実例

次の3つの例を考えてみましょう。景表法違反となるのはどれでしょうか?

ケース1:靴を下取りして、1000円あげる
ケース2:靴を下取りして、新しい靴が買える1000円分のクーポン券をあげる
ケース3:古い靴を持参した方に新しい靴をあげる

ケース1

何をいくらで下取りするかは何の規制もなく、全く自由です。
よって<ケース1>は何の問題もありません。

ケース2

ケース1は現金をあげるというものでした。 
これに対し、ケース2は
「新しい靴が買える1000円のクーポン券をあげる」というもので、
「店で靴を買ってくれ」という色彩が強くなります。

ところで、景品とは、取引に付随して提供されるもので、
「取引付随性」という要件があります。

翻ってケース2を見ると、
「店で靴を買ってくれ」という目的の下に
シューズクーポン券を提供しているのでこれは景品のようにも思えます。

しかし、これが景品といえるためには
来店したら必ずもらえるか抽選・先着順でもらえるということが必要です。
ケース2の場合は、「古い靴を持参する」という条件が付きます。

そうすると、シューズクーポン券は
この要件の対価ということになるので、結局、景品ではない、ということになります。

cf.取引付随性

 

商品Aの新発売キャンペーンとして「抽選でハワイ旅行プレゼント」というのは取引と全く関係ないので景品にはなりません(オープン懸賞と呼ばれます)。

「商品Aを買った人の中から抽選でハワイ旅行プレゼント」というのは取引付随の典型例で、当然景品に該当します。

また、「商品Aを売っている店の来場者の中からハワイ旅行プレゼント」というのも取引付随性ありと解釈されています。

逆に言うと、「取引付随性」というのはとてもわかりにくい要件ですが、「購買者」だけでなく「来場者」も含めたいので「取引付随性」というわかりにくい概念を立てていると言えます。

取引付随性判断フロー

ケース3

ケース3は「古い物を持って来たら新しい物と交換する」というやり方です。
公取はこの「新しい物」は景品に当たるという考え方です。
(参考となる「一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限」運用基準について」のpdf資料は消費者庁のサイトから。)

総付景品となり、来店招致目的のときは
取引価格を100円と考えますので20円のものしか出せない
ということになります。

ケース2と3はあまり変らない気もしますが、
3は物をあげるので景品性が高いということでしょうか。