薬機法の違反行為と罰則、対策をまとめて解説
更新日2024/4/23
薬機法に違反すると、課徴金納付や業務停止などの重い罰則が科せられ、企業にとって多大な経済的損失となるばかりか、社会的信用を失うことにもなりかねません。
本記事では、薬機法の違反行為と、違反した場合の罰則、違反を防ぐポイントを解説します。
1.薬機法違反となる行為
医薬品等による国民の健康被害を防ぐために、製造や販売、広告、表示などに関して設けられた規制・制度を順守しなければ違反となります。
主な違反行為は以下の3点です。
- 無許可・無登録での営業
- 広告規制の違反
- 医薬品等の取り扱い(販売や表示など)に関する違反
無許可・無登録での営業
医薬品等の製造・販売などを事業として行う場合、薬機法に基づき、厚生労働大臣や都道府県知事の許可や登録を受ける必要があります。
これらの許可・登録を受けずに営業した場合、薬機法違反となります。
許可制度の主な対象
【薬局】
薬局の開設(同法第4条第1項)
【医薬品・医薬部外品・化粧品】
医薬品・医薬部外品・化粧品の製造販売業(同法第12条第1項)
医薬品・医薬部外品・化粧品の製造業(同法第13条第1項)
【医療機器・体外診断用医薬品】
医療機器・体外診断用医薬品の製造販売業(同法第23条の2第1項)
【再生医療等製品】
再生医療等製品の製造販売業(同法第23条の20第1項)
再生医療等製品の製造業(同法第23条の22第1項)
再生医療等製品の販売業(同法第40条の5第1項)
【医薬品】
医薬品の販売業(同法第24条第1項)
【高度管理医療機器等】
高度管理医療機器等の販売業・貸与業(同法第39条第1項)
【医療機器】
医療機器の修理業(同法第40条の2第1項)
登録制度の主な対象
【医療機器・体外診断用医薬品】
医療機器・体外診断用医薬品の製造業(同法第23条の2の3第1項)
※製造販売業…製品を国内市場に出荷・流通させる(製品の製造はできない)。品質・安全管理を担い、市場に流通した製品の最終責任を負う。
※製造業…製造販売業者から委託を受けて、製品を製造する(市場への出荷はできない)。
広告規制の違反
医薬品等について誤った情報が発信されると、消費者が誤った使い方をしたり、効能効果を過度に期待して、本来必要な治療を受けずに症状が悪化したりする可能性があります。
医薬品等の広告で消費者に誤解を与えるような表現をした場合、薬機法違反となります。
薬機法における主な広告規制
虚偽・誇大広告等の禁止(薬機法第66条)
薬機法第66条では、医薬品等の虚偽・誇大広告等を禁止しています。
医薬品等の効能や効果、性能に関する虚偽・誇大な広告や、医師などが保証したと誤解されるおそれのある広告のほか、堕胎を暗示するものやわいせつ文書・図画を用いることも禁止です。
この規制の対象者は「何人も」。薬機法に違反すると、法人・個人を問わず、違反広告に関わったすべての人が罰せられる可能性があるので注意が必要です。
具体的には、広告主や広告代理店、広告を掲載した媒体(Webサイトや新聞、雑誌、テレビなど)はもちろん、アフィリエイターやインフルエンサーなども含まれます。
特定疾病用医薬品等の広告の制限(薬機法第67条)
薬機法第67条では、がんや肉腫、白血病など特定疾病の治療薬に関する、一般人への広告を禁止しています。
特定疾病用の治療薬は効果が期待できる一方、強い副作用が発生するおそれもあり、使用にあたって高度な専門知識が必要です。そのため、薬機法では特定疾病の治療薬について、医師などの医薬関係者を対象にした広告に限って認め、一般人を対象にした広告は禁じています。
承認前医薬品等の広告の禁止(薬機法第68条)
薬機法第68条では、承認を受けていない医薬品等の名称、製造方法、効能、効果、性能に関する広告を禁止しています。
健康食品や健康・美容雑貨のように「医薬品等でないもの」でもであっても、「承認前医薬品等」とみなされ、薬機法違反になる場合がありますので注意が必要です。
たとえば、サプリメントなどの健康食品は「食品」、歯ブラシなどの健康・美容雑貨は「雑貨」にそれぞれ該当し、どちらも医薬品等ではありません。
それにもかかわらず、医薬品等と誤認させるような効能効果の表示・広告を行うと、それらの健康食品や健康・美容雑貨は「承認を受けていない医薬品等」と判断され、薬機法違反となります。
薬機法違反となる広告表現の例
医薬品等の広告において、具体的にどのような表現が薬機法違反になるのでしょうか。
