係る売買契約(不要品売買契約及び本件売買契約の一方又は双方をいう。以下同じ。)を締結した際、代金を支払い、かつ、物品の引渡しを受けたとき、その売買契約の相手方に交付することが義務付けられている契約の内容を明らかにする書面を交付したが、当該書面には、特定商取引法第58条の8第2項に規定する売買契約の内容を明らかにする書面を受領した日から起算して8日以内(以下「クーリング・オフ期間」という。)を経過するまでは、訪問購入に係る売買契約の相手方は、電磁的記録により訪問購入に係る売買契約の解除を行うことができ、かつ、訪問購入に係る売買契約の解除は、当該相手方が、当該解除に係る電磁的記録による通知を発した時に、その効力を生ずることを記載していなかった。
(4)物品の引渡しの拒絶に関する告知義務に違反する行為(特定商取引法第58条の9)
KUROFUNE&Coは、少なくとも令和5年11月から令和6年2月までの間に、訪問購入に係る売買契約の相手方から直接物品の引渡しを受ける時、当該相手方に対し、クーリング・オフ期間は当該物品の引渡しを拒むことができる旨を告げていなかった。
事例
【事例1】勧誘の要請をしていない者に対する勧誘、契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘、物品の引渡しの拒絶に関する告知義務に違反する行為
令和5年11月、KUROFUNE&Coは、消費者A宅に電話をかけ、訪問購入をしようとして、Aに対し、「買取りで回っているのですが、不要な物はありませんか。」、「マッサージチェアはありませんか。」などと告げて、不要品売買契約の締結についての勧誘をし、Aはこれを承諾した。 この電話において、Aが承諾したのは、不要品売買契約の締結についての勧誘のみであった。 後日、KUROFUNE&Coの従業員Zは、A宅に訪問した際、Aが本件売買契約の締結について勧誘を要請していないにもかかわらず、Aに対し、「イミテーションのアクセサリーとかでも買ってます。アクセサリーだったら何でも大丈夫です。」、「今出した方が良いものも、絶対あるんで。」などと告げて、本件売買契約の締結について勧誘をした。 Zが本件売買契約の締結について勧誘をした際、Aは、Zに対し、「でも今、売るつもりは全然ないんだけど。」などと、本件売買契約を締結しない旨の意思を表示したが、Zは、「使わないのは絶対整理した方が良いとは思います。」などと告げて、引き続き本件売買契約の締結について勧誘をし、Aと本件売買契約を締結した。Zは、Aから物品の引渡しを受ける時、Aに対し、クーリング・オフ期間は当該物品の引渡しを拒むことができる旨を告げていなかった。
【事例2】勧誘の要請をしていない者に対する勧誘、契約を締結しない旨の意思を表示した者に対する勧誘、物品の引渡しの拒絶に関する告知義務に違反する行為
令和6年2月、KUROFUNE&Coは、消費者B宅に電話をかけ、訪問購入をしようとして、Bに対し、「不要品の買取りをしているんですけど。」、「今、書籍や本などを買い取ってます。」などと告げて、不要品売買契約の締結についての勧誘をし、Bはこれを承諾した。 この電話において、Bが承諾したのは、不要品売買契約の締結についての勧誘のみであった。 後日、KUROFUNE&Coの従業員Yは、B宅に訪問した際、Bが本件売買契約の締結について勧誘を要請していないにもかかわらず、Bに対し、「どんなんでもいいです。壊れててもいいですし。片っぽだけの耳飾りでも、ちぎれたネックレスでも。」、「今日はちょっとだけでもあればありがたいです。」などと告げて、本件売買契約の締結について勧誘をした。 Yが本件売買契約の締結について勧誘をした際、Bは、Yに対し、「今日はもう無い。」などと、本件売買契約を締結しない旨の意思を表示したが、Yは、「これだけお願いします。お願いします。お願いします。」などと告げて、引き続き本件売買契約の締結について勧誘をし、Bと本件売買契約を締結した。 Yとの入れ替わりでB宅を訪問したKUROFUNE&Coの従業員Xは、Bから物品の引渡しを受ける時、Bに対し、クーリング・オフ期間は当該物品の引渡しを拒むことができる旨を告げていなかった。