合理的根拠ってなに?~3つの対策~

表示や広告に対する合理的根拠が問われて、措置命令や審決に至った事例の分析から、次のようなことがわかります。

1. 表現作成時から合理的根拠を意識する必要がある。

(A)○○を使うとタバコの煙のニコチンの量が減ります。
(B)○○を使うとタバコの煙のニコチンの量が8%減ります。
(C)○○を使うとタバコのニコチンの8割がビタミンに転化します。

上記の3つの広告表現を考える場合、合理的根拠をクリアーすることの難しさは、当然証明すべき事項が増えるので、(A)よりも(B)、(B)よりも(C)の順にシビアーになっていきます。タバコグッズ事件の事例では、(C)の表現で合理的根拠を求められ、その証明が出来ていないとされて措置命令を受けました。しかし、この場合(A)の表現であれば措置命令が防げた可能性があるのです。

⇒ 表現作成時から合理的根拠を意識した広告を作成することが必要です。
⇒ 薬事法ドットコムでは合理的根拠を睨んだ広告作成を会員に対しコンサルしています。

2. 合理的根拠をクリアする試験にはノウハウがある。

1.メーカーの報告書では不十分

合理的根拠の提出が求められたときは、試験報告書を提出するのがベストな対応です。しかし、これまでの事例を見ると、合理的根拠を示す上でこれにマッチしない試験報告書が安易に提出される傾向があります。
特に、メーカーからの提出資料は、主に主成分と素材に偏ったデータとなりますので、製品自体の合理的根拠にマッチしないものが多いのです。ここに着目する必要があります。

2.公的な試験方法に依拠すること

まず、公的ないし準公的な試験方法がある場合は、必ずそれに依拠してください。
タバコグッズ事件では、タバコの煙に含まれるニコチンの量の測定方法について大蔵省時代の公定法があるにも関わらず、それに依拠してない試験を行い、それが不十分とされています。

3.試験方法がない場合でも・・

公的、ないし準公的な試験方法がない場合は以下の点に注意してください。

  1. 試験品使用のBefore・Afterの比較試験(経時比較試験)よりも、試験品と対照品の比較試験(群間比較試験)の方がベターです。
    経時比較試験は

    ①BeforeとAfterで試験条件が同じなのか
    ②たまたまその製品が良かったのではないか(ロット差)
    等が疑問視されやすいところです。
  2. 群間比較試験では比較の条件をそろえることが大切です。ハーフフェイス法のように同じ人の顔の右に本商品を、顔の左に対照品を使うという方法を考える必要があります。
  3. 試験はどの機関が行なったかはあまり重要ではありません。タバコグッズ事件や携帯電話グッズ事件では、財団法人の検査結果のデータや薬剤師会試験センターのデータが不十分とされています。

3. 専門家の見解はあまり役に立たない。

医学博士や大学教授のコメントは、それが様々な文献に引用されるなど、一般に認められている場合は有効ですが、そうでない場合、試験実績を伴っていないものは、まず役に立ちません。
タバコグッズ事件では、医学博士や大学教授のコメントも簡単に一蹴されています。

4. 体験談は統計学のロジックが必要。

携帯電話グッズ事件ではWEBに書き込まれたお客様の声を根拠として提出していましたが、簡単に一蹴されています。
もし、お客様の声を根拠として提出するのであれば、統計学のロジックを踏まえたデータ抽出や統計処理を行なう必要があるからです。私ども薬事法ドットコムでは、福岡のS社のケースにおいて統計学のロジックを踏まえて体験談を提出し、合理的根拠をクリアーしました。