景表法を学びたい

【事例】ケータイグッズ事件

1. 事件の概要

携帯電話のバッテリーにシート状の商品を付けると、「受信状態が良くなる」「バッテリーが長持ちする」と表示広告したことに対し、合理的根拠が求められ、資料を提出したけれども措置命令を受け、それに対して審判請求を行ないましたが棄却となりました。(22.1.20)

2. 提出資料

〇「受信状態が良くなる」について
①受信マップ実験報告書
②電波感度データ
③ウェブサイトに書き込まれた消費者の声

〇「バッテリーが長持ちする」について
④ウェブサイトに書き込まれた消費者の声
⑤(株)マテリアル研究所が実施した放電試験の結果

3. 資料の検討(その1)受信マップ実験報告書

<内容>
従業員が3ケ所で、本件商品を装着した場合と装着しない場合、
その携帯画面上のアンテナの本数を比較。
<審決での評価>
電波の受信状態を正確に評価するためには、
一定の強さの電波を発射する装置を用いて電波のレベルを一定にし、
外部からの影響を受けない電波暗室等の適切な測定環境において、
実使用状態に近づけた方法で試験を実施する必要がある。
<私見>
試験方法がソフィスティケイトされていない。

4. 資料の検討(その2)電波感度データ

<内容>
本件商品を装着した場合と、装着しない場合との電波の受信状況を従業員が「簡単実測」というソフトウェアを使って測定。
<審決での評価>
3と同様、実験環境が適切に設定されたのかはっきりしない。
<私見>
試験方法、条件が均質化されていない。

5. 資料の検討(その3)消費者の声

<実験での評価>
お客様の声を集めただけでは、統計的な客観性が確保されているとは言えない。
<私見>
統計学の理論武装が必要。

6. 資料の検討(その4)(株)マテリアル研究所の放電時間試験

<内容>
300回以上、充放電を繰り返した充電池について満充電後に4ボルトから0ボルトになるまでの時間(放電時間)を本件商品を装着した状態(A)と装着しない状態(B)で比較。
<審決での評価>

①比較試験では測定条件が同一でなければならないが、
本件では(A)が7回測定で、(B)が1回測定。

②バッテリーのロット差、劣化等があるので、
少なくとも3個以上のバッテリーが必要だが、1個しか使っていない。

③バッテリーの寿命を評価するには
放電時間にかえて放電電流値を測定する必要があるが、
その測定が行なわれていない。

<私見>
試験方法の詰めが不十分であった。

7. 資料の検討(その5)(財)電気安全環境研究所の放電電圧試験

<内容>
放電前後のバッテリーの電圧を、本件商品を装着した場合と、装着しない場合で比較。
<審決での評価>
①1個のバッテリーしか使っておらず、比較試験として不十分。
②放電の条件によって、放電したときの電圧の数値に違いが生じるので、
放電電流値の考慮が必要。
<私見>
試験方法の詰めが不十分であった。

(まとめ)

①試験を行う場合は、一般的な試験方法によることが望ましい。それができないか、特に一般的な方法が存在しないときは、試験環境や、比較試験のときは比較条件に配慮する必要がある。

②体験談は統計学に依拠して処理する必要がある。

コンシェルジュ松島
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