リーウェイジャパン株式会社 令和3年8月03日

Ⅰ概要

①処分対象事業者

リーウェイジャパン株式会社

②業界

栄養補助食品、化粧水、美容マスク

 

③特定商取引法に違反する行為

(1)商品の効能及び契約の解除に関する事項につき不実のことを告げる行為
(特定商取引法第34条第1項)
(2)断定的判断の提供(特定商取引法第38条第1項第2号)

Ⅱ業務停止命令及び指示の内容

①対象となる事業概要

リーウェイジャパン株式会社(以下「リーウェイジャパン」という。)は、 「PURTIER PLACENTA」(パーティアプラセンタ)と称する鹿 の胎盤(プラセンタ)が主成分であるとする栄養補助食品(以下「本件商品」 という。)等を販売する事業を行い、「ボーナス」と称する報酬を収受し得る ことをもって、本件商品等の販売のあっせんをする者(以下「会員」という。) を誘引し、その者と本件商品等の購入を伴う本件商品等の販売に係る取引を 行っている。 当該報酬は特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」という。)第3 3条第1項に規定する特定利益に該当し、本件商品等の購入は同項に規定す る特定負担(以下「特定負担」という。)に該当することから、リーウェイジャ パンは連鎖販売業(同項に規定する連鎖販売業をいう。以下「本件連鎖販売 業」という。)を行っている。

②処分の内容

1. 業務停止命令

リーウェイジャパンは、令和3年8月3日から令和4年2月2日までの間、連鎖販売業に係る次の取引等を停止すること。

ア リーウェイジャパンが行う連鎖販売取引(特定商取引法第33条第1項に規定する連鎖販売取引をいう。以下同じ。)について勧誘を行い、又は同社が統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引について勧誘を行わせる者(特定商取引法第33条の2に規定する勧誘者をいう。以下「勧誘者」という。)に勧誘を行わせること。
イ リーウェイジャパンが行う連鎖販売取引についての契約の申込みを受け、又は勧誘者に当該取引に係る契約の申込みを受けさせること。
ウ リーウェイジャパンが行う連鎖販売取引について契約を締結すること。

2. 指示

ア 勧誘者は、特定商取引法第34条第1項の規定により禁止される商品 の効能及び統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引につ いての契約の解除に関する事項につき不実のことを告げる行為並びに同法第38条第1項第2号の規定に該当する統括者の統括する一連の連鎖販売業に係る連鎖販売取引につき利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供してその連鎖販売業に係る連鎖販売契約の締結について勧誘をする行為をしている。かかる行為は、特定商取引法の規定に違反し、又は同法に規定する指示対象行為に該当するものであることから、当該行為の発生原因について、調査分析の上検証し、再発防止策を講ずるとともに、コンプライアンス体制を構築し、これらを貴社の役員、貴社の業務に従事する者及び会員に、前記(1)の取引等停止命令に係る取引等を再開するまでに周知徹底すること。

イ リーウェイジャパンは、本件連鎖販売業に係る連鎖販売取引(以下「本 件連鎖販売取引」という。)についての契約(以下「本件連鎖販売契約」 という。)を締結しているものであるところ、令和元年12月1日から令 和3年8月2日までの間に、本件連鎖販売契約を締結した全ての相手方 (以下「契約の相手方」という。)に対し、以下の事項を、消費者庁のウェ ブサイト(https://www.caa.go.jp/)に掲載さ れる、リーウェイジャパンに対して前記(1)の取引等停止命令及び本 指示をした旨を公表する公表資料を添付して、令和3年9月2日までに 文書により通知し、同日までにその通知結果について消費者庁長官宛て に文書(通知したことを証明するに足りる証票及び通知文書を添付する こと。)により報告すること。 なお、令和3年8月16日までに、契約の相手方に発送する予定の通 知文書の記載内容及び同封書類一式をあらかじめ消費者庁長官宛てに文 書により報告し承認を得ること。

(ア)前記(1)の取引等停止命令の内容

(イ)本指示の内容

(ウ)勧誘者は、遅くとも令和元年12月以降、本件連鎖販売契約の締 結について勧誘をするに際し、本件商品の販売のあっせんを店舗その 他これに類似する設備によらないで行う個人(以下「無店舗等個人」 という。)に対し、あたかも本件商品に発毛、ヘルペスの発疹予防、 糖尿病の治癒及び改善、癌の治癒並びに股関節痛、アトピー、その他 の難病など万病の改善の効能があるかのように告げているが、当該告 げた事項の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料を有していなかっ たこと。

