薬事法のお悩みを解決いたします。

事例研究 CASE STUDY

衣類

身につける系

*衣類に関しては、(一社)日本スポーツ用品工業協会の「適正表示ガイドライン」があり、参考になります(薬事法ルール集)

1.やせる系

やせるインナー・トレーナー

  1. インナー・トレーナーを着ているだけで痩せるというと薬機法違反です。
  2. 日常の動作によるエネルギー代謝が、このインナー・トレーナーを着ていることによって加速される、というロジックであれば、薬機法はクリアーできます。
  3. 02のようなロジックを可能にするためには、このインナー・トレーナーの内側に突起があって、その突起によってエネルギー代謝が加速される、といった作りが必要です。

やせるスーツ

  1. スーツは、インナー・トレーナーのように直接肌に触れることがないので、「突起で代謝アップ」といったロジックが使えません。
  2. スーツの繊維が発する香りが食欲を減退させるといったロジックのスーツが以前ありましたが、「食欲を減退させる」ということになると体に変化を与えていることになり、薬機法違反です。
  3. 保温機能に優れていてそれによって代謝が上がるというロジックであれば薬機法はクリアーできますが、暑苦しい感じがするので冬物にしか使えないかもしれません。

足が細くなるレギンス

  1. 足は、医療機器で「弾性ストッキング→むくみ」があるので、まずそこをどう考えるかです。
    また、レギンス内側に突起を付けて代謝をアップするとか、レギンスで締め付けて代謝をアップするというロジックもありえ、これなら薬機法はクリアーできます。
  2. そこで…
    • 弾性ストッキングとして医療機器登録して「むくみ」をうたい、足が細くなるなどその他の効果を物理的効果としてうたう
    • すべての効果を物理的効果としてうたう
      というオプションがあります。

2.バストアップ・ヒップアップ

バストアップブラ

  1. 寄せて上げて大きく見せるというのであれば何の問題もありません。
    問題は実際にバストが大きくなると言えるかです。
  2. インナー・トレーナーのように内側に突起を付けて、その突起によって代謝がアップし、というようなロジックは可能ですが、代謝がアップしてバストが大きくなるとも思えません。
  3. 解説で述べた「ネガティブがない」というロジックはありえます。
    つまり、他のブラはバストを締め付けてバストを小さくしてしまう。しかし、このブラは全く締め付けないので「小さくすることはない」。
    大きくするというのではなく、小さくすることはないというのがミソです。

ヒップアップショーツ・コルセット

  1. 突起・締め付けで代謝アップ、ネガティブがない、どのロジックを使っても、ヒップアップを導くのは難しい気がします。

3.筋肉増強シャツ

  1. 突起・締め付けで筋力アップはありうるロジックで、薬機法にも違反しません。
  2. HMBサプリなどの併用を勧めるのもよいと思います

4.姿勢矯正ウエア

  1. 姿勢矯正のための動きがこのウエアで加速されるというロジックはありうるロジックで、薬機法にも違反しません。
  2. 但し、「矯正」は強いので ― 病的なものを治すようなニュアンス ―、「補正」の方がよいでしょう。

5.虫よけウエア

  1. 薬機法の世界では、殺菌と抗菌ではそのポジションが全く異なります。
    つまり、「殺菌」は攻撃的で、原則、医薬部外品や医薬品の対象になります。
    他方、「抗菌」は防御的で、原則、薬機法の対象になりません。
  2. 虫よけウエアもどういうポジションを表現するかで違ってきます。
    ウエアに塗り込まれた物質で虫を殺すということになると医療機器扱いになりますが、虫が寄り付かないということであれば非医療機器で行けます。
  3. 但し、「抗菌」に類するものとして医薬部外品の中に「忌避剤」というものがありますのでこれに抵触しないことが必要です。
    具体的には、「忌避剤」は、蚊・ノミ・イエダニ・トコジラミ・ハエ・ゴキブリを対象としているので、これらをターゲットとしてはいけません。
    よって、単に「虫よけウエア」というのはOKですが、「蚊よけウエア」というのはNGです。

6.抗菌・抗ウイルスウエア

  1. 抗菌・抗ウイルスは「殺す」ニュアンスではないのでOKです。
  2. 但し、具体的な菌・ウイルス名を出すのはNGです。

7.アレル・アレルゲン・アレルギーシャットアウト

  1. 「アレルゲンをシャットアウト」「アレルギーをシャットアウト」はNGです。「アレルゲン」「アレルギー」が疾病的ワードだからです。
  2. 他方「アレル」は造語なのでOKです。

8.UVケア・熱中症対策ウエア

  1. UVケアウエアは物理的なカットの意味なのでOKです。
  2. 熱中症対策ウエアは疾病予防の表現になるのでNGです。

9.保温効果

  1. 「遠赤外線が体を温める」「繊維に塗り込んだカプサイシンが体を温める」など、「体を温める」旨は体の変化を表現するのでNGです。
  2. 「保温性に優れたカプサイシン使用」は、カプサイシンの性質の説明なのでOKです。

10.潤い

  1. 9と同じで、繊維の性質として保湿性が高い旨を述べるのはOKですが、肌の保湿を高める旨を述べるのはNGです。
  2. 「保湿成分を繊維に付与し、潤いを保ちます」は、前段は問題ありませんが、後段は微妙。「潤い空間を保ちます」ならOKです。

11.弱酸性

  1. 9・10と同じで、「お肌にやさしい弱酸性素材使用」はOKですが、「お肌を弱酸性に保つ」はNGです。

12.敏感肌

  1. スポーツ用品ガイドラインは、「刺激の少ない素材使用により敏感肌の方にも使えます」はOKだが、単に「敏感肌の方にも使える」はNGとしています。
    解説で述べたように、「ネガティブがない」というロジックはOKなので、後者もOKと言えなくもないですが、何も限定がないと、アトピーなどのネガティブ要因を克服するかのようにも聞こえるので、より慎重に行くのであれば前者に従うべき、というところでしょう。

13.リフレッシュ・リラックス

  1. リフレッシュ・リラックスは微妙な表現ですが、スポーツ用品ガイドラインは、「マイナスイオンで心身リフレッシュ・リラックス」をOKとしています。