非医師による、クリニック・病院の経営(開業)4大条件
日本では「医は仁術」の考えが強く、また、行政や医師会の思惑もからみ、医療法上、営利を目的とした病院(含むクリニック。以下同じ)の開設は許可されないことになっています(診療や投薬で売上を上げるのは営利行為とされないが、医療と関係ないことで売上を上げるのは営利行為とされる)。
そこから、株式会社や非医師の個人が病院を経営することは極めて制限されています。しかし、非医師が「実質的に」病院を経営することは可能で、大きくいって4つのやり方があります。
*医療法7条の6
営利を目的として、病院、診療所又は助産所を開設しようとする者に対しては、第四項の規定にかかわらず、第一項の許可を与えないことができる。
*医療の領域では、病院(医療事業)の運営主体(一般のビジネスの株式会社に当たるもの)は「開設者」と呼ばれ、診療の最高責任者(一般のビジネスの社長にあたるもの)は「管理者」と呼ばれます。後者が俗にいう「院長」です。
ドクターは「院長」というカードは1枚しか持っていません。そこで、どこかで「院長」をやっている人は他で「院長」をやることはできません。
Ⅰ.MS法人方式
第1は、病院の中には入りこまず、外から実質的に支配する方法。いわゆるMS法人方式です。
<ケーススタディ:企業による間接的な病院経営>
- 都内に2019年スタートした病院(医療法人)。 実質的には医療機器メーカーが支配している。
- 支配の態様
- 2のスキームの違法性
- 形式上、医療の売上はBに帰属するので法律上問題ない。
- 支配は別として、医療周りをAのような企業がサポートすることは昔から広く行われており、 Aのような企業はMS法人(メディカルサポート法人)と呼ばれている。 → A社のような上場企業がMS法人を事業として行っても何の問題もない。
このやり方の場合、保健所に病院の開設届を出すときに、「うちは背後のMS法人に支配されています」なんてことを言うわけがないので、普通の開設届と同じように処理されます。
普通の開設届は、①開設者が医師(ないし歯科医師)か、②構造はどうか(診療室と待合室は区分されているか、衛生は保たれているかなど)が主なチェックポイントで、②に問題がなければ、すぐ受理され、その日から開業できます(1か月後くらいに訪問があり、構造のチェックなどが行われます)。
Ⅱ.医療法人方式
第2は、開設者を医療法人とし、その中に入り込む方法です。
病院を始めるには開設者が必要で、その開設者を医師・歯科医師個人以外とする場合は
自治体の許可が必要です(医療法7条)。
その開設者を医療法人とすることは何の問題もありません。
1.では、その医療法人を設立するにはどうしたらよいか?
- 具体的には、非医師がその理事長になれるか?
理事長になれれば実質その人が病院の代表者のようなものです。
この点に関し、医療法46条の6は、
「医療法人(次項に規定する医療法人を除く。)の理事のうち一人は、理事長とし、医師又は
歯科医師である理事のうちから選出する。ただし、都道府県知事の認可を受けた場合は、
医師又は歯科医師でない理事のうちから選出することができる。」と定めています。
つまり、原則、理事長は医師でなければならないが、知事の許可を得れば非医師でもよい、というわけです。 - しかし、実際には、新設の医療法人について非医師の理事長をOKとする例はまれで、
運用実績がある医療法人の変更についてなら非医師の理事長をOKとする例が多いようです。
ですから、結局、開設者を医療法人とし、非医師がその理事長になるには、実際上、その医療法人について5年以上の運用実績が必要、ということになります。
2.では、株式会社を開設者にできるか?