ここでは、薬機法違反となる広告表現の例をご紹介します。
名称
化粧品なのに「○○薬」などの名称・愛称を使用
⇒医薬品の承認を受けていないのに、医薬品と誤認させるような名称・愛称の仕様は禁止製造方法
「最高の技術」「最先端の製造方法」など
⇒製造方法の優秀性を誇大に認識させるおそれのある表現は禁止効能効果・性能・安全性
化粧品の効能として「シワを改善」
⇒「化粧品の効能の範囲」で定められた表現の逸脱は禁止
「○○が全快する」「副作用の心配がない」「最高の効き目」など
⇒効能効果・性能・安全性について、確実であると保証する表現や最大級の表現は禁止
出典:医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について(平成29年9月29日 薬生発0929第4号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)
薬機法には細かなルールがありますが、それらを自社のサービスと照らし合わせて考えるのは時間もかかり、難しいものです。健康食品や健康・美容雑貨、化粧品・薬用化粧品などの広告制作時のポイントについて更に詳しく知りたい方は以下のページもご覧ください。
▶️ 【薬機法】健康食品・サプリメント広告のチェックポイント
▶️ 【薬機法】雑貨(雑品)広告のチェックポイント
▶️ 【薬機法】化粧品・コスメ広告のチェックポイント
▶️ 薬用化粧品(医薬部外品)における美白表現の範囲
薬事法ドットコムでは、医薬品等の広告表現が、薬機法や景表法等の法令に抵触していないかを添削する「薬事チェックサービス」を提供しています。経験豊富な専門家がご依頼いただいた広告を精査し、問題がある表現については、法令を遵守しつつ効果的な「売れる&通せる」代替表現をご提案しますので、広告表現に不安がある方はぜひご相談ください。
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医薬品等の取り扱い(販売や表示など)に関する違反
薬機法では医薬品等の取り扱い(販売や表示・記載事項など)について設けられた規制は以下の通りです。
これらのルールを破った場合、薬機法違反となります。
医薬品の販売
処方箋医薬品の販売(同法第49条第1項)
薬機法に違反する医薬品の販売・授与等の禁止(同法第55条)
薬機法に違反する医薬品の販売・製造等の禁止(同法第56条)
医薬品の表示・記載事項
直接の容器等の記載事項(同法第50条、同法第51条)
容器等への符号(バーコード)等の記載(同法第52条第1項)
添付文書等の記載事項(同法第52条第2項)
記載事項の記載方法(同法第53条)
記載禁止事項(同法第54条)
2.薬機法違反に対する罰則
薬機法に違反すると、行政処分や課徴金納付命令、刑事罰を受けるおそれがあります。
行政処分
薬機法に違反すると、行政処分(業務改善命令、業務停止命令、措置命令、許可・登録の取消)を受けるおそれがあります。
製品の廃棄・回収命令(同法第70条第1項)
品質不良や不正表示の製品など、薬機法に違反した医薬品等を販売した場合、製造販売業者は製品の廃棄・回収命令を受ける可能性があります。
業務改善・停止命令(同法第72条第1項)
医薬品等の安全管理や品質管理の方法が、薬機法で定められた基準に適合していない場合、製造販売業者は業務改善命令(または改善されるまでの業務停止命令)を受ける可能性があります。
措置命令(同法第72条の5第1項)
虚偽・誇大広告等の禁止(同法第66条)や、承認前医薬品等の広告の禁止(同法第68条)に違反した場合、措置命令を受ける可能性があります。
具体的には、違反広告の中止、違反広告の再発防止策の公示(公表)などが命じられます。
許可・登録の取消(同法第75条第1項、同法第75条の2第1項)
医薬品等の製造販売業や販売業を受けた業者が、許可・登録の基準を満たしていない場合や、薬機法に違反した場合、許可・登録が取り消される可能性があります。
課徴金納付命令
虚偽・誇大広告等の禁止(同法第66条)に違反した場合、課徴金納付命令を受けるおそれがあります(同法第75条の5第2項)。
課徴金制度とは
課徴金制度とは、2021年(令和3年)の薬機法改正で導入された制度です。
もともと虚偽・誇大広告等の違反行為に対して、行政処分や刑事罰は設けられていました。しかし、近年、インターネット広告を中心に虚偽・誇大広告の違反行為が多数発生していることから、罰則の強化として課徴金制度が導入されました。