(エ)勧誘者は、遅くとも令和2年2月以降、本件連鎖販売契約の締結 について勧誘をするに際し、無店舗等個人に対し、特定商取引法第

③処分の原因となる事実

リーウェイジャパンは、以下のとおり、特定商取引法の規定に違反し、又は同法に規定する指示対象行為に該当する行為をしており、消費者庁は、連鎖販売取引の公正及び連鎖販売取引の相手方の利益が著しく害されるおそれがあると認定した。

(1)商品の効能につき不実のことを告げる行為(特定商取引法第34条第1項)勧誘者は、遅くとも令和元年12月以降、本件連鎖販売契約の締結について勧誘をするに際し、無店舗等個人に対し、「飲んで数日後に急に禿げていた部分にかゆみが生じ、スマホのカメラ機能で見てみたら毛根ができていて、しばらくしたら毛がたくさん生えるようになりました。2ヶ月経ってもヘルペスが発生しなくなり嬉しいです。」、「糖尿病に効く。すごく重症な糖尿病の知り合いが、飲んで治った。」、「私あれだけ痛い痛い言っていたのが痛いと言わなくなったでしょ。股関節良くなった。」、「(股関節が)良くなる。」、「鹿の幹細胞やから、そこから新しい細胞を作っていく。全ての細胞の基本になるのは幹細胞やから、新しく細胞が作られて、病気が治っていく。だから、全ての病気に効く。癌も治る。アトピー、難病に効く。」などと、あたかも本件商品に発毛、ヘルペスの発疹予防、糖尿病の治癒及び改善、癌の治癒並びに股関節痛、アトピー、その他の難病など万病の改善の効能があるかのように告げている。消費者庁は、当該告げた事項について、特定商取引法第34条の2の規定に基づき、リーウェイジャパンに対し、期間を定めて、その裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めたところ、同社は、これらを一切提出しなかった。このため、本件連鎖販売取引における当該告げた行為は、いずれも、特定商取引法第34条の2の規定により、同法第34条第1項第1号の規定に基づく特定商取引に関する法律施行規則(昭和51年通商産業省令第89号)第24条の2第1号に掲げる商品の効能につき不実のことを告げる行為をしたものとみなされる。

(2)契約の解除に関する事項につき不実のことを告げる行為(特定商取引法第34条第1項)勧誘者は、令和2年2月以降、本件連鎖販売契約の締結について勧誘をするに際し、無店舗等個人に対し、特定商取引法第40条第1項の規定に基づき、同法第37条第2項の書面を受領した日から起算して20日以内であれば、クーリング・オフを行うことができるにもかかわらず、あたかもクーリング・オフができないかのように告げている。

(3)断定的判断の提供(特定商取引法第38条第1項第2号)勧誘者は、遅くとも令和元年夏頃以降、本件連鎖販売契約の締結について勧誘をするに際し、無店舗等個人に対し、「ネットワークビジネスでは、2020年には〇〇(他の連鎖販売業者)を抜いて、世界一になるので、こんなチャンスはないから早く始めた方がいい。今から絡んでおいた方が絶対いい。必ずすごいことになる。儲かるから。稼げるから。リーウェイは、一度リーウェイのサプリを購入した人が、同じポジションで購入できない仕組みになっていて、上の人が自分の下のポジションで購入するから、損はしない。」、「月収100万円取れるまでサポートさせていただきます。」、「毎日がお給料日です!」、「私は、何百万と稼いでいる。目標は1,000万。このビジネスは儲かります。」、「上から下に順々に人が付いていく。下に必ず付けるから損はしない。」などと告げ、もって本件連鎖販売取引につき利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供してその連鎖販売業に係る連鎖販売契約の締結について勧誘している。

Ⅲ実例

勧誘者Zは、令和2年8月、知人である消費者Aを飲食店に呼び出し勧誘者Yと共に、本件連鎖販売契約を締結するよう勧めた。さらに、その翌日、Zは、メッセージアプリにより、Aに対し、「・〇〇(注:特定の氏が記載されている。)さん・大阪府出身・40代・2020年6月25日登録・飲み方平日は2粒、休日は3~4粒飲んでます。《飲む前》薄毛が広がりつつあり、育毛剤やらを使ってもダメで諦めた。健診結果が良くない状態が数年続いて、青汁などを飲んでも効果がみられなかった(コレステロール高め/糖尿病になりかけ)。ヘルペスの発症時期が短めになってげんなり。ひどい場合は髭を剃れずマスクをしながら仕事。【飲んだ後】飲んで数日後に急に禿げていた部分にかゆみが生じ、スマホのカメラ機能で見てみたら毛根ができていて、しばらくしたら毛がたくさん生えるようになりました。2ヶ月経ってもヘルペスが発生しなくなり嬉しいです。顔に保湿感が出たせいか、モチモチ感が半端ないです。」などとメッセージを送信し、あたかも本件商品に発毛及びヘルペスの発疹予防の効能があるかのように告げるとともに、「僅か¥315,000で永久にダイヤモンドという、最高のポジションを獲得出来、ノルマ無し!」、「Aちゃんは、素晴らしい本体の目標達成の為に資金が必要だと思う!その足しに出来ると思います!」などとメッセージを送信した。その結果、Aは、同年9月、リーウェイジャパンと本件連鎖販売契約を締結した。