これは手続的には医療法7条により自治体の許可がもらえるかに、帰着します。
現状は、医療の非営利性の観点から原則不可、例外的に、「東芝病院」のように、職員用から
地域用に発展したもののみが存在する、という状況です。
Ⅲ.一般社団法人方式
第3は、最近出てきた一般社団法人を開設者とするやり方です。
1)特に目立つのが、一般社団法人巨樹の会です。
現在17病院の開設者になっています。
2)一般社団法人の設立は簡単で、理事長は誰でもなれますから、この方式だと、非医師もすぐ実質的に病院経営できることになります。
もっとも、現段階では3)で述べるように、東京・港区以外では、当初は医師を社団の代表にしておいた方が通りはよいです。
この場合は、開設許可後に社団の代表を変えることになります
3)社団の事業の非営利性は厳しく審査されます。
背後に、企業の影が見えるとそれとの関係を入念にチェックされます。
また、このやり方を認めらえるかどうかは地域差が著しく、どこの保健所を管轄とするかをよく検討する必要があります。
*東京港区はこの方式に対するアレルギーが少ない。
ギャラのみで有名なPを運営するK社は一般社団法人P会を設立(代表理事はK社の社長)。P会が開設者となりPの登録女性を主たる顧客として六本木に美容のPクリニックを立ち上げている。
4)このやり方は社団設立から始まり時間がかかる。半年くらいはリードタイムを見ておいた方がよいです。
Ⅳ.資金
顧客と売り上げのめどが立つのであれば、医師の手配は当社(YDC)でご協力できます。
Ⅴ.システム供給方式
- 会社が、集客(ピルが欲しい人)のシステムを作り、集客します。
- 会社は、オンライン診療のシステムを作り、決済・配送の仕組みも作ります
- ピルのような医薬品は病院か薬局でないと保管ができません。システム供給方式では特定の病院を支配しないため、どこをロジの起点にするか?という問題が生じます。 スマルナでは調剤薬局を買収してその薬局から配送される仕組みを作っています。
- 診療や調剤の売上を会社に計上することはできません。それを認めると会社が病院を経営するのを認めるのに等しいことになります。そこで、収納代行の仕組みがよくとられています。つまり、会社が、振り込みやコンビニ後払いやカード会社からの入金を一旦預かり、アルバイト医師に渡しますが、その際、集客・ロジ・収納代行手数料と相殺し、実質的にはアルバイト医師のバイト代を渡すことになります。
- 医師は、会社が集客した顧客に対してオンライン診療を行い、処方箋を薬局に送り、薬局からピル(医薬品)が顧客に送られます。
- 医療メニューはオンラインで完結できるもの、定型化されていて医師の個人的力量に依存しないものに限られます。現状、ピル以外外では、発毛があります。 い。
- このやり方では、病院を実質的に支配せずとも医療ビジネスに容易に参入できます。院長を見つけるのは大変ですが、バイト医師を見つけるのは簡単です。
- 海外では、顧客に医師を選ばせるマッチングシステムが多く採用されています。スマルナもそうです。しかし、その仕組みが不可欠なわけではなく、バイト医師は1人でも足ります。
- 他のやり方ではいかにして院長を見つけるかが試金石ですが、このやり方ではそれよりも提携薬局をどうするか、収納代行をどうするかが試金石になります。
Ⅵ.コンサルティング
- 非医師による病院経営をお望みの方に対して、
ドクター個人:月10万円(税別)
企業:月30万円(税別)
にて基本期間3か月のコンサルティングを行っています。 - このコンサルティングでは、次のようなことをナビゲーションします。
★当社は自らクリニックを運営し、また、常に50クリニックくらいのコンサル・指導を行っているため、いろんな事例の経験があります。
*大手企業が一般社団法人を設立しそこを開設者としてクリニック運営を実践するプロジェクトなども経験があります。
A.クリニック経営の方式としてどれを選択すべきか(MS法人方式か一般社団方式か。お金の出し方・吸い上げ方をどうするか)
*一般社団方式で社団の設立を代行する場合は、行政書士費用約50万
B.院長をどうするか
*紹介する場合は、年俸1500~2000万、手数料35%
C.保健所への開設届け手続
*代行する場合は、行政書士費用約100万
D.レイアウトの作り方(水回り、コロナ対策など)
E.診療メニューの組み方(特にオンライン診療どうするか)
F.薬剤の入手(海外から国内から)
*海外からの輸入に関する薬監証明を代行する場合は、行政書士費用約20万
G.医療行為以外の部分について経営側がどこをどう押さえるか(人事、集客、集金代行、ロジなど)
H.薬剤に関し院内処方でやるか院外処方でやるか
I.オンライン診療の実践(①インフラの作り方、②LPの作り方、③プロモーションの仕方、④LTVの上げ方)
Ⅶ.FAQ
Q1. 院長を雇うには高額に資金が必要なことはよくわかりましたが、それだけの資金を用意できません。なにか解決策はないのですか?
A. 私どもの医療グループを活用することです。詳しくはお問い合わせください。
Q2. 社団方式でやるのには半年ほどリードタイムを見ておいた方がよいとのことですが、もっと早くできませんか?
A. 行政に早くしろということはできませんから、社団方式でやる限り、やはり半年くらいのリードタイムは必要です。但し、途中から社団方式にする手はあります。
つまり、まずは、MS法人方式でスタートします。Ⅰで述べたように、MS法人方式だと、すぐ開業ができます。これで始めておいて、同時並行で社団方式の準備を進めていけば、時間のロスはありません。なお、今、病院をやっているが、開設者を一般社団に変えたいと保健所に申請することは何の問題もありません。
Q3. オンライン診療をメインとした病院を作りたいのですが可能でしょうか?
A. 私どもは、オンライン診療をメインとした病院を自ら運営していますので経験豊富です。
また、オンライン診療の拡大・縮小については官邸と厚労省の対立があり、今後に行く末を見定めるために、政治的情報を掌握しておくことが重要ですが、私どもはそのための行政ネットワークも構築していますので、その点でも的確なナビゲーションが可能です。