課徴金額
課徴金額は、違反(虚偽・誇大広告等)を行っていた期間中における、課徴金の対象商品の売上額×4.5%です。
なお、課徴金の対象期間は、違反行為の開始日から最長で3年間です。
課徴金制度の導入前は200万円が上限(罰金)だったのと比べると、高額な課徴金を支払わなければならない可能性があり、違反者にとって大きな経済的損失になるといえるでしょう。
ただし、課徴金納付命令には以下のような例外もあります。
- 課徴金額が225万円(対象品目の売上が5000万円)未満の場合
⇒課徴金納付命令の対象外 - 課徴金対象行為に該当する事実を、事案発覚前に違反者が自主的に報告した場合
⇒課徴金額が50%減額される
▼薬機法の課徴金制度について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
薬機法の課徴金制度を丸ごと解説
刑事罰
薬機法違反が悪質な場合、懲役や罰金などの刑事罰が科せられる場合があります。
主な違反行為と刑事罰の内容は、以下のとおりです。
無許可製造・販売(同法第84条)
医薬品の製造販売業(同法第12条第1項)や医薬品の販売業(同法第24条第1項)などに違反し、医薬品等を無許可で製造・販売した場合、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、または両方を科せられるおそれがあります。
虚偽・誇大広告(同法第85条)
虚偽・誇大広告等の禁止(同第66条)に違反した場合、2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、または両方を科せられるおそれがあります。
特定疾病用の医薬品等に関する広告(同法第86条)
薬機法では、がんや肉腫、白血病など特定疾病の治療薬に関する、一般人への広告を禁止しています(同法第67条)。
これに違反した場合、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、または両方を科せられるおそれがあります。
3.薬機法違反を防ぐためのポイント
薬機法違反を防ぐために、以下のポイントをおさえておきましょう。
薬機法に関するガイドラインをよく理解する
薬機法に違反しないために、「医薬品等適正広告基準」など厚生労働省が公表している薬機法に関するガイドラインをしっかり理解しておきましょう。
また、国や医薬品等の各業界団体などが発信している、薬機法関連の情報やニュースも日々チェックし、情報収集することも重要です。
専門家に相談する
薬機法やガイドラインなどは、内容が複雑だったり、専門用語があったりと、一般人では解釈が難しい面もあります。
薬機法で不明点や不安がある場合は、薬機法専門のコンサルティング会社や弁護士などに相談することをおすすめします。
薬事法ドットコムでは、薬機法管理者資格保有の経験豊富な専門家をはじめ、高級官僚OB(大蔵省・厚生省・警察庁)、元検事長・政府委員など、法律・行政等さまざまな分野の権威と連携しております。
最新の動向を踏まえ、マーケティング効果と法令遵守のバランスを第一に考えたコンサルティングをご提供いたしますので、ぜひ一度ご相談ください。
社内で広告ガイドラインを作成する
社内で広告ガイドラインを作成するのも有効です。広告表現で遵守すべきルールなどをまとめて、社内の担当者または社外の関係各所(広告代理店や制作会社など)と共有するといいでしょう。
4.まとめ
薬機法に違反すると、課徴金納付命令や行政処分、刑事罰を受ける可能性があり、経済的損失だけでなく、企業の場合は消費者からの信頼も損ねることになります。
医薬品等はもちろん、健康食品や健康・美容雑貨などのビジネスに関わる場合は、薬機法をしっかり理解しておきましょう。
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この記事の監修を担当した弁護士
薬事法ドットコム
パートナー弁護士 西脇威夫
一橋大学法学部卒。元ナイキ・インハウスロイヤー、エンターテインメント・ローヤーズ・ネットワーク会員、日本スポーツ法学会会員 他。
法人の設立、商業取引(英文及び和文の各種契約の作成・レビュー、ブランド保護、偽物対策、独禁法のアドバイス等)、人事労務、コンプライアンスについて、経験豊富。
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