勧誘者Y及び勧誘者X外1名は、令和2年9月、飲食店において、本件連鎖販売契約の締結について、Xの知人である消費者Bを勧誘したが、その際、YがBに対し、「商品は鹿のプラセンタ。非常に良いもので、糖尿病に効く。すごく重症な糖尿病の知り合いが、飲んで治った。」などと、あたかも本件商品に糖尿病の治癒及び改善の効能があるかのように告げるとともに、「私は、何百万と稼いでいる。目標は1,000万。このビジネスは儲かります。」、「上から下に順々に人が付いていく。下に必ず付けるから損はしない。」、「素晴らしい会社で、利益出てます。儲かります。」などと告げた。さらに、X及びYは、XがBに対し、「私あれだけ痛い痛い言っていたのが痛いと言わなくなったでしょ。股関節良くなった。」などと告げた上、BからBの股関節痛について「良くなる?」と尋ねられると、X及びYが「良くなる。」などと告げ、あたかも、本件商品に股関節痛の改善の効能があるかのように告げた。その結果、Bは、同年10月、リーウェイジャパンと本件連鎖販売契約を締結した。

勧誘者Wは、令和元年夏頃、イベント会場において、本件連鎖販売契約の締結について、Wの知人である消費者Cを勧誘したが、その際、Cに対し、「日本に入ってきたばかりの、すごい販売システムのビジネスがあるから、Cさんもやらへん?癌なんかにも効く、本当にすごいサプリがあるからやらへん?」などと告げた上、後日に、Cと会った際にも、Cに対し、「「リーウェイ」というやつなんやけど。シンガポールから始まり、アジアでは爆発的に売れ、ネットワークビジネスでは、2020年には〇〇(他の連鎖販売業者)を抜いて、世界一になるので、こんなチャンスはないから早く始めた方がいい。今から絡んでおいた方が絶対いい。必ずすごいことになる。儲かるから。稼げるから。リーウェイは、一度リーウェイのサプリを購入した人が、同じポジションで購入できない仕組みになっていて、上の人が自分の下のポジションで購入するから、損はしない。」などと告げた。そして、Wの上位会員である勧誘者Vは、令和元年11月下旬から12月初め頃、Wと共に喫茶店でCと会い、Cに対し、「私は、糖尿病で、アメリカで移植するしか治す方法がなかった。しかし、それができなかったので、一度心臓が止まって仮死状態になったことがある。その時は奇跡的に生き返ったけど、1週間寝たきりになり、内臓がボロボロになってしまった。その後、移植をするしか方法は残されていない中、日本でも色々な物を試したが、このリーウェイのプラセンタのサプリに出会い、すがるような思いで大量に飲み続けたところ、劇的に回復した。」などと告げた上、「リーウェイはバイナリーの仕組みのビジネス。自分がサプリを購入して、その下に左右2人を勧誘して、契約させ、さらにその下に人を付けることにより、収入が得られる。しかも、自分で勧誘しなくても、上の人が、自分の下に人を付けてくれるので、儲かる仕組み。自分より上の人のサプリが無くなると、再購入して、自分の下に付くこともある。入会者を増やして、下に付けていけばすごい収入になる。」、「成果次第で月1千万円も達成できる。タイトルを取れば収入が上がっていく。タイトルのスターの数によって月収500万円から1千万円になる。成果次第で、自分の下にスターの数が多い人を付けていけば、自分の収入が上がる。サプリを購入するために支払った分の元も取れる。」、「チームで動くから、勧誘しない人がいても、勧誘をする人が下に人を付けてくれる。」などと告げた。さらに、Wは、令和元年12月、飲食店でC及びCの知人2名に対し、本件商品についてフィリピンの医者が癌に効くと言っていること及び自分が勧誘をしなくても上のポジションの会員が自分の下に人を付けてくれること等を告げるとともに、「鹿の幹細胞やから、そこから新しい細胞を作っていく。全ての細胞の基本になるのは幹細胞やから、新しく細胞が作られて、病気が治っていく。だから、全ての病気に効く。癌も治る。アトピー、難病に効く。」などと、あたかも、癌の治癒、股関節痛、アトピー、その他の難病など万病の改善の効能があるかのように告げた。その結果、Cは同月、リーウェイジャパンと本件連鎖販売契約を締結した。